
私教育を1つの力に
一般社団法人「Children make the Future」の設立
子どもたちが未来を創る
作家 高嶋哲夫
「授業時間減 学校に裁量」「次期指導要領枠組み 中学〈情報〉新教科」「個々の学びに〈柔軟性〉」「学校の裁量拡大 画一的指導危機感」
文部科学省は9月5日、小中高の次期学習指導要領の枠組みを中央教育審議会特別部会に提示した。改定は約十年に一度行なわれる。この改定は2030年度から順次実施される。
「その志やよし」である。でももっと根本的なことを変えなきゃ。小中高の学習の目的は何か。多くの大人、子どもの目的は……。大学の入試制度の再考。世界でも例を見ないモノにすればいいのにね。
さて、一年以上にわたり、色々述べてきた。夢物語だったかもしれないが、そうでもなかったのかもしれない。
一般社団法人「Children make theFuture」(略称CMF)が設立された。以下、その概要である。
1.はじめに
現在の日本社会は、大きな転換点に立たされている。経済の停滞、DXの遅れ、国際競争力の低下……。これらの問題の根底には「教育の遅れ」が存在する。戦後から八十年続く教育制度は、もはや時代に合わない。記憶中心の学習、偏差値による選別、横並びを求める画一的な価値観。これでは世界をリードする新しい発想や産業は生まれない。
かつて日本は「モノづくり大国」と呼ばれた。だが、21世紀に入ってからGAFAMのような世界的プラットフォーム企業を生み出せなかった。それは教育が子どもの多様性や主体性を伸ばす方向に設計されていなかったからである。社会を動かすのは、机上の知識だけではなく、新しい発想と挑戦する心だ。その力を最も強く持つのは子どもたちである。
この認識のもと、一般社団法人「Childrenmake the Future」は設立された。子どもたちが未来を創る主役であるという理念を掲げ、教育の在り方を根本から問い直し、新しい社会の基盤を築く役割が担えればと思っている。
2.「Children make the Future」の役割
この法人の最大の役割は、子どもたちの主体性を伸ばすことである。従来の教育は、不得意科目を克服させることに重点を置いてきた。だが、人はそれぞれ異なる。勉強が好きな子もいれば、勉強が苦痛な子もいる。スポーツに夢中になる子、音楽に心を燃やす子、絵を描くことに喜びを見いだす子。教育とは、本来その違いを尊重し、一人ひとりの才能を見つけ、それを伸ばす手助けをすることだ。
子どもたちが「自分は何が得意で、何が苦手なのか」を早くから理解し、社会とつながりながら自己を確立すること。それこそが未来を担う人材を育てる第一歩である。「Children make the Future」は、その環境を社会全体で支える仕組みづくりを目指している。
3.日本中の子どもを一つにする —「いじめを考える日」
その活動の象徴が「いじめを考える日」の創設である。いじめは学校が抱える最も根深い問題の一つであり、子どもたちの命を奪うことさえある。しかし、教師や大人が一方的に解決できる問題ではない。大切なのは、子どもたち自身が向き合い、話し合い、解決策を見つけ出すことだ。
「いじめを考える日」は、全国の子どもたちが同じ時間を共有し、同じテーマについて語り合う特別な日である。学校の枠を超え、まずは地域の子どもたちが集まり、経験や考えを交換する。これによって、孤立している子どもも「一人ではない」と感じることができる。さらに、インターネットを通じて全国を結び、日本中の子どもが一体となることを目指している。
この取り組みを象徴的かつ機能的にするために、映画『シン・ダーティー・ユー』が制作される。いじめを真正面から描いた作品を子どもたちが共に鑑賞し、感想を共有することで議論が深まる。映画は単なる娯楽ではなく、子どもの心を変え、社会を動かす教育的ツールとなる。
4.子どもたちが抱える課題と自律的解決
現代の子どもたちは、いじめ以外にも「不登校」「ヤングケアラー」「虐待」「貧困」といった多様な問題を抱えている。これらは社会全体の構造的な問題でもあるが、当事者である子どもたちの声を反映しなければ、真の解決には至らない。
「CMF」は、子ども自身が自分の課題を語り合い、仲間と共に解決の糸口を探す場を提供する。例えば、不登校の子が「学校に行かなくても学び続けられる仕組み」を提案し、ヤングケアラーが「地域全体での支援システム」を考える。大人はそれを「指導」するのではなく、耳を傾け、実現のための環境を整える役割を担う。
これは教育を「教える」「与える」から「共に創る」へと変える試みであり、日本社会にとって革新的な一歩である。
5.新しい教育の形と世界への展望
日本の教育の欠陥は、大学入試に表れている。知識重視の入試は学問の幅を狭め、創造的な才能を潰してしまう。AO入試や推薦入試も増えたが、現在のそれは「生徒の青田買い」に過ぎない。大切なのは、小中学校の段階で自分を知り、高校で自分の進む道を主体的に選べる環境を整えることだ。
高校も単に偏差値で序列化されるのではなく、それぞれが独自の特徴を持ち、子どもが将来の方向性を見据えて選べるようにすべきである。科学、芸術、スポーツ、地域活動、国際交流――多様な学びの場を提供する高校が全国に存在すれば、子どもたちの可能性は大きく広がる。
さらに「CMF」が目指すのは、日本国内にとどまらない。子どもたちの交流を世界へと広げ、「世界に通じる教育」を築くことである。世界中の子どもたちが互いに語り合い、学び合い、未来を共に創るネットワークが生まれれば、それはかつてない教育革命となるだろう。
6.最後に — 子どもたちこそ未来
日本が再び世界をリードするためには、産業や技術の模倣、発展ではなく、最初の発想そのものを生み出す力が必要だ。その源泉は子どもたちである。彼らの主体性、多様性、創造性を尊重し、伸ばしていくことにこそ未来への道がある。
一般社団法人「CMF」は、その先頭に立ち、教育の新しいビジョンを社会に提示する存在である。「いじめを考える日」や映画『シン・ダーティー・ユー』を通じ、子どもたちは自分の問題に正面から向き合い、仲間と共に未来を築く力を身につけてもらいたい。
子どもたちが自分自身を知り、社会を知り、世界とつながる。その時、日本は新しい教育国家として立ち上がるだろう。そして、その未来を創るのは、ほかでもない子どもたち自身なのである。
チョット、立派すぎるか。でも、理念は立派すぎるほどいい。どうせ現実によつて、修正される。でも……。
作家 高嶋哲夫 氏
教育関係の著作「いじめへの反旗」(集英社文庫)「アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/

































