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2022 NEA学習会
大学・高校・中学入試 これからの入試問題を考える

2023-02-01

入試問題から読み解く社会・入試が求める力とは!

[左] 国語専門塾PREX 渋田隆之 氏 [右] (株)首都圏中学模試センター 野尻幸義 氏

[左] 国語専門塾PREX 渋田隆之 氏
[右] (株)首都圏中学模試センター
野尻幸義 氏

NEA学習会「大学・高校・中学入試 これからの入試問題を考える」が全国の塾関係者を対象にして、2022年11月24日(木)にオンラインで開催された。主催は、(一社)NEA教育アライアンスネットワーク(堀川直人代表理事、東京都品川区、以下、NEA)。
この学習会ではNEA事務局の柳裕樹氏を司会に、国語専門塾PREX(神奈川県横浜市)の渋田隆之氏と(株)首都圏中学模試センター(山下一代表取締役、東京都千代田区)の野尻幸義氏が「入試問題から読み解く社会・入試が求める力とは!」をテーマに対談した。その模様をレポートする。

情報処理能力や批判的思考力が問われる

柳 今回、塾関係者の方々に事前にアンケートをお願いしました。千葉県立中学、開成中学、新潟高志中学の入試問題、令和7年の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の試作問題、「明日の学力診断」の問題の5つを解いて「良い問題である」「良い問題でない」といった回答を求めたアンケートです。結果を見ると、共通テストの試作問題では「良い問題である」と答えた方が61%になっています。
渋田 共通テストの国語の問題は、ページ数が膨大で、読むスピードが遅い生徒は最後まで読めないかもしれません。図やグラフも数多く入っており、学力よりも情報処理能力を測っている印象があります。これからは、こうした情報処理能力や論理的思考力、批判的思考力を問うような問題がますます増えてくるでしょう。
柳 北米をはじめとする海外の子どもたちは小さい頃からディベートや、大勢の前で自分の関心事などを発表するショー・アンド・テルのトレーニングを積み重ねてプレゼンテーション能力を高めています。共通テストの試作問題には、海外のように情報処理をしながらロジカルに考えることがこれからの社会に重要であるというメッセージが込められているのでしょう。
野尻 公立中高一貫校の適性検査にも、大学の入試で問われる情報処理能力や論理的思考力が求められてきています。

入試で見たい学力は変わるのか、変わらないのか

柳 では「入試で中学や高校や大学が見たい学力は変わるのか、変わらないのか」をテーマにお話をしていきたいと思います。
野尻 芝浦工業大学附属中学では2024年度から「言語・探究入試」が実施されます。同校はこの入試について「資料の客観的な読み取りに基づいて、未知の事柄に対しても有用性のあるアイデアを提案する力を重視する」としています。そして入試で測定する能力については「分析力・論理的思考力・表現力」にプラスして「創造力」を挙げています。これからの入試には共通テストと同じく俯瞰的に物事を見る力が強く求められてくると思います。普段の生活でつねにアンテナを立てて情報を収集している子どもは学力が高い傾向にあります。
次に光塩女子学院中等科の「総合型入試」をご紹介します。木材の種類や浮力を資料から読み取り、「もし、いかだを作るとしたら、どんな木を使って、どのようなことに気をつけて作るか」を答える問題です。浮力は中学校の範囲であり、まだ小学校では習っていませんが、情報を読み取れば答えられます。この問題では、創造力よりも情報を獲得する力や生活から得た知識が重要視されていることがわかります。
日比谷高校の令和4年学力選抜に基づく問題では、日本の伝統の中で日本人なら当たり前であっても、海外から見ると当たり前ではないことを、自分の経験や見聞を入れて250字以内で書く問題が出されています。ここにも、生活から得た知識が求められています。

