
私教育を1つの力に「いじめを考える日」ってどんな日?
「一般社団法人 未来を創る新教育推進会」を作って、日本の教育を変える。僕はその中心になるのは、「いじめを考える日」の設立だと思っている。子どもの数の減少にも関わらず、いじめは年々増えている。それに対するほぼすべての対策は、事後に対するもので消極的な取り組みだ。「もっと優しくなろう」「もっと強くなろう」「相手のことも考えよう」そう考える子どもを増やしていくにはどうすればいいか。
「いじめ」の数を減らす。日本中の人は賛成してくれるだろう。その日、終日、日本中の子どもたち、教育関係者が一つのことを考え、議論するのも、悪くはないことだ。もし実現すれば、すごいことだと思う。日本中の子どもが、一つになれる可能性を秘めている。重複になるが、今回はさらに具体的なことについて述べる。
設立の意義
日本の教育現場では、いじめが深刻な社会問題として認識されています。文部科学省の調査によれば、いじめの認知件数は増加の一途をたどり、自殺に至るケースも後を絶ちません。不登校や発達障害、ヤングケアラーといった問題も同様に深刻化し、教育現場は多くの課題に直面しています。この状況を受け、「いじめをなくす」という誰もが共有できる目標に向けた取り組みが求められています。
「いじめを考える日」は、いじめの根絶を目指し、全国の学校で実施される特別な一日です。この日は日常の授業を停止し、生徒たちがいじめや人間関係の問題について深く考える機会を設けます。いじめの原因や防止策を主体的に考え、行動するきっかけを与えることを目的としています。
実施の背景
文部科学省の令和5年の調査では、いじめの認知件数が68万件を超え、長期欠席者や不登校の児童生徒数も過去最多を記録しています。特に小中学校では、不登校の生徒が約30万人に上り、自殺した児童生徒の数も増加しています。これらの問題は、社会全体での取り組みを必要とする深刻な課題です。
従来のいじめ対策では、定義や事後の調査を中心とした取り組みが主でしたが、「いじめを考える日」は、子どもたち自身が問題に向き合い、自らの心を変えることを目指しています。その中心には、映画『ダーティ・ユー』の上映を据え、生徒の心に直接訴えかける方法を採用しています。
一日のスケジュール例
この特別な一日は、「いじめについて考え」「生きる意味を学ぶ」時間として設定されます。以下はその詳細なスケジュールです。
・8時30分〜9時 朝の集会
学校長や教師がこの日の意義について語ります。「いじめを防ぐために何ができるのか」という問いを投げかけ、生徒たちに考えさせる導入とします。
・9時〜11時 映画鑑賞『ダーティ・ユー』
全国の学校で同時に『ダーティ・ユー』を鑑賞します。この映画は、いじめの実態とその影響を描きつつ、いじめを克服する勇気と共感を伝える内容です。鑑賞後、教師が解説や質疑応答を通じて生徒たちの理解を深めます。
・11時〜12時 学年ごとの討論会
学年ごとに分かれ、いじめの原因や防止策について話し合いをします。教師は議論を促進し、生徒全員が発言できるようサポートします。
・12時〜13時 昼食
通常の昼食時間ですが、生徒たちが午前中の活動について自由に話し合う場にもなります。
・13時〜14時 特別講演と録画視聴
いじめ被害者やその家族の体験談を記録した映像を視聴し、教育専門家によるオンライン講演を実施します。これにより、問題を多角的に捉える視点を提供します。
・14時30分〜15時30分 感想文執筆
一日を通じて学んだことを文章にまとめます。生徒たちの感想文は後日、小冊子として編集・配布されます。
・15時30分〜16時 終わりの集会
一日の活動を振り返り、生徒や教師が感想を共有します。「いじめ撲滅」に向けた決意を新たにする時間です。
日本の教育の現状と「私教育」の役割
日本の教育は、暗記中心の学習や均一化に偏重しており、創造力や多様な才能を伸ばす機会が不足しています。このような状況が、いじめや不登校の増加を助長している可能性があります。一方、私教育は公教育を補完し、個々の生徒のニーズに応じた柔軟な教育を提供することができます。
学習塾や私立学校は、基礎学力の向上や進学に重要な役割を果たしてきましたが、その貢献が十分に評価されていないのが現状です。これらの私教育が一体となることで、いじめや不登校といった課題への実効性の高い提案を実現できるはずです。
「いじめを考える日」と私教育の統一
「いじめを考える日」の設立は、私教育の存在意義を広く知らしめるプロジェクトです。その核となるのが、映画『ダーティ・ユー』を制作し上映することで、私教育の社会的評価を高めると同時に、いじめ問題解決への統一的なアプローチになることを信じます。
映画鑑賞を通じて生徒たちに「いじめは犯罪である」というメッセージを伝え、共感や思いやりを育むことを目指します。この映画は、子どもたちの心を「もっと優しく」「もっと強く」「相手のことを考える」方向に変えるきっかけとなるでしょう。その心は大人になって、多くのハラスメントをなくすことに役立つでしょう。
子どもに関する多くの問題の解決にもつながる
子どもに関する問題には、いじめや不登校に加え、ヤングケアラー、虐待、成績不振、発達障害など、多くあります。こうした問題を減少させるには、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みが必要です。「いじめを考える日」を通じて、子どもたち自身が問題を主体的に捉え、行動する力を養います。また、保護者や地域社会もこの活動に関わり、いじめを許さない文化を共有することが求められます。
「いじめを考える日」の未来
「いじめを考える日」を毎年継続することで、いじめ問題に対する社会全体の意識が向上し、子どもたちが安心して学べる環境が整うことが期待されます。また、この日は教育界全体が連携して取り組む経験を積む場ともなり、他の教育課題への解決策を見出すための土台となるでしょう。
「いじめを考える日」は、いじめ問題の根本的な解決に向けた重要な第一歩です。私教育と公教育が手を取り合い、子どもたちが「優しく」「強く」その才能を生かしながら成長できる社会を築くための取り組みを進めるべきです。この提案が、未来の教育を変革する契機となることを願っています。
現在、学習塾、私立学校の団体は数多くある。しかし教育内容に直接提言できる組織はない。もし、文科省に対して直接対等に提言できる組織があれば、より良い日本の教育が確立されるだろう。もし、「一般社団法人 未来を創る新教育推進会」が中心になって、「いじめを考える日」を実現できれば、その可能性はある。その日は、子どもたちが抱える多くの問題を取り上げ、解決に近づけることができる。いずれは、いじめ以外の問題にも広がっていくだろう。夢のような話であるが、決して夢ではない。
作家 高嶋哲夫 氏
教育関係の著作「いじめへの反旗」(集英社文庫)「 アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/