
日本民間教育協議会 2025年意見交換会
民間教育のチャレンジを公教育に活かすために
11月27日(木)、日本民間教育協議会(東京都豊島区、安藤大作会長)の意見交換会が、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で開催された。参議院議員の大島九州男氏、また、経済産業省、文部科学省、こども家庭庁の各代表らが出席。(公社)全国学習塾協議会会長を兼任する安藤氏の司会のもと、最新の取り組み施策について、民間教育に力を注ぐ会員らと意見を交わした。
価値創造型人材の育成に向けた多様な学びを
「日本民間教育協議会は、私たち民間教育事業者の各団体が、公教育と一体となって、民間教育だからこそできるチャレンジを公教育の中にも活かしていくことを目的に設立された団体です。春と秋の年2回、こうして各省庁様と私たちが意見を交換させていただくとともに、お世話になっております政治家の先生方と意見を深める機会としてこの会を設けてさせていただいております」
同協議会会長の安藤氏がこのように述べた後、参議院議員の大島九州男氏が挨拶。続いて、経済産業省 商務・サービスグループサービス政策課教育産業室の柳橋幸裕氏が「令和8年度経済産業省概算要求と今後の取組の方向性について」の報告を行った。この中で柳橋氏は、小売、流通業、サービス業等の持続的発展を支える基盤整備事業で「価値創造型人材の育成に向けた多様な学びを充実させるため、産業界と教育現場の連携を促進することを目的とした委託、補助事業を行う」とし、事業概要として「学びと社会の在り方改革推進事業」について紹介。そのひとつが「産業界と教育現場の連携を推進するコーディネーター人材の育成及び産業界から教育現場へ教育資源を持続的に提供する手法等の調査等を行うこと」である。もうひとつが「産業界と教育現場が連携し、子どもたちの多様な学びの選択肢を拡大する取組の後押しを行うこと」だ。これらは国から民間企業などへの委託や、国から民間企業などへの補助(定額)によって行われる。コーディネーター人材によってマッチングが成立すれば、産業界から教育現場への資金や人材などの提供が実現できるのだ。
地域のスポーツ・文化資源を
活用して多様で豊かな部活動を
続いて文部科学省総合教育政策局 リカレント教育・民間教育進行室長の片見悟史氏による報告。片見氏は厳しい勤務実態や教師不足など教師を取り巻く厳しい環境について述べ、教師が子どもとさらに向き合うには、新しいモデル開発が必要だと力説した。そのモデルが「多様な優れた人材の教師入職総合支援事業」だ。ひとつが「日本版サプライティーチャー」。退職教員などが非常勤講師として一時的な教師の不在などを補う制度である。
また、「学校における部活動改革の必要性」と題して「地域の子どもたちは、地域で育てる」という意識のもと、地域のスポーツ・文化資源を最大限に活用して、生徒のニーズに応じた多様で豊かな活動を実現するべきだと述べた。民間企業、大学、スポーツ・芸術関係団体と自治体の連携により、行政側にはない新たな視点やノウハウが導入され、より充実した活動となることが期待されるからだ。そして、各都道府県の連携例を紹介した後、今後の主なスケジュールを発表。来年の4月からは改革実行期間がスタートし、部活動の地域展開などの全国実施がスタートすると語った。
水泳、スポーツ、ピアノの民間教育事業者が意見を述べる
その後、民間教育事業者の各代表が意見を述べた。まず、(一社)日本スイミングクラブ協会の伊藤裕久氏から。約1000のクラブが加盟する同協会では近年、特に小学校における水泳の授業の受託が増えていると語った。そして、生徒の指導が指導員にすべて任されるケース、小学校の教師と指導員が協力しながら授業を進めていくケース、クラブのプールを小学校に貸すだけのケースなど自治体によって格差があるという。こうした状況の中で、伊藤氏は指導員の質の担保に力を注いでいると述べた。
次に意見を述べたのは、スポーツ産業推進協議会(リーフラス株式会社)伊藤清隆氏だ。伊藤氏はスポーツ産業推進協議会について「子どもたちの人間力など非認知能力を高めることが目的であり、その意味では公教育と親和性が高い」と語った上で、現在、348の中学校と契約を結び、2000以上の運動部や文化部の指導を会員が担っていると述べた。これにより、授業の準備時間が軽減されるなど教師の負担が減ることで、非常に喜ばれているという。