つねにアンテナを張り、自分の考えを持つ

渋田 これからの入試には、アンテナを張り、自分の考えをしっかりと持っていれば、習っていなくても答えられる問題が増えてくるはずです。
日本人はどうしても、自分の意見を否定されたら、人格を否定されたと思ってしまいがちです。そのためにコミュニケーションが得意でない子どもたちもいます。相手の意見を受け入れた上で、自分の意見を相手にわかりやすく伝えられるような学びが塾でもできれば、自分の考えをしっかりと持つことができるようになるはずです。
私の塾では、国語の授業中に生徒にディエスカッションをさせています。これにはルールがあります。相手が間違ったことを言っても、否定しないというルールです。こうした会話のやりとりによって表現力や論理的思考力、コミュニケーション能力を鍛えているのです。
野尻 私は小学生の息子から、授業中にみんなで討論したり発表したりする機会が多く設けられていることを聞いています。中学入試にも日本語のヒアリング問題が少しずつ増えてきています。やはり相手の意見を聞く姿勢や、どのように話を捉えるかといったトレーニングがこれからの入試に対応するためにも必要になってくると思います。

分析や評価する力、仮説を立てる力を

柳 次に「育成したい力、図りたい力」をテーマに話を進めていきたいと思います。例えば、2021年秋に実施された小4の「明日の学力診断」では「自転車と歯磨き粉に、子ども用を用意しているのは何のためですか?共通することを書きましょう」という問題が出題されています。問題には大人用と子ども用の自転車と歯磨きの絵がそれぞれ掲載されています。模範解答は「子どもでも使えるようにするため」です。
この問題では、文章と資料を比較したり関連付けたりする力、「もし、子どもだったら」と仮定する力、他人に伝達するために論証したり文章を構成したりする力が問われています。ビジネスでも「もし、これを導入したら、どうなるだろう」と仮定する力や、導入のメリットを論証し、大勢の人たちに伝える力が求められます。子どもたちが社会に出た時のことを見据えた問題であるといえます。
なお、「明日の学力診断」では、9つの力を図ることができます。「知識」「分析」「整理」「理解/把握」「比較/関連」「選択/評価」「仮説/推論」「構成/論証」「伝達」です。中でも私は分析や評価をする力、仮説を立てる力が重要だと思っています。共通テストの国語の試作問題でも分析する力が問われています。

どの程度の知識と思考の深さが必要なのか

「明日の学力診断」で測れる力

「明日の学力診断」で測れる力

柳 では、最後にこれからの入試を分析する武器として、「思考コード」について、野尻さんにお話をうかがいたいと思います。
野尻 模試会社である当社は、かつては偏差値をメインに学習の到達度を測っていました。しかし、新たな学習指導要領が導入され、偏差値だけでは到達度が測れなくなってきました。そこで今は新しい学力の基準として「思考コード」を設けています。これはどの程度の知識と、どの程度の思考の深さが必要なのかを示しています。コードは「A 知識・理解思考」「B 論理的思考」「C 創造的思考」を横軸に、「1単純」「2複雑」「3変容」を縦軸に分類されています。日本にキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエルに関する問題であれば「A1」がザビエルの写真を見て「この人物を答えよ」という知識だけを問うレベルです。これが「B2」になると「キリスト教を容認した大名を一人挙げ、この大名が行ったこと、その目的を100字以内で書きなさい」というレベルになります。さらに「C3」になると「もし、あなたがザビエルのように知らない土地に行って、その土地の人々に何かを広めようとする場合、どのようなことをしますか。600字以内で答えなさい」という高度なレベルになります。この創造力が問われる問題が増えてきています。
渋田 塾が公教育の下支えをしているのが日本の教育の素晴らしさだと私は思っています。今、この対談を聞いてくださっている先生方と心をひとつにして、日本の明るい未来をつくっていかないといけないという思いを強く感じています。
柳 今日はありがとうございました。これからもNEAでは、皆さまのお役に立つ学習会を開催してまいりますので、よろしくお願いいたします。


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