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(一社)日本青少年育成協会
アクティブラーニングで人と社会の未来を創り出そう

2026-01-05

教育コミュニケーションフォーラム2025in長崎

2016年にスタートし、今年で第10回という記念すべき大会となった「教育コミュニケーションフォーラム」。主催は、一般社団法人日本青少年育成協会。今回、初めて首都圏・関西圏以外の都市で、しかも、オンラインも交えたハイブリッド形式で11月2日(日)、出島メッセ長崎で開催された。
テーマは「幸福な人生の核となる『主体性』を育む教育のあり方」だ。まず、同協会理事・教育メソッド普及委員会委員長の小山英樹氏が「『主体性』を育む教育コミュニケーション」をテーマに基調講演。続いて「本気で挑む〝個別最適な学び〟の実現」をテーマにしたパネルディスカッションや、プレミアム分科会などが行われ、最後に参加者がリフレクションタイムで振り返りを共有した。

「から」からの解放が主体性の獲得になる

[左] (一社)日本青少年育成協会  会長 増澤 空 氏 [右] 教育メソッド普及委員会 委員長 小山 英樹 氏

[左] (一社)日本青少年育成協会
会長 増澤 空 氏
[右] 教育メソッド普及委員会
委員長 小山 英樹 氏

開会にあたり、主催者を代表して同協会会長の増澤空氏が次のように挨拶した。
「最近では、教育においてコーチングやコミュケーションが追究されて、主体性を育むことが重要視されています。そのために私は胸を弾ませながら、今日はこの会場にまいりました。今日は多くのことを学んで帰りたいと思います」
続いて同フォーラム実行委員長を務める、同協会理事の小山氏が登壇。「『主体性』を育む教育コミュニケーション」をテーマにした基調講演を始めた。

「から」「から」「から」では、意志は生まれない

「から」「から」「から」では、意志は生まれない

小山氏は「みなさんは、子どもたちのこんな言葉を耳にしたことはありせんか?」と聞いた。それは「親が勉強しろと言うから」「みんなが勉強しているから」「成績が下がってきたから」「このままだと高校に行けないから」「大学進学に必要だから」「部活が大変だから」「時間がないから」などだ。「これでは、子どもたちが自分の意志で行動を決めているといえません。『から』『から』『から』に行動を決められているのです。今日の結論はこの『から』からの解放です。これこそが主体性の獲得になると思っています。
『主体性』を辞書で引くと『行動する際、自分の意志や判断に基づいていて自覚的であること』と記載されています。私たちがめざすのは、誰かから教えられなくても、自分で調べて考えて尋ねて学んで協働できる子どもたちの育成です」

自己内省の時間が増え、学習が定着して成績が向上

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続いて小山氏は自身がアドバイザーを務める(株)智翔館(以下、智翔館)での成功例を紹介。智翔館は長崎県佐世保市に本社を置く塾で、自立型人間の育成を理念の一つに掲げている。なお、智翔館の代表は基調講演後のパネルディスカッションでパネリストを務める直江弘明氏だ。
智翔館では毎年夏に「中1・中2課題完成合宿」と「中3チャレンジ合宿」が行われている。小山氏はアドバイザーでこの2つの合宿の大改革を図った。その改革とは ①AARサイクルを徹底実施する ②協働的な学びの仕組みを導入する ③「与える、教える、させる」をやめて教育コミュニケーションの関わりである「引き出す、任せる、見守る」を徹底することだ。
AARとはOECDが提唱する学習プロセスで「Anticipation(予察)」、「Action(行動)」、「Reflection(振り返り)」を意味する。これらを繰り返していくのだ。
「その結果、どんな変化が見られたでしょうか。『中1・中2課題完成合宿』は、夏休みの40日分の宿題を3日間で終わらすことをめざす合宿です。去年までは、できなかった生徒が3割から4割いましたが、今年は参加者全員が宿題を仕上げることができました。
2泊3日で英語と数学を学ぶ『中3チャレンジ合宿』では、授業時間を昨年の計835時間から今年は計590時間に減らしました。こうして先生が教える時間を減らした代わりにAARタイムを設けたのです。これにより、自己内省の時間が増え、学習が定着して、2日目の中間テストや3日のファイナルテストでは、平均点、100点率、最低点のすべてが去年と比べて改善されました。
授業時間の削減は、主体的な学びを生む時間の再配置であり、量から質への転換が明確に成果として現れたのです」

