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(一社)教育アライアンスネットワーク主催 日本の未来を拓く これからの社会が求める人材とは?

2020-11-02

9月27日(日)、一般社団法人教育アライアンスネットワーク(NEA)の主催により、保護者や中高生および塾関係者に向けたオンラインセミナーが行われた。テーマは「日本の未来を拓く これからの社会が求める人材とは?」。
第1部では聖ドミニコ学園中学・高等学校の石川一郎氏が、第2部では立命館アジア太平洋大学の伊藤健志氏が、第3部では国際基督教大学の池ノ内健司氏が講演。世界や日本の教育で何が起こっているのか、子どもたちはどう学べばよいのかを語った。

「未来からの留学生を迎えるにあたって」

聖ドミニコ学園中学・高等学校 石川一郎 氏

聖ドミニコ学園中学・高等学校 石川一郎 氏

「教育アライアンスネットワークが保護者の方々に向けたセミナーを開催するのは初めてです。私たち塾と保護者の方々が、これから未来に向かって子どもたちにどんな学びをさせなければならないのかを考える機会にしたいと思っています」
同法人事務局の柳裕樹氏は、冒頭でこのように述べた。続いて司会進行役の教育学博士・江藤真規氏が第一部の講演者である石川一郎氏のプロフィールを紹介。石川氏は、前かえつ有明中学・高等学校校長であり、現在は聖ドミニコ中学・高等学校のカリキュラムマネージャーを担当。21世紀教育機構理事も務め、教育改革に尽力している。講演のテーマは「未来からの留学生を迎えるにあたって~これから求められる教育とは~」だ。「文部科学省の新教育指導要領の精神は、大学入試に反映されています。例えば順天堂大学医学部の入試の二次試験には、駅の長い階段を登る男性が描かれた絵を見て『あなたの感じるところを800字以内で書きなさい』という問題が出題されました。受験生が医師になって患者のよくわからない症状を前にした時、どのように対応できるのかを試しているのです。この問題は今の子どもたちに、未知の状況に対応できる思考力・判断力・表現力が求められていることを如実に表しています」
石川氏はほかにも最近の大学入試の問題を紹介した。その一つが東京大学の帰国生入試の問題である。「もし地球が東から西に自転したとしたら、世界は現状とどのように異なっていたと考えられるか、いくつかの視点から考察せよ」というものだ。これまで理科や社会科で学んできた知識を実社会で生きる上で活用できるかどうかを問うている。石川氏は、これまでの日本の教育は「記憶・理解・適応」といった「低次思考」が求められたが、これからは「分析・評価・創造」といった「高次思考」が求められると力説した。
「今までの日本の教育は、カレーライスでいえば、中に入れる玉ねぎなど素材の名前や素材の切り方を覚えさせるようなものでした。しかし、何のためにカレーライスをつくるのか考えてみてください。我が家が幸せになるためです。『分析・評価・創造』と聞くと難しく捉えがちですが、この3つは素材の名前などを覚えるのではなく、『カレーライスは家族の幸せのために』というように物事を俯瞰して全体像を掴むことなのです」
そして保護者に対してのメッセージの一つとして次のように語った。
「これからの学習は、逆算型から拡張型になります。お子さんに『あなたの夢は、こうだから、その夢をかなえるために勉強しなさい』というのが逆算型です。そうではなく、興味のあることから学びを広げていくことが拡張型です。そのために大切なことは、保護者の方々が、お子さんが持つ違和感や直感、疑問、わくわくする気持ちなどに向き合うことです。問いかけでそれらを大きく広げてあげましょう」

