
教育資源としての民間教育 第4回 公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
利害や立場を超えて力を合わせよう
課題多き未来の主役である「今の子どもたち」には、課題解決力をつけて未来に送り出すべきではないかと思いますが、その課題解決力を子どもたちはどこで身につけていくのでしょうか。学校教育でしょうか? 民間教育でしょうか? 家庭教育でしょうか?
よく学校教育が大切とか、民間教育が大切とか、家庭教育が大切とか、多々議論が及びますが、大切なのは学習者である子どもたちであり、その学習者である子どもたちの周りの環境すべてが教育である、すなわち何が大切かの議論を超えて全体で協力しながら、課題多き未来という難局に子どもたちを送り出すことが大切な責務のように思います。
利害や立場を超えてでも、子どもたちへの「愛」と「良心」で、協調していく必要のある時を迎えているのかもしれないと思います。教育が未来への投資であるならば、教育によって未来に何を遺すのか。より良い未来、より良い社会を描き、そのためにどのように力を合わせていくのかの観点も今の時代高まっているように思います。
塾も業界として力を合わせるプラットフォームを持ち、また習い事を含めた民間教育も民間教育として力を合わせるプラットフォームを持ち、さらには学校教育も含めた社会全体、子どもたちを取り巻く環境すべてが力を合わせるプラットフォーム全体で、未来に生きる子どもたちのために力を合わせられる「今の大人たちの努力」も必要であるかもしれません。
例えば社会教育という言葉はPTA等のボランティアや公共施設などを指すのが通例になっていますが、法の下では学習塾などの民間教育も社会教育であることを指しています。しかし現実には社会教育という言葉の解釈には学習塾などの教育が入る余地はほぼありません。すでに学校教育と連携している事実があるにもかかわらずです。解釈や運用には様々な都合が入るのかも知れません。しかしその都合は子どもの都合ではありません。
課題多き未来に生きていく、今の子どもたちに課題解決力を育むことは重要だと思います。塾にも各々のスタンスがありますから、一概にそれが塾の使命とは言えません。
様々な立場や様々な理念やスタンスが有機的に複合しながら現在の社会全体の教育環境を作っています。目の前のこと、5年先、10年先、すべてが大切です。
ただ10年先を考える時には、ビジョンと子どもたちへの思いを中心に、今の大人たちが枠組みの変化をいとわず力を合わせる気概が必要であるかと思います。