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    幸せな人生と学び ─ ミスマッチをなくす教育とは ─

私教育を1つの力に
幸せな人生と学び ─ ミスマッチをなくす教育とは ─

2026-04-01

若者が輝く時代

作家 髙嶋哲夫 氏

作家 髙嶋哲夫 氏

ミラノ・オリンピックが終わった。僕達は多くの感動を得た。とりわけ、若者の活躍には感動と共に驚きを持った。例えばスケートボード競技では、まだ高校生、10代の少年少女が世界一に輝くのだ。
こうした活躍を支えているのは、単なる才能だけではない。4歳、5歳の幼少期から競技に取り組み、全力を注いできた者もいると聞く。好きなことだからこそ、努力を続けることができるのだ。
人は本当に好きなことには、驚くほどの集中力と忍耐力を発揮する。毎日何時間も練習を重ね、時には失敗を繰り返しながらも続けることができる。好きなことには、人生をかけても続ける力になる。
これはスポーツだけではない。若い人が活躍している分野は他にも多くある。例えばゲームの世界。プロゲーマーと呼ばれる人たちは、10代や20代で世界大会に出場し、優勝すれば大きな賞金を手にする。インターネットやデジタル技術の発展によって、ゲームは職業として成立するようになった。
また、IT分野でも若い才能が活躍している。高校生や大学生がアプリを開発し、それが世界中で利用されることもある。若者が企業を起こし、巨額の資金を動かすような例も少なくない。音楽などの芸術分野も同じだ。共通しているのは、若い人たちが自分の興味と能力を生かして活躍している点である。

好きなことと才能

しかし、すべての人が同じ能力を持っているわけではない。人にはそれぞれ違った能力や身体的条件がある。体格や体力、容姿、知能、感性など、持って生まれた違いは確かに存在する。神さまは必ずしも人を平等に作ってはいない。大いに不公平なのだ。
だからといって、社会が不公平であってよいわけではない。神さまが平等でなくても、社会は公正であるべきだ。それぞれの人が持っている能力を生かせる機会を与えることこそ、公正な社会の有り様であり、条件である。
現実の世界にはいくら努力しても、なりたいものになれない場合もある。いや、その方が多い。能力が足りないこともあるし、体格や体力などの根本条件が合わないこともある。スポーツ選手になりたいと思っても、体格が合わなければ難しい。芸術の世界でも、特別な才能が求められる。
しかし、夢が実現しないからといって、それで終わりではない。その分野に関係する別の道を見つけることもできる。スポーツ選手になれなくても、指導者や解説者、スポーツ科学の研究者になる道もある。芸術家になれなくても、作品を支える仕事や文化を広める仕事がある。
重要なのは、自分の才能や興味、特性をできるだけ早く、正確に知ることではないだろうか。自分は何が好きなのか、何をやりたいのか、何が得意なのか、何が苦手なのかを理解することが、人生を考える出発点になる。

自分を知る教育

ところが、現在の日本の学校教育では、自分を知る機会が十分に与えられているとは言い難い。多くの場合、教育は知識を得ることに重点が置かれている。もちろん学問は重要である。多くの知識があれば、考える領域も広がり、深くなる。将来のことは、成人してから決めればいいという考えもある。しかし、勉強が好きな子どもばかりではない。むしろ勉強が苦手な人や嫌いな人の方が多いかもしれない。嫌々ながら勉強をしても、成績はなかなか伸びない。人は興味を持ったことに対してこそ、本当の努力、集中をする。
僕が昔から驚きを持って見ているのは、外国人力士が非常に流ちょうな日本語を話すことだ。おそらく高校生の頃に日本に来て、必死に学んだのだ。日本語を覚えなければ、競技や生活に支障が出るからだ。つまり自分の目的に必要な勉強であれば、人は必死に努力する。
教育の重要な役割は、子どもが「自分自身を知る」手助けをすることにあるのではないか。特に小学生の時期は、そのための大切な時期である。様々な体験や出合いを通して、自分の興味や能力を発見することができる。
読書も大きな助けになる。本を読むことで、子どもは自分の知らない世界を知ることができる。特に伝記を読むと、様々な人生を追体験することができる。偉人と呼ばれる人たちがどのように生き、何を考え、どのような困難を乗り越えたのかを知ることで、自分の生き方を考えるきっかけになる。

若くして社会を担った人々

歴史を振り返ると、昔の人々は若い頃から社会の中で重要な役割を担っていた。日本には「元服」という成人の儀式があった。奈良時代から明治にかけての儀式だ。男子は12歳から16歳ほどで元服を行い、大人として社会的責任を負うようになった。
鎌倉時代、北条時宗は14歳で執権の地位についた。20代で蒙古襲来という国家の危機に直面し、日本を守る指導者となっている。
エヴァリスト・ガロアを知っているだろうか。「ガロア理論」、群論の基礎を築いた数学者だ。彼は、20歳で恋人をめぐる決闘で死んだ。死ぬ前日、「僕にはもう時間がない」と言い残している。
ナポレオンは若くして軍の指揮官となり、モーツァルトは幼い頃から音楽の天才として活躍した。人は若い頃から自分の道を見つけることで、大きな力を発揮することができる。
こういう天才は別にしても、現代社会では、若者が社会の中で重要な役割を持つ機会が減っている。しかし本来、若い世代には大きな可能性がある。その可能性を育て、生かすことこそ本物の教育だろう。

ミスマッチをなくす社会

近年、学校や会社を途中で辞める人が増えている。中には入社してすぐに辞めてしまう例もあるようだ。高校中退者も多い。退職の手続きを代行する会社まである。
人生の途中で進路を変えること自体は悪いことではない。学び直しや転職は、むしろ人生を豊かにする可能性もある。僕自身も30代に入って、仕事を変えた。科学から教育の世界へ、さらに著作活動へと変わった。
しかし、自分に合った道を早い段階で見つけることができれば、こうしたミスマッチは減らすことができる。そのためには小中学校の段階で多くの体験をして、世の中にはどのような職業があるのかを知り、それに必要な知識や能力を学ぶ。そうすることで、自分に向いている道や向いていない道が見えてくる。
成績優秀者の代表として医者があげられる。しかし医師に必要なのは、学力と共に人を思いやる心なのだろう。最近は医師の不祥事があまりに多すぎる。
同時に、社会は多様な能力を認める必要がある。人はそれぞれ違った個性を持っている。優しさ、忍耐強さ、人の話を聞く力、人を笑わせる力、人を助けたいという気持ちなど、人間の能力、興味は実に多様である。
どんな職業についても、ある程度充実した生活を送れる社会をつくることが重要である。そのためには政治の役割が大きい。教育制度や労働制度、社会保障制度を整えることで、人々が安心して自分の道を選べる社会をつくることができる。
幸せな人生とは、自分に合った生き方を見つけることではないか。そして、その出発点は「自分を知ること」である。教育は、その気づきを与えるものでなければならない。ミスマッチを減らし、一人ひとりが自分の能力を生かして生きる社会をつくることこそ、教育の重要な使命ではないか。ただ定年を待ちながら、好きでもない仕事を続けるのは寂しい。
世間的に有名な高校、大学に行き、大企業に就職することが、子どもにとって幸せかどうかは分からない。親にとっては、そうかも知れないが。

作家 高嶋哲夫 氏
教育関係の著作
 「いじめへの反旗」(集英社文庫)「 アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/


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