
NPO塾全協50周年記念大会
50年の節目に、塾団体関係者が一堂に集結
NPO塾全協50周年記念大会が、11月2日(日)、東京のアルカディア市ヶ谷で開催された。
第一部の全国研修大会(第49回)では、(公社)全国学習塾協会前会長で、東京モンテッソーリスクール学長の伊藤政倫氏が「モンテッソーリ教育とフリースクール」のテーマで講演を行った。
開会の辞は、NPO塾全協西日本ブロック事務局長の寺田圭吾氏。続いて、NPO塾全協全国会長で、大会委員長の内藤潤司氏から挨拶があった。
「塾全協には3つの柱があります。1つは全国研修大会です。コロナ禍で2020年は中止、2021年はオンライン研修会での実施となりましたが、今日まで第49回と続いています。もう1つの柱は進学相談会です。東京の相談会は今年46回目を迎えました。45年前に進学相談会に来ていた生徒が60歳になるのかと思い、感動を覚えました。もう1つは教材教具展です。教材会社の方々とお付き合いさせていただいています。今回の50周年記念大会の講師は、伊藤政倫先生しかいないと思い、お願いいたしました。私たちの塾に大きなサジェスションを与えてくれると思っております」
また協賛団体挨拶には、全国学習塾協同組合理事長の森貞孝氏が登壇した。塾の先生に元気の出るメッセージをと、学習塾を含めた日本全体の景気動向などをまとめたプリントを参加者に配布。「お互いにこれからも頑張っていきたい。塾全協さんはその旗頭として努力していただきたいと思います」と語った。
来賓として参議院議員の大島九州男氏の挨拶や、協賛塾団体の千葉県学習塾協同組合理事長の峯村明子氏、埼玉県学習塾協同組合理事長の川邊洋一氏、全日本私塾教育ネットワーク理事長の田中宏道氏が紹介された。
[講演]
「モンテッソーリ教育とフリースクール」
(公社)全国学習塾協会前会長
東京モンテッソーリスクール 学長
伊藤政倫 氏
私がモンテッソーリの教育に出会ったきっかけ2002年にギリシアの塾団体に招かれ、日本の塾について講演をさせていただいた時です。その時の質疑応答で、ギリシアの方が「日本はこんなに頑張っているのに、ギリシアの我々は教師が楽をして、学習すべき内容を半分に減らしてしまった。日本を見習え」と言いました。私はその言葉を聞いて、背筋がゾッとしました。10年経ったら、自分が同じことを言うと思ったからです。当時、日本では「ゆとり教育」が始まり、学習内容を削っていました。ギリシアはその後「ギリシア危機」に陥りました。私は、日本も必ずこういうことになるに違いないと思い、日本の教育制度を根本的に変えるべきだと考え、国政に挑戦しようとしました。しかし、果たせず塾業界から離れました。
何もかも失った私は、横浜モンテッソーリスクールに行くことを勧められ、見学に行きました。そこで高根先生から「イタリアのベルガモにある、モンテッソーリ教師訓練センターに行ってらっしゃい」と言われ、61歳でイタリアに留学しました。
そこで2年かけて指導者の資格を取得した私は、イギリスやフランス、ドイツ、スイス、ベルギー、スペインなど18校を訪問。その後、オランダの公立モンテッソーリ小学校、次にイギリスのブライトンのスクールで教師を務めました。
当時、私は世界中のモンテッソーリスクールへ向けて就職活動をしていましたが、東洋人で60代半ばという年齢、男性であること(モンテッソーリスクールは女性教師が多い)、ネイティブイングリッシュスピーカーではないことなどがハードルとなり、なかなか仕事が見つかりませんでした。
そんな時、オランダにあるモンテッソーリ教育の創始者、マリア・モンテッソーリのお墓参りに行きました。そこで「教育のためではなく、自分の生活のために就職活動してごめんなさい」と謝まったところ、「that’s OK」というマリアの声が聞こえました。「でも、Tuto e per ibambini(すべては子どもたちのために)」と言われました。その言葉にほっとした帰り道、スペインのアメリカンインターショナルモンテソーリスクールからオファーが来て、そこで働くことになりました。その後、タイやインドのモンテッソーリスクールを訪れたのちに帰国。東京モンテッソーリスクールを設立しました。
好きなことに熱中し、学校の枠を突破し学ぶ
