三重県を基盤に展開する塾・予備校eisuにてCOO（最高執行責任者）を務める伊藤奈緒氏が、2023年4月にIBCパブリッシングより『教育による日本再興論教育は人と社会と国の未来を決する』を上梓した。
伊藤氏に、初となる著書に寄せる想いをお聞きし、同志である塾・予備校関係者へのメッセージをいただいた。

目　次

伊藤奈緒 著　IBCパブリッシング 刊　1,760円（税込）

序　章　私が、教育についてお話ししたいと思ったワケ
第 1章　課題発見・課題解決ってそもそもどういうこと？
第 2章　大学入試はこんなに変化している
第 3章　非認知能力をどう育む？
第 4章　「なぜ勉強しなくちゃいけないの？」にどう答える？
第 5章　AI時代に必要な本質的な能力とは？
第 6章　母国語リテラシーはどう磨く？
第 7章　知識偏重は本当にダメなの？
第 8章　プログラミング教育の目的はプログラマーを育てること？
第 9章　これから身につけるべき英語力は？
第10章　これからの時代は学歴不問!? 中学受験は悪!?
第11章　家庭学習こそ学びの最終到達点!!
第12章　教育による日本の再興を！

教育への意欲や向上心が低下する日本…人材立国・日本を再興するには教育しかない！

日本では、教育に対する意欲や向上心が著しく低下しています。これは危機的状況です。世間に目を向けると、「受験のための勉強は必要ない、子どもにとって良くない」「無理してがんばらなくていい」「これからは学歴じゃない、好きなことでお金を稼ぐ時代だ」…といった安易に流れる世論が強くなっているように感じられます。
多様な価値観や考え方があるのは理解しますが、このような風潮が強まれば、間違いなく国は衰亡します。手遅れになる前になんとか手を打ちたい。日本再興には教育が不可欠だ！ということを多くの人にお伝えしたい！志を同じくする教育関係者の皆さまと、世の中を変えていきたい！そんな想いを込めて、本著を執筆しました。本来の仕事もあり、正直迷う気持ちもありましたが、師でもあるeisu山本代表の後押しと励ましを受け、eisuの一員として、民間教育界に恩返しするためにも、精魂こめました。
ただ、私も含め、自分自身が指導現場に立つ人の著わした書籍は、現場での実践や経験に基づいた定性的な話になりがちです。そうならないようこの本は、指導者としての実践経験に加え、大学院で学んだ学術的知見、そして研究による科学的根拠の3つの軸から、客観性のあるわかりやすい内容にまとめました。

実践経験、学術的知見、科学的根拠をもって、さまざまな観点から教育について説く

少しネタバレになりますが、日本再興という意味でも特に強調したいのが、母国語リテラシー、つまり、日本語の4技能の力を育てることの重要性です。ChatGPTの登場で世間はAI技術がいかに進化しているかを目の当たりにしたわけですが、これからのAI時代に不可欠であり、あらゆる学習のベースになるのは、母国語の力です。実際、ChatGPTを使いこなすためには、母国語で論理的に考えたうえで質問をする力が不可欠です。本著では複数の章を通して母国語リテラシーの重要性を訴えており、また、母国語リテラシーをいかに身につけるかについても具体的な手法を説いています。ぜひ、指導の参考にもしていただければ幸いです。

塾・予備校、教育業界が一丸となって日本再興の一歩を共に踏み出したい。

近年、塾・予備校は苦戦を強いられています。表面的な理由は様々です。しかし冒頭でお話ししたように、突き詰めて考えれば、一番の要因は国民の教育に対する意欲や向上心の低下です。中学受験が盛んなのは首都圏や近畿圏など一部の都市部だけで、地方では厳しい状況が続いていますし、高校受験は定員割れを起こす学校が増えています。大学受験でも、いかにラクして進学するかという情報収集に、子どもも保護者も時間をかけているのが実情です。このような状況下では、もはや塾・予備校は必要なくなります。
大切なのは、塾・予備校が、子供たちや保護者様たちに、仲間と切磋琢磨し、より高みを目指して努力を続けることの大切さやその価値を、情熱的に、そして説得力豊かに説き続けていくことです。世の教育への意欲や向上心を高めることこそが、塾・予備校にとってはもちろん、日本再興にとって必要不可欠です。この本は、そのために必要なロジックと知見を提供できるものになっています。塾・予備校関係者の皆さまには、学習指導の現場はもちろん、生徒や保護者に向けた説明会や情報発信の際にもお役立ていただければと思います。
教育による日本再興を果たすには、私一人が個人として発信しているだけではどうにもなりません。日本の塾・予備校など、民間教育界に従事する人たちが、それぞれの立場や個性の違いはあっても、皆がベクトルを合わせて、子供たちや保護者様の教育熱を喚起していく継続的努力が必要です。『塾と教育』の読者の皆さまと一丸となって、日本を再び元気な国にする一歩を共に踏み出したい！それが私の願いです。塾・予備校、教育業界の皆さま、ぜひご一緒に、教育による日本再興を始めましょう！