• Home
  • 新着情報
  • NPO学校支援協議会 主催 無料公開シンポジウム 新しい学習指導要領/新しい大学入試 英・数の学びはどう変わるか ──第一人者と共に考える

NPO学校支援協議会 主催 無料公開シンポジウム 新しい学習指導要領/新しい大学入試 英・数の学びはどう変わるか ──第一人者と共に考える

2017-10-02

9月3日(日)法政大学市ヶ谷キャンパスで、小中高校教員や大学関係者、保護者らを対象に、英語と数学のシンポジウムが開催された。
ここでは「算数・数学は内容知から応用知へ」と題された講演とパネルディスカッションをお伝えする。

第一部
「グローバル社会で求められる算数・数学の力とは」
東京学芸大学・西村圭一 教授

東京学芸大学・西村圭一 教授

東京学芸大学・西村圭一 教授

はじめに西村氏は日本の数学教育について、大学入試に焦点を絞ったこれまでのやり方では、もはや世界と戦えないという説が現在の主流であると述べた。コンピュータが人間から仕事を奪うといわれるAI時代には、二次方程式や微分・積分、統計も含めて無料ソフトウェアで瞬時に答えが出てしまう。その時代に向けて、人間が高めるべき学力はどのように変化していくのだろうか。

「これまでの学校教育で数学を〝使う力〟が身についているかと問われると、『入試の時は解けたが終わったら忘れてしまう』のが現状です。実際、大学生に追跡調査をしたところ、トップ層を除いてセンター試験後は急激に成績が剥落するというエビデンスもあります」
こうした状況を打破しなければならないという課題が突きつけられている、と西村氏は強調した。
「生徒は与えられた問題を解き、先生が正解を教える。そんな学習スタイルが何十年も続いてきたのが日本の算数・数学教育でした。中教審の答申にもあるように、こうした一方的な受け身の授業では思考が停止してしまいます。ある国際調査によると、〝道具として将来役立つかどうか〟という数学的な関心は、諸外国に比べると日本は非常に弱いと指摘されています。学習指導要領の改訂で重視されるべきは、日常生活や社会の眺望を自分たちの問題として解決・解釈できる力を育むことなのです」

続いて、世界の算数・数学の動向について様々な事例が紹介された。しかし、日本にそのまま当てはめられるわけではなく、新しい形態の試験に対してある課題を指摘した。
「いわゆる数学の範囲を越えた社会問題を試験で取り扱う場合、日本では必ず〝採点できるかどうか〟という制限が立ちはだかります。これは世界的に見ても特殊な状況です。大学入試でコンピュータによる自動採点を行うことは、実は子どもたちのためにならないのではないでしょうか」

最後に、西村氏はこう締めくくった。
「日本の数学を〝PDCAからの脱却〟と述べた人がいます。PDCAとはPlease don’t change anything。まさに新しい風を取り入れつつ、数学教育を構築すべき時なのです。子どもたちがどのような資質能力を身につけるべきかを検討し、それをベースに大学入試と一体化した学習指導要領が求められています」

続いて、本シンポジウム後援のベネッセコーポレーションによる様々な取り組みが紹介された。ベネッセコーポレーションは、平成30年度から始まる大学入学共通テストにおいて、記述式試験の採点のアドバイザリー業務を担う。また、OECD(経済協力開発機構)日本事務局として、世界の動向を踏まえて次世代に求められる資質能力の育成や、思考力を問うアセスメントなどの研究開発を進めている。

第二部 パネルディスカッション
「算数・数学で問われる力とは」

明星学苑教育支援室長兼明星大学客員教授 細水保宏(元筑波大学附属小学校副校長)

明星学苑教育支援室長兼明星大学客員教授 細水保宏(元筑波大学附属小学校副校長)

Z会東大進学教室・石田浩一講師(元開成中学校・高等学校教諭)

Z会東大進学教室・石田浩一講師(元開成中学校・高等学校教諭)

2017_10_p41_3



■東京学芸大学・西村圭一教授「中高での数学授業」
■明星学苑教育支援室長兼明星大学客員教授・細水保宏(元筑波大学附属小学校副校長)「小学校での算数授業」
■Z会東大進学教室・石田浩一講師(元開成中学校・高等学校教諭)「中高現場と入試にかかわる立場から」

石田氏 それぞれが抱いていらっしゃる問題意識についてお話しください。
西村氏 グローバルな力の育成は、海外の成功事例を真似るのではなく、日本の良さを継続して伸ばしつつ、弱い点を改善すべきです。
細水氏 日本の小学校教育は世界一だという誇りを胸に、グローバル化に応じた教育システムを構築しなければなりません。アクティブ・ラーニングはもともと大学入試改革に使われた言葉ですが、小学校の先生たちも敏感に反応しています。論理的に考える楽しさに迫る「深い学び」が求められる中で、小学校教育の役割は大きいと考えています。
石田氏 予備校や塾は知識を詰め込むというイメージを持たれがちですが、詰め込み学習では難関大学に合格できないばかりか、伸びるはずの子どもをつぶしてしまうだけです。大切なのは答えの求め方を覚えるのではなく、自ら手を動かして様々な可能性を探っていく姿勢ではないでしょうか。
細水氏 実際、小学6年生は中学に向けて自立させなければならない時期ですが、手をかけ過ぎてしまうケースが多く、中学の先生が指導しにくくなるという現状もあります。
西村氏 ある県内有数の進学高校で、夏休み明けから授業中の生徒の態度に変化があると聞きました。考えることをやめて先生の解説を待つようになってしまう、とのことでした。
石田氏 小中高校共通の問題意識として、〝教え過ぎ〟が浮かび上がってきましたね。
細水氏 先生が判断する場面を少なくして生徒に主体性を持たせ、「問題解決力」を身につける授業を行うべきですね。
西村氏 ある高校では高1の4月から「問題解決型」の指導を徹底したところ、1年後に某予備校の模試で無回答が激減しました。難易度の高い問題に手をつけなかった生徒たちが、何らかのアクションをするようになったとことが成果です。こうした授業を変える試みに使命感を持つ先生方も増えていますが、周囲の賛同が得られないと前進できません。
ですから、学校以外に保護者も含めた〝応援団〟をつくることが必要ではないでしょうか。
細水氏 私も同感です。教える側が柔軟に外部の応援団と連携・協力していく態勢も大切だと思います。

パネルディスカッションの終わりには活発な質疑応答が行われ、NPO学校支援協議会と算数オリンピックの共催による「明日の思考力算数コンテスト」(2017年11月23日開催)も紹介された。受付開始は10月1日から。


ウイングネット


PICK UP


塾ナビ

家庭教師

中国語資格HSK 中国政府公認・世界共通規準

チェック表ダウンロード

チェック表ダウンロード

塾と教育 twitter


塾と教育

株式会社 塾と教育社
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-4-8 東京中央ビル310
Copyright © Juku To Kyoiku Sha. ALL Rights reserved.