「中3チャレンジ合宿」の成果「新しい自分に出会って感動した」「初めて勉強を楽しいと感じた」

教育コミュニケーションに基づく面談例

教育コミュニケーションに基づく面談例

さらにこの「中3チャレンジ合宿」では、先生による叱責や、生徒の居眠り、遅刻などがなく、自由時間では自主勉強と生徒同士の教え合いが自然発生して恒常化したそうだ。また、生徒のアンケート結果を見ると「頭だけでなく心が成長した」「新しい自分に出会って感動した」「生まれて初めて勉強を楽しいと感じた」「仲間の役に立てて嬉しかった」といった声が並んでいる。
「できない子、だめな子などはいません。なのに『この子は集中力がない』『根気がない』と決めつけてしまうと『与える、教える、させる』になってしまうのです。一方、子どもたちを信じて『傾聴する』『承認する』『質問する』『反映する』『提示する』によって支援することが教育コミュニケーションなのです。
このコミュニケーションが一対一で行われるとコーチングが、一対他になるとアクティブラーニングが実現します。それでは、会場のみなさん、隣の方と一緒に考えてみてください」
そういって小山氏は例題を出した。例えば先生が「では、チャレンジ問題の1番、2番をやってみよう」と生徒に言ったとする。その後、どのような言葉を生徒に投げかければよいだろうか?
「例えば『何分ほしい?』と聞くことが教育コミュニケーションです。こうした質問を繰り返しているうちに、子どもたちは時間設定ができるようになります」
また、小山氏は面談での教育コミュニケーションのあり方を紹介した。第一志望はA高校だという生徒に「どうしてA高校なの?」と聞けば「A高校に入れば、大学に行けるから」という答えが返ってくる。「どうして?」と聞いたために「から」が返ってくるのだ。
これを「A高校に行く目的は何?」と聞けば「大学に行くため」、「何のためにどこの大学に行きたいの?」と聞けば「情報関係か経営の勉強のために、国立大学かな」といった自分の意志を表す答えが返ってくると力説する。こうした対話によって子どもたちの心の中に目的意識が生まれ、その目的を自動追尾して達成しようとするというのだ。
「今は、予測困難なVUCAの時代です。そんな時代を生きていく子どもたちだからこそ、動力を持たずにクルマなどに引っ張られて飛ぶグライダーではなく、動力を持って自らの力で飛ぶ飛行機のようになってほしいのです」

小学6年生が大阪・関西万博で外国人観光客にお茶を振る舞う

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続いて「本気で挑む〝個別最適な学び〟の実現」をテーマにしたパネルディスカッションへ。パネリストは長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町教育委員会教育長の山口厚氏、智翔館代表・(株)智翔館NEP代表の直江弘明氏、特定非営利活動法人schoot代表の内海博文氏の3名だ。なお、schootは、フリースクールを主な事業として不登校の子どもたちに学習機会を提供している。
ファシリテーターは日本教育メソッド研究機構専務理事の福本佳之氏、コメンテーターは小山氏だ。
「パネルディスカッションの前半は、山口様が教育長を務める東彼杵町の試みをご紹介しながら、個別最適を実現する上での公教育や民間教育の現実や課題や壁について、パネリストの皆様が議論を繰り広げながらテーマを掘り下げていきます。
後半はこれからの教育や地域について、どのような未来に向かうべきかをパネリストの皆様に意見を伺いながら考えていきます」
福本氏がこのように述べたあと、会場に映し出された動画を山口氏が示しながら、その試みについて語った。

