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AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第106回

2026-06-01

英語教育改革の有識者会議において

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理想と現実はかけ離れているケースを今まで何回も見てきた。今回もそのような話をしたい。文科省で英語教育改革の有識者会議を、全部許可をいただいて傍聴させていただいた。初めの数回は英語教育を従来とは違ってヒヤリングやスピーキングに力を入れ、試験でいい成績をとる英語ではなく、外国に行っても話せる、通用する英語教育にしなければおかしいという積極的な意見が多く、英語のみで役員会をしている会社や、海外へ社員を派遣して仕事をしている企業の体験など様々な意見が飛び交ったりした。
有識者会議が何回も繰り返されたのち、夏前後からだっただろうか、そこまでは、韓国では週3回45分の英語の授業のうち、2回はそのままで、あとの1回は15分ずつの3回に分けて基本になるセンテンスを繰り返し唱和して覚えるいわゆるモジュ―ル授業、基本を反復練習することが効果的だという話も出て、なるほど文科省も韓国や中国の英語力を身につけるやり方をよく調べている状況を理解した。実際中国は15分ではなくて毎日10分ずつモジュール授業をやって効果を上げていることをあとで耳にしたのだ。
日本の英語教育もこれから変わっていくんだなとその時は思っていた。
ところがそうはならなかったのはご承知の通りだ。最後の方になって、今の授業時間数を増やすことは受け入れられない。教師たちは今でも手一杯で体力の限界まで来てしまっている。絶対今の時間数を増やすなという意見が出始めた。国語の先生はまさか国語の時間を減らすなどということはないでしょうねと発言をし、主要教科以外の科目を減らすことも反対意見が出始めて、そのような議論の場になってきた。授業時間は増やすな、従来からやってきた科目の既得権は絶対譲れないという話のようだった。
有識者会議が半年以上かけて終了して、翌年から小学校の教科としての英語の授業はどうなったかというと、前から週一時間の枠で英語の時間が設けられていたのを使って、あとは総合学習の時間を使ったり、夏休みに一週間英語の指導をしたりして、形だけやっていることになっている。これで英語力がしっかりつくわけがない。
韓国へ英語力の視察に行った。中1の生徒たちは授業の後半は英語だけでどんどん発言をしていた。夕方町の英語塾へ行ったら、小学校で英会話力はほぼつけ終わって、中学生や高校生はもうほとんど通ってこないという。まさに日本の英語指導はアジアの中でも後進国ではないか。
先日教育立国推進協議会の席上で、東大の生成AIの専門の先生方が、今のような激しい変化を続けるAIを身につけるためには、高校や中学とも連携をとって進めていきたいというような意見を述べておられた。しかし、先ほどの例のように本当に睡眠時間を削ってまで頑張っている先生方にそのような話が果たしてつながっていくものなのか、非常に疑わしい思いがしている。
極東の特殊な日本語という言語を使う日本人が世界に伍していく語学力を身につけることはかなり海外で生活した生徒以外には無理な状況があるのではないか。
言語だけでなく、ICTの世界でも優秀になれるのは本当にひと握りの生徒だけかもしれないと、過去に見てきた現実から思わざるを得なかった経験があったのだ。


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