
教育資源としての民間教育 第92回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
「学びの公共性」と「民間教育の責任」
2025年も折り返しを過ぎ、夏の暑さが和らぎ始めた頃、教育をめぐる社会的議論が一段と熱を帯びています。特に最近では、「学びの公共性」に関する議論がメディアや政策の場でも注目を集めています。学校教育だけでなく、学習塾を含む民間教育にも、その意義や責任が改めて問われる時代になってきたと感じます。
実際に、文部科学省が推進する「教育DX」や探究型学習の充実、さらにはこども家庭庁が提唱する「こども基本法」のもと、子どもたち一人ひとりの多様な学びを支える環境整備が進められています。その中には、学校外のリソース、すなわち我々のような民間教育機関の役割を積極的に取り込もうとする動きも見られます。こうした変化の背景には、「どこで、誰と、どのように学ぶか」は、もはや学校の枠だけでは捉えきれない、という現実があります。
同時に、我々塾業界も変革が求められています。ただ知識を教えるだけではなく、子どもたちの「学びを支える仕組み」として機能していくことが必要です。例えば、家庭での教育的格差を補う役割、不登校や多様な学びを選ぶ子どもたちの居場所づくり、さらにはキャリア形成の支援など、学校では手が届きにくい部分に、塾が橋渡し役として立つケースが増えています。
一方で、社会からの期待が高まるほど、「民間教育の質」や「信頼性」への関心も高まります。学習塾においても、講師の人材育成、安全管理、情報管理、個別支援の在り方など、多くの点で一層の専門性と倫理性が求められるようになりました。これまで「自由市場」の原理で動いてきた我々が、「社会的な使命」を帯びる以上、事業者一人ひとりが“教育者”としての覚悟と誇りを持つことが不可欠だと感じます。
全国学習塾協会では、こうした時代の要請を受け止めながら、業界全体の価値を高める取り組みを進めています。例えば、安心して働ける塾講師環境の整備、個人情報保護や安全対策の強化など、「教育の質」と「安心」の両立に向けた歩みを、会員の皆様とともに進めています。
今、塾は「ただの習い事の一つ」ではなく、「社会における教育の一機能」としての立場を担い始めています。この潮流の中で、私たち自身が何を掲げ、何を守り、どのように社会に貢献していくのか──それを問い続ける秋にしたいと思います。

































