
教育資源としての民間教育 第32回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
子どもたちのために、どんな社会教育環境が必要か?
遠巻きに評論だけして何も変えなくてもいい時代と、行動を起こして何かを変えなくてはいけない時代があります。今はどちらでしょうか? その捉え方はそれぞれだと思います。
また、自塾の売り上げにはあまり関係しないけど、子どもたちの未来には大きく関係していくことがあります。それを関係あると思うか関係ないと思うか、それもそれぞれだと思います。
公立中の内申書に記載されるであろう部活動の活躍は進路に大きな影響を及ぼすとして、社会教育での各種競技クラブチームの活躍は同じだけ評価されているでしょうか? どちらもその子の頑張りの成果でも、公か民かによって扱いが変わっているとしたら、それはこのままでよいのでしょうか、変えていった方がよいのでしょうか? 変えていった方がよいのなら誰がどこに向けてアクションをしていけば変えていけるのでしょうか?
そもそも自塾の売上には関係ないから自分には関係ないのでしょうか? 子どもの未来には関係あるから自分にも関係あるのでしょうか? 公教育と社会教育の間に大きく深い隔たりが存在しているのなら、この先もこの隔たりはあった方がよいのでしょうか?子どもたちの未来にとってその方が良いのでしょうか?良くないとするならば、誰がどこに向けてアクションを起こしていけばよいのでしょうか?
塾も芸術もスポーツも民間企業の教室は社会教育です。そして生涯教育のカテゴリーです。しかし全国の自治体では生涯学習センターの施設を民間教育企業が利用することは実際出来ていますでしょうか? 営利企業だからダメと断られるケースがないでしょうか? 実際は非常に多くあります。なぜ民間教育機関だけは生涯学習センターを使えないのでしょうか?
子どもたちを取り巻く教育環境の中に、このような大人の都合による公的な認識不足がある場合、その状況は誰が変えていくのでしょうか? それとも子どもには関係あっても自分には関係がないから関係ないのでしょうか?
法があっても、法がそのように運用されていない、つまり民間教育がフェアなスタートラインにさえ立てていないとしたら、それは子どもたちにとってもこの国の未来にとってもふさわしいことなのでしょうか? もし変えていった方がいいのならば、それはどこに向けてどうアクションを起こしていけばいいのでしょうか。
全国学習塾協会は、この国の教育に力を尽くす塾のため、そして未来を創る子どもたちのための社会教育環境作りのために存在しています。そして全国規模の塾団体と包括連携した全国塾コンソーシアムの設立を呼びかけ、また各種民間教育の全国団体(ピアノ、英会話、スイミング、剣道、検定、スポーツクラブ等々) に声をかけて、日本民間教育協議会を設立しました。
そして民間教育振興のための国会議員連盟の設立に働きかけ、今あるべき社会教育環境づくりへの要望を重ねています。
子どもたちのためにも、どういう社会教育環境の仕組みを遺していくことが望ましいのでしょう?
お尋ねします。それは自分には関係がないのでしょうか? 自分にも関係があるのでしょうか?