
AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第45回
こども庁の創設
一足先に緊急事態宣言を解除した大阪府と兵庫県が激しい感染者の急増にうろたえている。まん延防止等重点措置が4月5日から1カ月間、5月5日まで宮城・大阪・兵庫の3府県6市に設定されたが、大阪府では連日東京都の感染数を上回り医療もひっ迫し始めている。
1月中旬からは感染数も落ち着き、東京よりも一足早く、1月中に緊急事態宣言を解除した京阪神が半月持たないで再び増え始めるとは政府にとって想定外だったのかもしれない。4月にはワクチンがどんどん入り始め、多少の波はあるとしてもこのまま収束に向かっていくものだと思っていた。ここへ来て、大阪と兵庫の感染者が一気に加速、首都圏を抜いて危機的な状況を作り出した。大阪を中心に拡大しているイギリス型の変異種は、感染力が強いだけでなく、若者たちや学生・生徒たちにも次々に感染し、重症者が多く現れている。学校内でクラスターが発生した場合、一斉休校の事態も考えられる。ほとんどの学校にPCやタブレットが配布されているが、有効活用が出来るのだろうか。首都圏でも第4波が始まって、まん延防止等重点措置を設定した。ワクチンは入ってくるものの、まだまだ1%程度。国民の間には自粛疲れで緊張感がない。世界で見てもアメリカは半数以上が接種済みで感染者数が激減し始め、イギリスも死亡者が急減しているのに、インドはムンバイを中心に現在激しく増え続けている。
5、6月頃には落ち着くかと思ったコロナの感染が、ワクチン接種が進んでも10月や11月まで落ち着かない可能性がある。その場合、オリンピックは、選挙はどうなるのか。
政府はデジタル庁に加えて、こども庁を創設する考えを打ち出した。選挙目当てと言われているが、この少子化の時代に生まれてくる子どもたちをしっかりと育てて、明日の日本を支えていく人材の育成をすることは大賛成だ。
昨年出生数は86万人。第1次ベビーブームの頃の3分の1だ。
こども庁は少子化の時代に生まれてくる子どもたちをしっかりと支え、十分な児童手当や教育を与えることで、未来を明るくしていこうという試みだろう。
世界では少子化対策として、いろいろな施策を試みている。特にヨーロッパに多く、成功例としてスウェーデンが有名だが、フランスやイギリスなど対策が成功して合計特殊出生率がほぼ2倍に近い国もある。
ハンガリーのように奇抜な政策を打ち出している国もある。
出産したくともとても生活が厳しくて、住居費や生活費が足りないという家庭もあるだろうし、将来進学などに多大な費用がかかることを考えると、結婚・出産には踏み切れないカップルもいるだろう。
女性がビジネスの世界にどんどん進出し始めて、幼稚園よりも保育園に殺到するようになった。幼児の学びよりも親の代わりの保育に重点が移っている。一方でここ数年保育園の中で、才能教育や語学に力を入れるところが人気になっている。
幼児期から小学校低学年に至る時期に学習やスポーツに好奇心や適性を見つけ出すことにもっと力を入れるべきだ。学習塾も何らかの形で協力できることがあれば協力したい。明日の日本のあるべき姿を考える時、こども庁は大きな柱として期待できる。