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(株)すららネットと先進的大手塾3社のパネルディスカッション

2023-01-05

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11月26日(土)「教育DX時代における学習塾の役割」をテーマに、株式会社すららネット(湯野川孝彦 代表取締役社長、東京都千代田区)と大手塾3社のパネルディスカッションがオンラインで開催された。
2020年から変革が始まった教育業界。少子化、教育DX化で塾業界はこの先どうなるのか。コロナ以前からICT教材「すらら」を導入し、塾業界の変化にいち早く対応を進めている英進館、リード進学塾、KLCセミナーのDX化・改革推進担当者と塾経営の未来図を共有するパネルディスカッションの概要を紹介する(敬称略)。

■パネリスト■

株式会社すららネット 代表取締役 湯野川 孝彦 氏
企業理念「教育に変革を。子どもたちに生きる力を。」を掲げ、EdTechで社会の問題を解決。
ICT教材「すらら」は、国内の学校・学習塾それぞれ1,000校以上、海外100校以上で活用されている。

英進館 佐賀校 教室長 松尾 新司 氏
福岡県福岡市に本社を置き、九州トップクラスの合格実績を誇る。様々な改革を行い増収増益で躍進中。ALを通じて思考力、表現力、コミュニケーション能力を身につけ、効率いい学びを確保することを目的に「すらら」を導入。

リード進学塾 専務取締役塾長 石田 栄治 氏 / 音羽校校舎長 古里 直嗣 氏
岐阜県を中心に愛知県まで含め50以上の教場を展開。「すらら」を含む各種ICTを積極的に導入し、企業利益の追及だけでなく、東海地方の教育インフラを目指し、新時代における塾教育のスタンダードモデルの構築・改良を続けている。

KLCセミナー岡山 事業本部本部長 中川 美知雄 氏 / 業務部長 井上 典総 氏
株式会社ヒューマン・ブレーン(全国100校舎)の1ブランド、岡山・米子エリアに8校舎展開、集団授業を中心に個別指導を併設、中学受験から大学受験までを指導。「すらら」を活用する次世代型学習塾『kulumo』を開設。

モデレーター 株式会社 すららネット 田中 仁基 氏

[テーマ①]
GIGAスクール構想、新型コロナの影響で、今後どう変化していくか?

英進館株式会社 佐賀校教室長 松尾 新司

英進館株式会社 佐賀校教室長
松尾 新司

田中 教育改革(GIGAスクール構想)、新型コロナによってどのような変化があり、これからどう変化していくと思われますか?
松尾 「すらら」導入時、保護者はPCやタブレットを使った学習に対する抵抗感がありました。説明会等では抵抗感をなくすことに努めていましたが、コロナによりICT教育が必然となり、説明会では教材の活用方法や他塾との違い、個別最適化をどう提供するかを話すようになりました。
石田 そもそもGIGAスクール構想自体は2019年から始まりましたが、すでに2018年頃、経産省の「未来の教室」事業が始まり、学びのSTEAM化、個別最適化を掲げ、民間教育からEdTechを普及させようという動きがありました。その中心にいたのがすららネット。学習塾も過渡期で、集団から個別へ。保護者が塾に求めるのは集団の費用感で、個別に合わせた対応でした。ICTを活用して個別最適化を図る新しい指導の形をデザインするのが待ったなしの頃、コロナによってGIGAスクール構想が前倒しになり、我々も動かざるをえない状況に追いやられました。学校のほうが電子黒板や1人1台端末など、高価で最先端の教育を提供する可能性が高まり、民間教育の方が遅れるのではという不安を抱え、一緒に成長できるベンダー企業を探す中、早期に「すらら」と出会えた我々は運がよかった。コロナによりICT教育の変化が早まったことはいいことだと思います。