「多様性は考える力を育てる」

立命館アジア太平洋大学 伊藤健志 氏

立命館アジア太平洋大学 伊藤健志 氏

第2部の講演者は立命館アジア太平洋大学(以下、APU)の伊藤健志氏だ。伊藤氏は、APUの東京オフィスの責任者であり、広報や学生募集から企業連係、卒業生支援まで大学と首都圏をつなぐ仕事に携わっている。講演のテーマは「多様性は考える力を育てる」だ。
「APUは大分県の別府にある大学です。アジア太平洋学部と国際経営学部の2学部があり、世界約90カ国・地域の学生が学んでいます。今年はチャド、モーリシャス、パレスチナ、ギニアピサウの4カ国の学生が入学しました。APUにとっては初めて迎える国々です。学生の約半分が外国人で、日本語と英語の授業を受けています。現在89の国と地域から来ており、中には6カ国の言語を話せる学生もいます。また、日本の大学に来る留学生の多くは大学院生ですが、APUは95%が大学生です」
伊藤氏はAPUを紹介したあと、本題に入った。「APU学長の出口治明は『教養=知識×?考える力』だと述べています。しかし、日本は考える力を身に付けたり、発揮したりするのに適していない環境だといえます」
その理由として伊藤氏は、日本のGDPは伸びていないこと、企業の中の研究者に占める修士号や博士号の取得者の割合が極めて低いことなどを挙げた。そこで、日本が先進国としての役割を果たし、高学歴社会であるといった認識を改めていかないと、日本の世界におけるポジションが見えにくくなるというのだ。また、日本では腑に落ちなくても頷かないと居心地が悪くなるという文化も、円卓の議論を妨げてしまうとも述べた。
「経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションに必要な知は『既存知と既存知の新しい組み合わせによって生まれる』と語っています。しかも、この2つの既存知はできるだけ離れていた方がよいというのです」
APUには様々な文化的背景を持った学生が集っている。新しい知が生まれる環境なのだ。
「APUを卒業した学生の約90%が多様な価値観を身に付けています。中でも最も成長して劇的に変わるのが日本の学生です。国籍や宗教にとらわれず、個人として相手を見るようになります。また、英語で議論する喜びを知り、人と違うことは非常に素晴らしいことだと気づくのです」

『知識』ではなく『知るためのスキル』でデザインするということ

国際基督教大学 池ノ内健司 氏

国際基督教大学 池ノ内健司 氏

第3部の講演者は池ノ内健司氏だ。池ノ内氏は国際基督教大学(以下、ICU)の広報戦略室教養学部長特別補佐。2011年からは日本国内および欧州アジア米国の高校との教育接続推進に尽力している。講演のテーマは「『知識』ではなく『知るためのスキル』でデザインするということ」だ。
「ミケランジェロが彫刻を彫る時に何を思考したか。彼は『大理石の中には天使が見える。彼を自由にさせるために彫っているのだ』と答えました。ICUはそれと同じくらい自由で自在な発想を大切にし、グローバルに挑戦できる学生を世界に送り出すことをミッションにしています。
ICUは入学時に学びたいことが決まっていなくても3年次の終わりまでに決めればよい大学です。理系や文系といった概念を一度リセットして、アーツとサイエンスの化学反応を起こさせるためです。これがリベラルアーツの精神です。4年間を通して学ぶ特長的な一般教育科目で視野を広げながら、自分の専門領域にフォーカスしたスタディプランを自在にデザインできます」
また、言語は思考や他者理解のツールと考え、日英2言語+1言語の習得をめざす。特に英語でクリティカルシンキングができる力をつけるのだ。「すべての学生が行う卒業研究では、日本語か英語のどちらかで論文を執筆します。理系の学生の100%が、文系の学生の60%から70%が英文で書きます」
そして、1つの科目を教授1人に対して学生20人という少人数制のクラスで学ぶ。クラスの中には帰国生や50カ国以上から来ている留学生も区別なくともに学ぶ。多様性のある価値観や文化的背景を持った学生たちと刺激し合える教育環境があるのだ。「例えば、社会学を自分の専門領域に決めたとしても、それだけを勉強すればよいわけではありません。社会学周辺の分野で数学的な処理が必要だとしたら数学を履修することも可能です。社会学と心理学あるいは社会学と音楽を結びつけて学ぶこともできます。こうして、あらゆる知識を統合して形にできる力を身につけていくのです」 
第3部が終了した後、柳氏が閉会の挨拶の中で次のように述べた。「これからさらに塾や学校が心をひとつにして、大学の力も借りて、子どもたちの未来を守っていきたいと思います」。


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