保護者のスマホ、PCで「口座振替」登録手続きが完結事務作業の効率化＆決済フローの改善が可能に

創業46年目を迎える（株）アイキューブ。長野県と山梨県内で「いずみ塾」を44校、「ベルーフアカデミー」を5校、「東進衛星予備校」を長野県内で8校運営している。今春、（株）ジャックスのインターネット口座振替受付サービス「JACCS決済フロントシステム」を導入し、本部における業務負担の大幅な軽減を実現させた。
導入の経緯や業務の簡略化、塾側・保護者側のメリットについて、盛秀晃代表取締役と営業推進課の中澤育子氏に話を伺った。

複数教室の展開を機に自社開発のシステムを刷新

アイキューブ　盛秀晃 代表

『いずみ塾』が教室展開に舵を切ったのは約10年前のこと。個人の力量に依存することなく品質を担保し、複数の教室マネジメントを行うシステムの構築が急務だったと、盛氏は振り返る。
「自社開発した初代システムから、デジタル化すべき点を2代目のシステムに盛り込み、本業である授業や顧客対応に時間と労力を集中させたいと考えました」
社内にチームを結成し、システムエンジニアと現場の担当者が理解を深め合いながら、2代目のシステムを構築した。
「日次・週次や月間・年間業務の整理、マニュアル作成など、教室展開のスピードを加速させるために人材育成に注力しました。ベースの部分の均一化を図ることで、社員・スタッフが生徒・保護者様に最大限の能力を発揮できる余裕を持ってもらうことが狙いでした。システムを刷新することで現場の苦労は多々あったと思いますが、前向きに取り組む社員が多かったのは社風と言えるかもしれません。同業他社から転職した社員も、他社と比較して事務作業が圧倒的に楽だと言ってくれます」（盛代表）
盛代表は「学習塾業界は全般的に他業種よりもDX化のスピードは鈍い」と指摘する。
「人に関わる仕事ゆえに、一概に悪いとは言い切れません。DXによって提供できるサービスが本当にお客様に求められているものなのか、慎重に見極めなければならないからです」

初期費用や機材導入が不要　Webによる口座振替登録

アイキューブ 営業推進課　中澤育子 氏

本社で全生徒の授業料請求と全アルバイト講師の支払い業務を一手に担っているのが、営業推進課の中澤氏だ。
「生徒数もアルバイト講師数も増えましたが、システムの刷新によって全教室が平準化されているため、本部での業務を簡略化することができています。しかしながら、口座振替登録に関しては、口座振替依頼書を保護者に渡して必要事項をご記入いただき、印鑑を押してポストに投函するという一連の流れで時間も手間もかかっていました。記入漏れなど不備があった場合は、差し戻しでさらに時間を要します。また、こちらで手入力する部分はチェックをしてもミスが起きて引き落としができないケースもありました」
そこで、各教室にペイジー端末を整備する費用などを試算したものの、初期費用や機材の導入などコスト面がネックとなって導入に踏み切ることができなかったという。
「人為的な入力ミスや紛失のリスクを防ぐ対策が必要だと考えていました。〝ミスがなくて当たり前、ミスは許されない〟という業務領域において、DX化するメリットは大きいと思います」（盛代表）
「JACCS決済フロントシステム」を導入した決め手は、金融機関と直接やり取りする従来の方法とさほど変わらない手数料で、保護者自身のスマホ、PCからWebによる口座登録で完結できる点だと盛氏は語る。
「正直コストが下がったわけではありませんが、以前とほぼ同等のコストで抑えることができました。もともと自社開発のシステムでは入塾申し込みをWebで受け付けてペーパーレス化していたため、『JACCS決済フロントシステム』の導入はスムーズでした」
実際、紙の口座振替依頼書からWeb登録への移行期間は、保護者への連絡から最初の引き落としまで約3カ月ほどだったという。
「現行のシステムとの連携、タスクの洗い出し、スケジュール管理など事前準備を進め、各教室長への周知や社内調整、保護者への周知を行いました。金融機関との切り替え作業も、JACCSの担当者にアドバイスをいただいて円滑に進めることができました」（中澤氏）

塾にとって導入しやすく保護者にも煩わしさを軽減

Web登録によるスピード化のメリットを、中澤氏は強調する。
「以前は、数行の金融機関と口座振替作業を直接行っていました。各金融機関のインターネットバンキングの仕組みも様々ですから、請求データを送るのに苦労していましたが、これを1本化することができました。紙の場合は引き落としまでに1～2カ月かかりますが、Web登録ならデータをタイムリーに処理することができます」
また、保護者のメリットも大きいという。
「以前は『口座振替依頼書を郵送したが、いつから引き落とされるか』というお問い合わせも多かったのですが、金融機関によっても異なりますし、書類に不備がないことを確認しなければお答えできませんでした。それが決算フロントシステムであれば、その場でタイムリーに登録できるため、問い合わせを減らすことができました。また、引き落としが始まるまでに3カ月ほどかかっていたため、その期間の月会費については振込やコンビニ決済にて対応してもらっていましたが、タイミングによっては省略できるため、Web登録の方法をご案内すると『銀行やコンビニに入金に行くのは面倒だったので、いますぐWeb登録します』と好評です。保護者自身のスマホ、PCで登録できる点を、メリットに感じていただいています」（中澤氏）
最後に、盛氏は今後の展望を語った。
「これまでは教室展開のために業務の平準化に注力してきましたが、その弊害として、社員一人ひとりの自主性が損なわれてしまったのではないかと危惧している面もあります。50周年を目前にして、今後は各教室の個性を大切にしながら企業理念『人を育て社会に貢献する』のもと、生徒や社員・スタッフも含めていろいろな人がより一層活躍できる場を増やしていきたいと構想を練っているところです」