モンテッソーリ教育には、6年ごとに区切られている、4つの段階があります。0〜6歳が幼児期、6〜12歳が児童期、12〜18歳が思春期、18〜24歳が青年期です。
幼児期は「センシティブピリオド(敏感期)」と呼ばれ、手を使って五感を鍛えます。子どもたちは朝来てから帰るまで、教具で手指を使いながら、オーダー(順序)の練習します。この間はセルフワークで誰ともしゃべらず、みんなでお遊戯したり、運動をしたりすることは一切ありません。
児童期になると、グループワークが始まります。他の子どもたちとコミュニケーションをとりながら、役割を分担します。私のスクールでは目黒区に畑を借りていて、野菜作りをしています。そこでも私は一切指示をしません。子どもたちが自分たちで決めて作業を行います。モンテッソーリの子どもたちは、道具がないなら自ら持ってくるなど、必ず何か仕事を見つけます。この考え方と身のこなし方が、モンテソーリの教育の一番のポイントであると私は考えます。
モンテッソーリ教育を通して、子どもたちは無意識のうちに順序立てて考えることができるようになります。また、高校生になり何かを深く勉強することになった時、「これは小学校でやったことと同じだよね?」という時限爆弾のような学びの仕掛けがいっぱいあります。なので、成長するごとにそれらが爆発し、学ぶことが面白くなってくるのです。
思春期は第二の敏感期です。この時期は自分の好きなことを見つける「マキシマムエフォート(熱中する時期)」でもあります。ここで大切なのは「バロリゼーション(価値・評価)」です。熱中と価値が両方一緒に行われないとうまくいきません。ヨーロッパのモンテッソーリスクールは農場があり、野菜などを販売しているところも多いです。子どもたちは苦労した育てたものを提供して、相手から感謝される経験をします。こういう社会体験をして、外の世界に向かっていきますから、モンテソーリの子どもたちは「ただ利益を上げればいい」というような考えはしません。
モンテッソーリのクラスは異学年です。私のところでは小学1〜6年生が一緒に学んでいます。大家族の大きな兄弟みたいなもので、上の子が下の子の面倒を見て、下の子は上の子に少しずつ憧れを抱きます。このようにいい循環ができていくのです。
モンテッソーリスクールでは、自分で学習内容を決めて、何時間やるかという時間も自分で決められます。テストはありませんし、宿題もありません。その代わり学期ごとに親に来てもらって、親の前で成果をプレゼンテーションします。人と比較されることはありません。親が喜んでいる姿を見て、自己肯定感を高めていきます。
今、不登校になる子どもたちが増えています。塾の先生方にはぜひ、フリースクールを開校していただきたいと思っています。フリースクールには明確な定義はありません。そして、誰でも設立できます。ただし、塾が直接フリースクールを設立できないので、別団体を立ち上げることになります。モンテッソーリ教育に限らず、皆さんの今までの塾の知恵がありますから、それをそのまま使って不登校の子たちを助けてあげたら、圧倒的に学力がつくと思います。そして、日本の子どもたちを幸せにしていただきたいと願っています。
第二部の50周年記念式典で開会の辞を務めたのは、NPO塾全協全国事務局長の中山和行氏。内藤潤司会長が挨拶をしたあとは、全国学習塾協会会長の安藤大作氏、東京私立中学高等学校協会常任理事の伊藤正徳氏が登壇しお祝いの言葉を述べた。その後、乾杯の発声を千葉県私立中学高等学校協会会長の川並芳純氏が務め、歓談が始まった。
記念式典には小川義男氏(狭山ケ丘学園 理事長・校長)、関純彦氏(聖望学園高等学校理事長)、夘木幸男氏(小石川淑徳学園中学校高等学校校長)らが参列。終盤には「NPO塾全協設立 50周年の概括」と題した50周年記念誌の紹介が、NPO塾全協元会長の沼田広慶氏から行われた。
閉会の辞はNPO 塾全協西日本ブロック理事長藤井寿比古氏。大盛会のうちに50周年記念大会は幕を閉じた。











![[左] 参議院議員 大島九州男 氏 [右] 協賛団体挨拶 全国学習塾協同組合 理事長 森 貞孝 氏](http://www.juku-kyoiku.com/wp-content/uploads/2026/01/2026_01_p32_oshimamori.jpg)
























