• Home
  • 新着情報
  • (一社)教育アライアンスネットワーク 高大連携セミナー 社会で活躍する中学生・高校生に求められるものは何か?

(一社)教育アライアンスネットワーク 高大連携セミナー 社会で活躍する中学生・高校生に求められるものは何か?

2020-11-02
法政大学総長の田中優子 氏

法政大学総長の田中優子 氏

多種多様に社会が変容している。
そんな今、中高時代にどのような学びをすればよいのだろうか。その声に答えるべく、10月4日(日)、(一社)教育アライアンスネットワークの主催による高大連携セミナーがオンラインで開催された。対象は、小中高生・保護者および教育関係者。
第1部では法政大学総長の田中優子氏が特別講演、第2部では広尾学園小石川中学・高等学校の松尾廣茂氏が推奨講演。第3部では再び田中氏が登場し、参加者の質問に答えた。

大学は「自由の広場」「驚きの場所」「考える時空」

「教育改革やEdTech、少子高齢化社会、グローバル化…。今、起きている社会変革に私塾が一つひとつ対応していくのは難しい状況といえます。
そこで、私たち教育アライアンスネットワークは、学習塾と小学校、中学校、高校、大学が連携することで、子どもたちが社会で活躍する力を醸成できたらと考えています。その一環として、本日、このセミナーを開催いたしました」
このように同法人事務局の柳裕樹氏が冒頭で述べたあと、第1部がスタートした。法政大学総長の田中優子氏の特別講演である。テーマは「これからの高校生に求める能力とコロナ後の大学の学び」だ。
田中氏はまず法政大学の卒業生たちを紹介した。1人は昼間に東京都の職員として働き、夜は大学の講義に出て、ボクシングに夢中だったという卒業生、1人はダンボール工場で働き、貯めたお金で法学部で学び、大学の就職部で政治家の事務所を紹介されたという卒業生。前者は現北海道知事の鈴木直道氏、後者は現総理の菅義偉氏だ。
「現在、国連高等難民弁務官を務める女性は小学校時代にいじめを受けて不登校児になったそうです。彼女は法政大学の大学院修了後、この経験を活かし、異なる者として排除された人たちを助けたいという思いから、この仕事に就いたそうです。
また、現在、水中考古学者として活躍する男性は、法政大学で世界史の卒業論文を執筆中に水中考古学という学問を知って感動したそうです。そして、アメリカの大学院に留学し、博士号を取得しました。
私も法政大学で江戸文学に出会い、人生が変わったので、これらの卒業生の気持ちはよくわかります。
大学は『自由の広場』『驚きの場所』『考える時空』です。出会ったものに集中して取り組む自由があり、多様性に満ちています。先生や学生から様々な刺激を受けます。こうした体験を通して、自分の言葉で考えられるようになるのです」
そして、田中先生は法政大学憲章の「自由を生き抜く実践知」について語った。「私たちが体験したことすべてが自由を生き抜くための知識になります。これが実践知です。しかし、自分のためだけの知識ではありません。世界の誰もが自由に生き抜くことができる社会にするために、この実践知を活用してほしいのです」
田中氏は法政大学のスーパーグローバル大学としての取り組みも述べた。法政大学には留学奨学金最大100万円給付の派遣留学制度などが用意されている。また、国際ボランティアや国際インターンシップも実施され、多くの学生が海外で実践知を積み重ねることができるのだ。
最後に田中氏はコロナ後の法政大学の学びについて解説。学生にタブレットを支給するなど通信環境を支援するとともに、海外の大学と遠隔によって単位が互換できるように整備。オンラインやオンデマンドの授業と対面授業を融合させ、より能動的な学びに発展させていくという。
そして講演を次のように締めくくった。「大学に入学した時に『これをしよう』と決めたことがそのまま続くとは限りません。大学では、どんな出会いがあるのか、わからないのです。しかし、大切なのは『今しよう』と思っていることに集中して全力を尽くすことです。そして自分の長所で戦っていくことです。そうすれば必ず次の新しい道が拓けるでしょう」