また、今度は、給食費などの集金業務や保護者からのクレーム対応、校内の清掃なども受託し、教師が教育活動に専念できるようにサポートしたいと語った。
続いて、意見を述べたのは(一社)全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)専務理事の福田成康氏。この協会には個人宅を教室にしてピアノを教えている指導者が所属している。会員数は1万8000人で、その多くが女性である。会員が抱える課題は、平日の午前中が空きがちなこと、また、保護者の多くが働いているため、平日の夕方に子どもを教室に連れてくることができず、土日にレッスンが集中し、フルタイムの所得が得られないことだ。
「ピアノ指導者は平日の午前中が空いているのですから、その時間、学校の先生と二人一組となってピアノを教えれば、先生方の負担も減らせ、ピアノ指導者も土日に余裕をもって生徒を教えることができるはずです」(福田氏)
家計負担の軽減に寄与する教育資金贈与信託
その後、こども家庭庁 支援局総務課 こども性暴力性防止法施行準備室の原沢恵氏が今年6月に成立した「子ども性暴力防止法」について解説した。これは教育・保育などの子どもに接する場での、子どもへの性暴力を防ぎ、子どもの心と体を守るための法律だ。2026年12月25日から施行される予定である。子どもに何かを教える事業であれば、内容は問わず「民間教育事業」として認定される。認定を受ければ、事業者が社員などを採用するにあたり、内定者に犯罪事実確認を行い、性犯罪歴があるとわかった場合、内定取り消しなどの対応を取ることができる。
また、事業者は認定を受けたことを示すマークを看板や求人広告に貼ることができるのだ。
次に(公社)日本数学検定協会専務理事事務局長の高田忍氏が、同検定協会が今年11月に公立日本千歳科学技術大学と連携協定を結んだ経緯を述べた。高田氏は、このように民間教育と大学の連携などにより、学校や家庭以外で安心して挑戦できる学びのサードプレイスを創造することで、将来を担う産業人材を育成できると力説した。
その後、(一社)信託協会専務理事の川嶋真氏が「教育資金贈与信託」について紹介。これは祖父母(贈与者)が、孫(受贈者)などを名義とした金融機関の口座に教育資金を拠出する際、この資金について、受贈者ごとに一定の贈与税を非課税とする制度だ。支出先としては塾や予備校、学校、習い事が多い。利用者からはこの制度が教育機会の充実や家計負担の軽減に寄与しているとの声が多く得られ、本制度がなかった場合、「進学や習い事を諦めた」といった声も聞かれるという。この非課税措置の適用期限が2026年3月末に到来するため、期限の延長を要望している。
最後に大島氏が次のように述べた。
「民間事業者の方々がこのように公教育と連携していく中で、企業が民間の教育機関に資金を出して優秀な人材を育てて、企業がその人材を採用するというルートをつくれば、企業と子どもたちに双方にとって利益をもたらします。そう考えると連携による人材育成がいかに重要だということに気づくでしょう。企業に数多くの優秀な人材を送り出すことができれば、企業の協力を大いに得られるはずです」











![[左] 経済産業省 商務・ サービスグループ サービス政策課 教育産業室 柳橋 幸裕 氏 [右] 参議院議員 大島九州男 氏](http://www.juku-kyoiku.com/wp-content/uploads/2025/12/2026_01_p30_oshimayanagi.jpg)



![[左] こども家庭庁 支援局総務課 こども性暴力性防止法施行準備室 原沢 恵 氏 [右] (一社)全日本ピアノ指導者協会 (ピティナ) 専務理事 福田 成康 氏](http://www.juku-kyoiku.com/wp-content/uploads/2026/01/2026_01_p31_harafuku.jpg)
![[左] (一社)信託協会専務理事 川嶋 真 氏 [右] (公社)日本数学検定協会 代表理事 高田 忍 氏](http://www.juku-kyoiku.com/wp-content/uploads/2026/01/2026_01_p31_kawataka.jpg)