株式会社プロジェクトシリーズ 専務取締役塾長 石田 栄治

株式会社プロジェクトシリーズ 専務取締役塾長
石田 栄治

中川 予想以上に学校は進んでいますか? 佐賀はどうですか?
松尾 佐賀では、タブレットをどこよりも早く導入しましたが、学校(現場)での活用度は低い。学校内で活用し、生徒たちからいろいろな声があがっているようなことはないです。
石田 市町村によります。配っただけで終わっている方もあればロイロやスクールタクトをかなり駆使してレベルの高い授業をされている学校の先生もいらっしゃいます。
古里 私の地域では、学校( 公立) の先生が出した課題をタブレットで何時までに提出とか、「質問対応も写真撮って送ってくれたらやります」というところもある。若くて意欲が高い先生の使用頻度が高いです。
石田 ICTの活用+定期テストをやるやらないの選択も含め、過去最高に学校間格差が広がっているのではないかと個人的には思います。
松尾 授業としての活用というよりも、宿題の提出や定期考査の範囲をデータで共有したり、記述問題を添削するなどです。教師間格差、学校間格差はあります。
湯野川 「すらら」では、滋賀県守山市のように平均点で20点以上上がった学校もあれば、全く使い切れていないところもある。若手のやる気のある先生とシニア層との格差というのも全国的に見られる構図なのかもしれません。
古里 自社のシステムに合わせるまで、時間や労力がかかりますが、形づくるまでを乗り越えれば講師の負担は激減します。講師にも差があるので大筋のルートを作ってあげるのがICT導入では大切だと思う。教場がそれぞれにエクセルや管理ソフトなどを使って提出物や宿題、点数を管理していたものをひとつに集約し、タブレット片手に授業に入れるようになったのが一番の変化。何から何まで手元でできるので、その場その場の対応が減りました。

[テーマ②]
新しい学力観や入試改革によって学習塾や講師の役割はどう変わるか?

株式会社すららネット 代表取締役 湯野川 孝彦

株式会社すららネット
代表取締役
湯野川 孝彦

田中 新しい学力観や入試改革によって学習塾や講師の役割はどのように変わるでしょうか?
井上 総合型選抜の割合が高まり、面接やプレゼンテーションなど、自分発信の部分が増えると思います。弊社が新規開設する『kulumo』は「すらら」を活用し、自ら動画を見て学ぶという学習スタイル。ICTでできることと人にしかできないことを明確にして生徒に向き合わないと、教える側がティーチングマシンで終わってしまう怖さをひしひしと感じています。
松尾 もともと総合型選抜が占める割合が増えることを見越して、思考力・判断力・表現力を育むためにALを指導する過程で「すらら」を導入した経緯がありました。今後、ICTを利用して個別最適化を進めていきますが、勉強は同じ目標を持った仲間、見守ってくれる伴走者が必要。学習塾の役割としては、競争する環境は維持しながら、講師はICT教材を活用して深い学びを提供し、また、ICTを活用してコーチングとしての役割を担っていくのかなと。人は人によってしか動かない。指導の本質は変わりません。
石田 二つあります。一つ目は、学習塾や講師の役割は、地域のインフラとしての場の力を活かすこと。オンラインやプロジェクターの指導により、遠方から塾に通うお子さんが減るのではないか、対面の塾が不要になるのではないかという危惧もありました。しかし子どもたちは対面を求め、保護者も送迎の負担はあっても塾に預ける価値を再認識しました。我々がファシリテーター的に適切な声掛けをしてモチベートし、仲間がいる塾に来て頑張ろうと思える環境が大事。場としての学習塾の役割はなくならないと思います。二つ目は地域限定の情報力勝負になってくること。「地元の○○中学で○番なら、○○高校が狙える」「この高校に内申最低○○で入った卒業生がいる」など、地域固有の情報はネットを検索しても出てきません。地域に根差し何年も運営している我々だからこそ有するレアな情報があり、そういう塾がますます必要とされ、脅威になってくると思います。
「すらら」を含め、各種ICTをうまく組み合わせれば、個人塾であっても、大手塾に遜色ない教育サービスが提供できる時代。いろいろなコンテンツに頼りきることなく、そのコンテンツをどこよりもうまく活用していかないと、早く導入したからアドバンテージがあるという時代ではありません。講師もまた、教えること以上に「この先生の言うことなら間違いない!」と信頼される存在にならなければなりません。これからは、面倒見がよく、一人ひとりの困り事に寄り添ってくれる講師にもスポットライトがあたると思います。

テーマ③
少子化が進む中、今後はどのような経営戦略が必要か?

リード進学塾 音羽校校舎長 古里 直嗣

リード進学塾 音羽校校舎長
古里 直嗣

田中 少子化が進む中、今後どのような経営戦略が必要になるでしょうか?
松尾 佐賀校では人口減少、少子化は加速化していますが、長崎と佐賀の県境や福岡と佐賀の県境などから電車で通塾する生徒が増え、中学部・小学部ともに在籍数は増加しています。学区撤廃となり、佐賀県全体からどの高校にも目指せるようになり、遠隔地の生徒が中心部の高校を目指すようになったからです。生徒が持っているレベルはすごく高いのに、中心地から離れれば離れるほど、競争の環境がないため伸び悩んでいる子が佐賀市内に来て能力を伸ばしています。遠隔地も含め、いろいろなお子さんを取り込み、かつ、競い合う環境を維持して個別最適化した学習を進めていくことが大事だと思います。
中川 弊社が立ち上げた『kulumo』という「すらら」を使った個別指導では、校舎がなく集団指導のベースがないようなところでも校舎展開できますから、今まで取り込めていなかった層から生徒さんを取り込みたいです。

