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私教育を1つの力に 高校無償化の影響
高校無償化と日本の教育の危機

2026-01-05

子どもの未来を守るために、いま必要なこと
作家 高嶋哲夫

「タダほど高いものはない」という現実

「タダほど高いものはない」。古い格言のようだが、現在の高校無償化制度もそうではないか。政治家たちは「子どもの機会均等」「家庭の経済的負担の軽減」といった、誰もが反対できない耳ざわりの良い言葉を掲げ、あたかもこの政策が未来を切り開くかのように語る。だが、その内実は本当だろうか。政策の背景には、十分な検証や長期的な展望はほとんど存在せず、人気取りのバラマキ政策としての色彩が強い。
すでに各地において、公立高校の定員割れが顕著になっている。少子化で子どもの数が急減しているにもかかわらず、国は「従来の公立高校の規模」を前提に制度を組み立てている。一方で無償化によって私立高校の魅力は増し、保護者の関心は私立へと向かう。この結果、公立高校は定員割れに苦しみ、統廃合の波に飲み込まれつつある。一方、私立高校の入学競争には拍車がかかるのではないか。かと言って、私立高校の教育レベルが上がるとも思えない。
これは単なる学校の選択問題、公立学校の減少問題でもない。「日本の教育」というシステム自体の変質を意味する。まず、かつて当たり前に存在した「地域の公立高校」という基盤が崩れ始めているのだ。本来、教育とは国家の根幹であるはずだが、その土台は確実に揺らいでいる。
30年近く前、『塾を学校に』『公立学校がなくなる』という本を書いた。当時の公立学校の硬直化や教師の質の低下、荒れる子どもたちに警鐘を鳴らすためである。これらの本の趣旨は今とは異なるが、その未来図は現実の形を取り始めている。日本の教育の構造劣化は、もはや部分的改革では立て直し不能の域に来ているのではないか。

日本の教育が抱える深層の問題

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少子化が進む一方で、不登校やいじめ、貧困問題、ヤングケアラーの問題など、子どもを取り巻く課題はむしろ増加している。子どもの数が減れば一人ひとりに目が行き届くはずだという、素朴な期待は通用しない。教育の現場は疲弊し、余裕は消え、行き場を失っている子どもたちも増えている。
では何が問題なのか。時代の変化を考えず、教育の目的が曖昧なまま、制度だけが残っていることにある。偏差値ばかりを礼賛する意識が根強いのも問題だ。
小中学校は本来、「読み書きソロバン」という基礎学力と、社会で生きるための道徳教育を中心に据えるべきではないか。しかし、現実の学校は過剰な教科内容と複雑な評価制度、さらには「モンスターペアレント」という、一部過剰な保護者の対応に追われ、本来の役割を果たせていない場合も多い。家庭教育の機能が弱まった現代では、学校が子どもの基本的な生活態度や倫理観を教える役割を担わざるを得ない。だが、現在の体制ではその余裕もない。教師もその能力を持っているとは思えない。
さらに深刻なのは、「日本の教育が多様性を前提にしていない」という構造的欠陥もある。才能は平等ではないが、才能の種類は無限にある。勉強やスポーツだけでなく、優しさ、器用さ、根気強さ、人の話を聞く力、人を楽しませる力など、これらも立派な才能である。しかし、現状の教育は「均一な優秀さ」「偏差値礼賛」を求める仕組みとして設計されてきた。これは高度経済成長期には有効だった「発展途上国型教育」であり、個性と創造性が価値を持つ現代には不向きではないか。
その結果、子どもは自分の強み、得手不得手を知る機会を失い、学校に魅力を感じず、不登校が増える原因の一つとなるのではないか。その結果大学や企業など、社会全体に早期退学・早期退職の連鎖が生まれている。学校が「自分を知るための場」でなくなり、「偏差値を上げ」「国の基準に合わせる競争の場」と化してしまったからである。

私教育の重要性と新しい教育モデル

作家 髙嶋哲夫 氏

作家 髙嶋哲夫 氏

こうした状況の中で、公立学校の代わりに子どもたちの受け皿となっているのが私立学校であり、フリースクールや学習塾を含めた民間教育機関である。そこでは、学校に馴染めない子どもたちも安心して学べる場合がある。これは、日本の公教育がすでに大きな転換点に来ていることの証拠ではないか。
教育とは、子どもの才能を見つけ、引き出し、伸ばす営みである。知識の詰め込みでは発想力は育たず、創造的な人材も生まれない。私教育は、「個人の多様性」を認める教育において重要な役割を担うべきだろう。
この考えに基づき、一般社団法人「ChildrenMake the Future」を設立した。柱は三つである。

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子どもの幸せを第一に考えること。
子どもの才能を見つけること(自分探しの手伝い)。
見つけた才能を社会とつなげ、伸ばすこと。
未来の日本を支える「人材育成」を新しく作る試みである。
政治家は「お金を配ること」を教育政策だと思い込み、本質的な人間形成、教育改革の必要性に気づいていない。ノーベル賞の対象となるような科学研究には時間と莫大な資金が必要であり、国家が本気で支援しなければ科学立国としての日本は衰退する。一方、GAFAMのような、世界的なプラットホーム企業の立ち上げでは発想力こそが必要だ。プラットフォームとなる技術を創造、開発すれば資金は集まり、社会を動かす力になる。つまり、「発想力を育てる教育」こそが、科学技術立国の基盤となる。知識人や政治家がこのことを理解していない限り、日本の未来は明るいとは言えない。

さて、最後に自分自身のこと

去年を振り返ると、個人的には、1冊も本を出せなかったが、「核融合」「日本の将来」「山火事を題材にした小説」一般社団法人の立ち上げなど、多くの準備を進めた。現実の世界は、時にフィクションよりも早く変化していく。核融合がそうかも知れない。また、去年は、日本でも香港でも大規模火災が相次いでいる。
去年の初めを覚えているだろうか。ロサンゼルスで1月7日に山火事が起こり、鎮圧が宣言されたのは31日だった。『ワイルド・ファイアー』を書き始めたら、3月下旬、岡山と愛媛でほぼ同時に大規模な山火事が発生した。まるで「小説の続き」が現実で再生されているかのようだ。
来年こそ、「教育」の本を出版したい。日本は今、教育の分岐点に立っている。高校無償化の甘い言葉の陰で、公教育の崩壊が明らかに進んでいる。子どもたちの未来を守るために必要なのは、お金のバラマキではなく、社会全体の意識改革である。それに対して私教育が代わりになるかと言われると、はなはだ心もとない。
教育は国家百年の計であり、表面的な改革では意味がない。子ども一人ひとりの才能を見つけ、育て、それを社会と結びつける新しい教育体系が求められている。教育を変えるのは、制度ではなく子どもに即した覚悟と寄り添い、そして、未来をつくるのは、いまを生きる私たちの行動である。私教育の統一に向かって頑張りましょう。決して夢ではない。

作家 高嶋哲夫 氏

教育関係の著作 「いじめへの反旗」(集英社文庫)「アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/


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