外国人観光客にお茶を振る舞う、東彼杵町の小学生たち

外国人観光客にお茶を振る舞う、東彼杵町の小学生たち

「こちらが今年9月、東彼杵町の小学6年生が修学旅行で大阪・関西万博を訪れた時の様子です。みんなでオランダパビリオンに来館した外国人観光客にそのぎ茶を振る舞っています」
そのぎ茶は、東彼杵町の特産品。過去何度も農林水産大臣賞を受賞している。
「私は、学びが学校の中に閉じ込められたものではなく、外に向かって開かれたものであるべきだと考えています。その思いから、町役場の担当者とオランダ大使館に出向き、交渉してこの取り組みが実現いたしました。
学びは活かしてこそ深まります。しかし、個別最適な学びの実現には時間がかかります。本気で挑むには継続も必要です。それには学校だけでは難しいと思うのです。そこで東彼杵町の教育には大勢の方たちと連携を図りながら、ブラッシュアップできるように努めています」
大阪関西万博に向けて小6生たちはおいしいお茶の淹れ方を専門家から、英語でのコミュニケーション方法をALTや西南女学院大学の教授から、CMの創り方をプロのクリエイターからそれぞれ学んだ。大阪関西・万博がこうした学びを活かすフィールドとなったのだ。

テストの点数では測れない幸せになる力を育む

東彼杵町で行われている多彩なキャリア教育

東彼杵町で行われている多彩なキャリア教育

「学校で学ぶだけでは子どもたちの探究心に火が灯ることはありません。小6生は大阪・関西万博で多くの外国人と触れ合うことで、外国への興味関心が一気に高まり、生き生きとコミュニケーションを楽しんでいました。帰りの空港では外国人親子に話しかける子もいました。学校の勉強だけではなく、学んだことを活かすフィールドがあったからです。
東彼杵町の中学におけるキャリア教育では地域すべてがフィールドになり、子どもたちは小学生の時よりもさらに手と足と頭を働かせます。自身の学びをさらに活かすことが狙いです。子どもたちは学習の中で地域の方々とのつながりを深め、協力や理解を得て、その学びを地域に活かしています。大きく開かれた扉の外で、個別最適な学びを着実に実現させているのです」
また、東彼杵町の小中学校はICT化にも成功している。
「東彼杵町では授業にベネッセのアプリ『ミライシード』を活用しています。これを導入している全国の先生方の優れた取り組みや事例にはベネッセから『ミライシードAWARD』という賞が与えられます。
昨年、町内3校の先生が中心となってこの賞に応募した結果、すべての事例において子どもたちの主体性を引き出し、テストの点数では測れない幸せになる力を育んでいると本町全体の姿勢を高く評価していただき、『ミライシードAWARD』の地域特別賞を受賞しました」

先生を様々なタスクから解放して地域に頼っていく

『ミライシードAWARD2025』で特別地域賞を受賞

『ミライシードAWARD2025』で特別地域賞を受賞

智翔館や東彼杵町の革新的な取り組みに関して、内海氏は次のように述べた。
「智翔館の合宿の例を拝見させていただくと、プレッシャーを感じずに授業数を減らせるなど、先生方が様々なタスクから解放されていることが、個別最適な学びを成立させていることがわかりました。
では、どのように地域との連携やICT化を進めていったのでしょうか?」
この質問に関して、山口氏は次のように答えた。
「私が教員をしていた時から、自分が教えるよりも、農業など、その道のプロの方が教えた方が生徒に伝わることがわかっていました。どの専門家の方も依頼すれば快諾していただけます。子どもたちのために何かしたいという大人の方が大勢おられるのです。
ICT化の推進に関しても、先生方がその使用に関して何か困ったことがある時には企業の方に連絡をとって解決できるような仕組みをつくっています。地域の方々に頼ってもいいと実感できる機会を徐々に増やしているところです」
こうした事例に関して直江氏は次のような意見を述べた。「ICTに関しても、子どもたちにどう使わせるかを先生が考えるのではなく、子どもたちからアイデアを募り、一緒に活用法を考えればいいのではないでしょうか。『先生だから、こうしなければならない』といった思い込みを取り払う必要があると改めて強く感じました」