KLCセミナー岡山本部業務部長 井上 典総

KLCセミナー岡山本部業務部長
井上 典総

石田 上場されている学習塾で増益増収している企業は、介護事業に参入していたり通信制高校でかなりのシェアを占めるなど多角化しています。多角化の余裕がなければいかに柱を太くするか。いろいろなコンテンツを使って幼児からのサービスを取り入れたり、映像授業を組み合わせて高等部を開設する、新サービスを付加して新たな顧客層を取りこむなど。進学塾としての実績だけを追い求めていくと少子化の中で対象層が先細っていく。
進学塾としてのもともとの強さを残しながら、いかに付加価値的な教育サービスを提供できるか。社員がやるべきこととAIに置き換えられるものとを分類し、社員1人あたりの生徒数を増やす仕組みを作ることも重要です。例えば理社は「すらら」にするなど…。そうするにしても今の授業料を維持するか、または、付加価値サービスをしっかり提供して生徒単価を上げていくかが重要だと思います。
湯野川 日本の未来の教育を考えると、公立学校と地元の塾との連携が必要だと思います。学校の先生より導入塾の先生の方が「すらら」を使いこなしている。八丈島の学校を八丈島の導入塾の先生がフォローしたり、シンガポールにある塾の先生がバンコク、マレーシア、シンガポールの日本人学校をフォローするなど、塾の先生のフィールドが広げられる未来、みんながwinwinになるために動いているところです。
また、生徒の集客に関して「すらら」導入塾に対してwebマーケティングの支援も考えています。今どきのお母さんはグーグル検索でなく、最初にインスタで検索するとか。そういったことも含めて手を打っていく戦略が大切です。

[テーマ④]
AI教材の導入で失敗しないためのポイントとは?

KLCセミナー岡山本部本部長 中山 美知雄

KLCセミナー岡山本部本部長
中山 美知雄

田中 AI教材の導入で失敗しないためのポイント(失敗談含む)をお聞かせください
古里 最初の導入時期から、少しずつ現場の熱量が冷めていく現状がありました。自社がどういう目的意識で「すらら」を導入したのかを知らない層(中途の方、新卒者)が増えたからです。「こういうコンセプトの教材なんだけど、どう使うかは自分で考えてね」と言うと、ICTを通すより自分がやった方が早いしラクだと思いがち。自社専用のマニュアルがないと、どの部分に力を入れて使うべきなのか、どこから触っていいのかもわからず流れ作業に陥ってしまうこともあります。毎年アップデートすることも含め、伝統的に守らなければいけない部分を全社員・職員に発信する担当者がいないと動きが止まってしまうのかなと。一度は落ち込んだ達成率・活用率も見事にV字回復。田中さんからの具体的なアドバイスが心強かったです。
井上 導入当初は達成率8~9割。「絶対失敗できないぞ! 成功させるぞ!」という熱量は失敗しないためのポイントです。田中さんと1カ月に1回打ち合わせをしていますが、ICTの理解や授業だけでなく、運営や経営についても一人ひとりが自分事としてアップデートしないと「とりあえずやりました」になってしまうと思います。
中川 「すらら」でやるなら講師は余計な口をはさむべきではない(笑)。新入社員が入ってきて講師が質問を受けているときに、ベテラン講師が「俺のこのやり方どうや」ってやったら最悪です(笑)。AI教材で失敗しないためには、とりあえずじゃなくて、自分たちが今持っていることとやらなければならないことをしっかりマッチさせなければならない。念入りな打ち合わせが必要です。
松尾 失敗しないポイントとしては、最初のタイミングでトップによる牽引が非常に重要。全体会議のときに大学入試改革、ALの重要性を現場の一人ひとりまで浸透させ、会社全体として動けたのが非常に大きかったです。2016年の導入時、27教場あると、どうしても格差が生じますが、うまくいっている教場が使いこなせていない教場を引っ張り上げ、同じ管理状況に持っていく仕組み作りができたこともよかった。導入時から、50教場以上となった現在も継続している月1回のすらら運営会議では、田中さんに毎回参加してもらって改善策を科目担当が話し合います。弊社の要望を取り入れていただき管理状況も上がりました。
湯野川 学習塾は様々な要因で変革期に来ているのを改めて実感しました。我々もいろいろな要望を取り入れ、皆さまと好循環な関係を続けていけたらと思います。本日はありがとうございました。


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