
教育資源としての民間教育 第94回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
多様な学びの形と、地域社会との新たな連携
2025年もいよいよ年の瀬を迎えました。今年1年を振り返ると、教育を取り巻く社会環境が大きく変化し、その中で学習塾が果たす役割の重みを改めて実感する年となりました。少子化が進む一方で、子どもたちの学びの多様化、家庭の教育観の変化、そして学校現場の課題が顕在化する中で、塾はもはや「学力を伸ばす場所」という枠を超え、「学びを支える地域のインフラ」として新たな価値を生み出しています。
近年、全国各地で自治体やNPOとの連携が進み、生活困窮世帯への学習支援や不登校児童への居場所づくり、放課後児童クラブとの接続など、塾が社会的課題の解決に寄与する場面が増えています。こうした取り組みの広がりは、教育の公共性を補完する存在として、民間教育が社会から認められつつある証でもあります。特に地方では、学校や家庭だけでは支えきれない領域を塾が担う事例も見られ、地域の学びを支える「共創の輪」が着実に広がっています。
一方で、政府による高校授業料無償化や教育DX推進など、教育制度の再構築も進んでいます。学びの機会を平等に保障する流れは歓迎すべき一方で、制度の整備だけでは解決しない現実も多く残されています。経済格差や家庭環境の違いが、子どもの学びや将来の選択に影響を与える構造は依然として根深く、私たち民間教育に携わる者にとっても大きな課題です。だからこそ、塾業界は単なる教育サービスではなく、「学びのセーフティネット」としての使命を強く意識する必要があります。
2026年に向け、全国学習塾協会では、「安心・安全な学びの場の確保」「社会的信頼の向上」「地域との協働強化」を柱に活動を進めてまいります。学びの在り方が多様化し、AIやデジタルツールが急速に浸透する今こそ、子どもたちに寄り添う“人の教育”の価値を再確認しなければなりません。
今後も、公益社団法人全国学習塾協会は、業界全体の社会的信頼を高め、民間教育が公的なパートナーとして認識されるよう、行政との対話や制度提言を継続してまいります。塾業界の皆さまとともに、これからの時代を支える子どもたちの学びの環境を築いていけるよう、ご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
本年も、会員の皆様のご理解とご尽力に心より感謝申し上げます。どうぞ健やかに新しい年をお迎えください。

