自分が受け入れられていると子どもが実感できる土壌を

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

そしてパネルディスカッションは後半へ。3名は個別最適化について熱く意見を交わしたあと、今後のヴィジョンを語った。
「協働的な学びと個別最適な学びの関係について考えると、私は協働的な学びが先だと考えています。協働的な学びの中で、『僕はこのままでいいんだ』『私のことをみんなが楽しそうに見てくれている』と自分が受け入れられていると実感できて初めて個別最適な学びができるからです。そんな土壌をこれまで以上につくっていきたいと考えています」(内海氏)
「今はネットの普及によって、どのような場所でも世界を相手にビジネスができます。地元で起業できるのです。そのためにも、子どもたちの可能性を引き出せるように応援していきたいと思います」(直江氏)
「子どもたちの夢を実現できるように、子どもたちを中心に考えて、これまで以上に大勢の方々の協力を仰ぎながら教育活動を展開していきたいと思います」(山口氏)
そして最後に小山氏が次のようにパネルディスカッションを結んだ。
「子どもたちの多様性をさらに認めて尊重することが、次期学習指導要領の大きな柱となっています。未来を担う子どもたちのために私たち大人が視野を広げ、固定概念を取り払って、多様性を認める力を高めていくことから、すべては始まるのではないかと感じました」

「TPチャート」を作成自らの教育活動を振り返る

「TPチャート」の記入例

「TPチャート」の記入例

午後からはプレミアム分科会がスタート。会場とZoomによるオンラインで、合わせて6つの分科会が開催された。
会場は、ユマニテク短期大学教授の鈴木建生氏による「インプロ教育の探究~インプロゲームを通して~」、こころ未来高等学校校長・合同会社まなび舎代表社員の梶原恵氏による「親も先生ももっと〝楽〟になれる~子どもの〝育ち〟を引き出す教育コミュニケーション~」、長崎かんぼこ王国副首相・(株)杉永蒲鉾代表の杉永清悟氏による「〝味の横綱〟に挑め!~多様な『個』が輝くチームの創り方~」。
Zoomは、広島城北中・高等学校校長の中川耕治氏による「私のなりたい先生は…」、長野県スクールカウンセラー・「教と育」研究所代表の内藤睦夫氏による「『主体性』までの段階的アプローチ」、さくら塾塾長の萩野美紀氏の「教育コミュニケーションはすべての現場に通じる~学校・塾・家庭・ビジネスでの実践と効果~」だ。

最後にグループに分かれ
この日の学びを振り返る

「第10回HKS中国留学・就職フェア2025」の様子

「第10回HKS中国留学・就職フェア2025」の様子

分科会のあとはナレッジタイム「日本青少年育成協会事業紹介」。同協会専務理事・事務局長の本田恵三氏と同協会中西歩美理事がその事業について解説した。
同協会は1997年、アメリカ交換留学事業をスタートさせ、2015年にはHKS留学推進室を発足。HKSは、世界標準の中国語検定試験。同協会がこの試験の日本での運営を任されていることから、2016年には「HKS中国留学・就職フェア」を開催した。

(一社)日本青少年育成協会 副会長 木村 吉宏 氏

(一社)日本青少年育成協会
副会長 木村 吉宏 氏

続いてリフレクションタイムへ。テーマは「学びの統合:『主体的・対話的に学びを深める』だ。福本氏と日本教育メソッド研究機構理事の永井智幸氏のファシリテートのもと、参加者はグループに分かれて、この分科会における学びの振り返りを共有。萩野氏の「教育コミュニケーションはすべての現場に通じる」を受講した女性は「教育に関して、人それぞれ受け止め方や視点が違うことがわかって刺激を受けました」と振り返っていた。
最後に同協会副会長の木村吉宏氏が閉会の挨拶を述べた。「主体性と放任は紙一重であり、主体性は一歩間違えると放任になってしまいます。そこで、コーチングが必要なのです。子どもたちの声に耳を傾け、質問して考えさせ、意見を述べたら承認して、子どもたちが幸福な未来を送れるように、大切に育てていきたいと思います」


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