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私教育を1つの力に『 ダーティー・ユー』
シナリオ・ワークショップ

2025-09-01

映画づくりを通して、いじめを考える全国的な取り組みへ

作家 高嶋哲夫 氏
教育関係の著作 「いじめへの反旗」(集英社文庫)「アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/

一般社団法人「Children make the Future」の設立

一般社団法人「Children make the Future」は、すべての子どもたちが自らを「未来の創り手」として育ち、その力を社会の中で発揮できるよう支援することを目的に設立された団体である。目指すのは、いじめや不登校、ヤングケアラー、貧困、孤立といった問題を単に事後的に処理するのではなく、日常の中で予防し、子どもたちが互いに尊重し合える環境を築くことである。そのためには、私教育と公教育の垣根を越え、学校や学習塾、地域活動などあらゆる教育資源をつなぎ、すべての子どもに平等で質の高い学びを届ける必要がある。
また、一人ひとりの興味や強みを尊重し、主体性と多様性を育む環境を整えること、そして日本中の子どもたち、世界の子ども同士が交流し共通の課題について語り合えるネットワークを築くことも重要な柱だ。こうした活動を民間・行政・教育機関と連携して進め、教育現場の声を社会や政治に届けることで、制度面からも子どもたちの未来を守っていければと考えている。

特に重要なプロジェクトが「いじめを考える日」

これは、全国の学校をオンラインでつなぎ、同じ日に同じテーマについて子どもたちが考え、意見を交わす全国的な教育イベントだ。その核となるのが、映画『シン・ダーティー・ユー』である。この作品は、いじめ問題に向き合ってきた原作『ダーティー・ユー』をもとに、時代の変化やSNSの影響など現代的な要素を加えて再構成した新しい物語だ。子どもたちがこの映画を観る前と後で、何かが変わる──そんな体験を提供することを目指している。

「シナリオ・ワークショップ」の意味

しかし、映画づくりは構想から完成まで長い時間と多くの資金を要する。そのため、完成を待つだけでなく、制作準備の段階から子どもたちが主体的に関わる仕組みを用意している。それが「シナリオ・ワークショップ」だ。
現在、原作本は品切れが続いているため、映画用に書き下ろしたシナリオ第一稿を500部印刷し、学校向けに貸し出している。著作権や部数の制限から貸出方式を採用し、各校で大切に扱いながら読書会を開くことにした。ワークショップの目的は単に読んで話し合うことではない。ここで話し合われた登場人物の設定や物語の展開についての意見は、シナリオ改稿に反映される。子どもたち自身も映画づくりの一人として、参加してほしい。

岡山県の「山陽学園高校」での取り組み

この活動のモデルケースとして、岡山県の山陽学園高校での取り組みがある。僕は山陽学園大学で毎年集中講義を担当しており、その縁で付属中高の図書館司書さんと知り合った。この司書さんの尽力で、図書委員が主体となり、高校生に『シン・ダーティー・ユー』シナリオ第一稿を読んでもらい、その後討論会を開催した。事前に質問事項や読み方のポイントを整理した資料を作成して臨んでくれたことで、議論は活発に進み、登場人物の心情や物語の展開について深い意見が交わされた。この取り組みは地元紙・山陽新聞にも取材され、地域に広く紹介された。
この「山陽学園モデル」は、他の学校でも同様の活動を展開できる可能性を示しており、今後全国への広がりを目指す上での重要な実例となった。現在、品川区の一部で、開催の計画が進んでいる。

さらなる発展へ

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ワークショップを通じて子どもたちには、自分の意見が作品づくりに反映される手応えを感じてほしい。物語のメッセージをどう届けるか、登場人物の行動や言葉にどんな意味を込めるかといった創作の核心に触れながら、「いじめ」というテーマを多面的に理解していく。この経験は、単なる道徳の授業や講話以上に記憶に残り、価値観の変化を促すだろう。
今後は、「山陽学園モデル」を参考にしながら、全国の中学(可能ならば小学校も)・高校、学習塾、地域コミュニティへ活動を広げていく計画だ。そして、映画完成後には「いじめを考える日」を全国同時開催し、オンラインで学校をつなぎ、上映と討論を同時に行う。まずは数校から始め、少しずつ参加校を増やして最終的には「日本全国の学校が同じ時間に同じテーマを共有するイベント」へと育てることが出来れば最高だ。この取り組みは、子どもたちが地理的な距離を越えてつながり、互いに意見を述べ、聞き、議論する「共有の時間と空間」を生み出すという壮大な試みだ。教育の歴史に新たな一歩を刻むものになれば嬉しい。

まだまだ道は遠い。
多くの賛同が必要

作家 髙嶋哲夫 氏

作家 髙嶋哲夫 氏

このプロジェクトの実現には、全国の学校の協力が不可欠だ。参加する学校では、まずシナリオを囲んで話し合いを始めてもらいたい。「この登場人物ならどうするか」「自分だったらどうするか」そうした対話の中から、自然にいじめを許さない価値観が育まれるはずだ。賛同校として登録すれば、活動報告が全国に共有され、他の学校との交流や将来の全国同時上映イベントへの参加にもつながる。一つの学校の小さな一歩が、日本全体の教育の変化を生み出す力になる。お金は一切必要ありません。
同時に、個人はもとより、企業や団体の支援も欠かせない。映画制作と全国規模の教育活動を両輪で進めるには、制作資金や運営費が必要だ。いじめ防止は教育現場だけでなく、将来の社会や企業文化にも直結する。子ども時代のいじめを減らすことは、大人社会でのハラスメント抑止にもつながる。支援企業は「賛同パートナー」として公式サイトや広報物で紹介され、活動成果や子どもたちの声も共有される。企業と学校、地域をつなぐイベント企画や社員参加型プログラムも検討中だ。単なる映画制作支援ではなく、「未来をつくる教育投資」として、この活動に力を貸してほしい。
『ダーティー・ユー』シナリオ・ワークショップは、映画づくりの準備であると同時に、いじめ問題に正面から取り組む全国的なムーブメントの始まりである。子どもたちが自ら考え、議論し、創り上げるこのプロセスを通して、「自分も参加した映画」「全国の仲間とつながっている」という実感を持ってもらいたい。そして映画が完成したその日、日本中の子どもたちが同じ時間に同じテーマを語り合う。そんな未来を必ず実現したいと願っている。

■お問い合わせ
「いじめを考える日プロジェクト実行委員会」
東京都品川区大井1-23-4-8F
Tel.090-1506-2077(鈴木)

■Webサイト
https://sites.google.com/frame-ke.net/ijimewokangaeruhi/home


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