自己肯定感が自信やチャレンジ精神を生む

広尾学園小石川中学・高等学校の松尾廣茂氏による講演

広尾学園小石川中学・高等学校の松尾廣茂氏による講演

第2部は、広尾学園小石川中学・高等学校校長の松尾廣茂氏の推奨講演だ。テーマは「新時代に生き抜く力」である。
「『新しい仕事に積極的に取り組めない』『考えの違う人と力を合わせるのが苦手』。最近の若い人たちにはそんな特徴が目立つという声を企業のトップや大学の先生から耳にします。日本人はごく限られた仕事を正確にこなすことはとても上手ですが、想定外のケースに遭遇した時にその状態を切り抜けていくことが不得手なようです。これでは新しい時代を生きていくことはできません。これらから必要なのは、問題解決力とコミュニケーション力です」
では、中高時代にこの2つの力を身につけるのはどうすればよいのか。まず、問題解決力は、身近な社会問題に目を向け、自分なりにその解決策を考える習慣を持つことだと松尾氏は語る。「例えば、クラスで悲しい思いをしている人がいたら、一人の人間として、何をすべきか考えて行動してみてください。こうした心がけから問題解決能力は生まれるのです」
一方、コミュニケーション力を高めるのには、友だちの成功を心から喜べる共感力を育むことが必要だと述べる。「自分が成功した時にみんなからもらった拍手の嬉しさが忘れられないという経験ができれば友だちの成功が喜べるようになります。この仲間と一緒に伸びていこうという思いが真のコミュニケーション力を養うのです。そして、この力が自分とは違う相手を認める心を育て、国際社会で活躍できる素地をつくります」
そのために教育現場で必要なことは、生徒が互いに信頼できるきっかけをつくることだと力説した。
「生徒の良いところを先生がみんなの前で褒めてください。これをクラスの全員にすれば、生徒がお互いに尊敬し合う空気が教室に生まれます」
最後に松尾氏は保護者に次のようなメッセージを贈った。
「家庭の中でお子さんの自己肯定感を高めましょう。自分に自信が持てれば、果敢にチャレンジする心が生まれます。そして失敗しても、お子さんが心を休められる存在に親御さんがなりましょう。そうすることで難題を前にしても折れずに再び立ち上がる力やタフな心が育ち、予測不能な社会を自分らしく生き抜く力が生まれるはずです」

法政大学総長の田中氏に高校生たちが積極的に質問

第3部「法政大学田中優子氏と語ろう」の様子

第3部「法政大学田中優子氏と語ろう」の様子

第3部は「法政大学田中優子総長と語ろう」だ。これはオンライン会議システムのZoomによって直接、田中氏に質問ができるセミナー。村田女子高等学校(東京都文京区)の生徒たちが中心になって田中氏に知りたいことを聞いた。
まず、「幼児期に英語教育は必要なのでしょうか?」という質問に対して、田中氏は次のように答えた。「私は賛成しています、英語に限らず、子どもは複数の言葉を覚える力があるからです。しかし、英語の習得を勉強や競争にせず、日常生活の中で遊びながら覚えさせていくことが理想です」
次は「日本とアジアとの交流についてどうのようにお考えですか?」という質問。「法政大学の文学部日本文学科を卒業している私は、日本文学を専攻する学生たちは中国語と韓国語を必須科目にするべきだと考えています。日本の文学には、この二国の文化が色濃く影響しているからです。そして、今の中高生や大学生はアジアの国の人たちと積極的に交流してほしいと思っています。日本人はアジアのことを知って初めて日本文化がわかるはずです」
続いて、少子高齢化や待機児童、リサイクル、女性の社会進出についての質問が寄せられ、田中氏は丁寧に答えていった。大学の総長と話すという体験は、生徒たちにとっては貴重なひとときとなったはずだ。


ベネッセコーポレーション


PICK UP


                         スポーツマネジメント通訳協会
                         ベスト塾
                         FLENS
                         コエテコbyGMO

全国学習塾協会ITコンソーシアム塾ツール

河合塾One

東京保健医療専門職大学

琉球リハビリテーション学院

麗澤中学・高等学校

麗澤瑞浪中学・高等学校

つくば開成学園

FREEMIND空カンパニー

コンパス

塾シル!

レキシとコトバの先生

塾ナビ

家庭教師

中国語資格HSK 中国政府公認・世界共通規準

塾と教育 twitter


塾と教育

株式会社 塾と教育社
〒162-0822 東京都新宿区下宮比町2-28 飯田橋ハイタウン807
Copyright © Juku To Kyoiku Sha. ALL Rights reserved.