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首都圏模試センター 中学受験に必要な力を明確にする新しい評価軸「思考コード」を開発

2020-02-03
首都圏中学模試センター 山下一 社長

首都圏中学模試センター 山下一 社長

2020年度の大学入試改革に伴い、大きく変化しつつあるのが中学入試。公立中高一貫校の受検者の急増とともに、多くの私立中高一貫校が適性検査型入試を始めているのだ。(株)首都圏中学模試センターは、この動きにいち早く対応。「思考コード」を開発して模試などに導入した。評価軸を表すこのコードによって、問題ごとにどのような力が問われているのかを読み解くことができる。
同社代表取締役社長の山下一氏と取締役・教育研究所長の北一成氏に話を聞いた。

30周年を機にすべての模試をリニューアル

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「当社は中学受験に特化した模試の会社として今から約30年前の1990年に創業しました。バブル景気終盤の中学受験者数がピークだった時期です」と代表取締役社長の山下一氏は中学受験者数の推移を示すグラフを示しながら語った。
「受験者数は景気の循環や文部科学省の施策と連動しています。バブル崩壊とともに減少し、ゆとり教育の始まりとともに増え続け、リーマンショックによって減少するのです。そして再び大学入試改革に向けて拡大しています」 
山下氏は最近の傾向として、入試が多様化し中でも公立中高一貫校が始めた適性検査型入試の市場が拡大していると指摘した。
「2019年の首都圏の中学入試では私立・国立受験者4万7000人に対して1万8000人近くが公立中高一貫校を受検しています。私立の中高一貫校はこの勢いに押され2科4科入試を行っているだけでは受験者数が減ってしまうので適性検査型入試を中心に多様な評価軸の入試を打ち出しています。

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難関校を除き適性検査型入試を中心とした多様な入試を行わないと受験者が増えない構造になってきているのです。地方ではこの傾向がさらに強く、岡山県の私立中はほとんどの学校で適性検査型の入試を実施するようになりました。茨城県では県立トップ高10校が公立中高一貫校を新たに併設しますが、茨城県の私学の中には新しい入試を導入し従来の教科型入試の廃止を検討する学校も出てきています。さらに国立大学付属の東大附属、学芸大国際に続き、お茶の水女大附も適性検査を導入することを発表しました。このように適性検査型入試を中心に中学受験の評価軸が大きく変化しているのです。
そもそも大学入試改革自体が『評価軸の変化』であるといえます。センター試験を始めとする従来の入試は知識・技能を問うものでしたが思考力・判断力・表現力、さらには主体性・多様性・協働性を問う試験に変わろうとしているのです。適性検査型入試が、大学入学共通テストのサンプル問題と酷似しているのはそのためです。

この大改革に足並みを揃えて、当社は30周年を機にすべての模試をリニューアルしようとしています。その一環として評価軸を明確にした『思考コード』を開発しました。これによって、現在の教育改革の動きや中学入試の変化が読み解けるようになっています」

A1からC3まで評価軸を表す「思考コード」

「思考コード」は問題ごとにどのような力が問われるかを表した基準だ。このコードにはA(知識・理解思考)、B(論理的思考)、C(創造的思考)の3段階の力がある。AからB、BからCに行くにしたがって思考力・判断力・表現力が求められる問題になっていく。そしてABCそれぞれに1(単純)、2(複雑)、3(変容)の3段階があり、数が大きくなるに従って問題の難度が上がっていく。山下氏は日本人になじみの深いフランシスコ・ザビエルについて問う問題を題材にした表を見せながら次のように述べた。
「A1はザビエルの写真を見せて『この人物の名前を答えなさい』という単純な知識があるかを問う問題です。A2になると『ザビエルがしたこととして正しい選択肢をすべて選びなさい』という問題になります。
各知識を関連付けて理解しているかを問うようになっています。B1になると『ザビエルが日本に来た目的を50字以内で書きなさい』という単純な応用力や論理的思考力があるかを問う問題になります。B2は『キリスト教を容認した大名を一人あげ、その大名が行ったこととその目的を100字以内で説明しなさい』という問題になります。各知識を関連付けて理解し、自分の言葉で正しく説明できるかを問う内容になっていくのです」
C3は「もしあなたがザビエルのように知らない土地に行って何かを広めようとする場合、どのようなことをしますか? 600字以内で答えなさい」。という広い視野を持ちながら様々な経験や知識をつなぎ合わせて自分軸を表現する問題だ。順天堂の医学部や東京大学の帰国生入試ではこのような力を問う問題が出ている。

「知識・理解思考」から「論理的思考」へ
「論理的思考」から「創造的思考」へ

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大学入試改革で問われる力を示した文部科学省の「『知識・技能』と『思考力・判断力・表現力』を評価するイメージ例(たたき台)」を、同社の「思考コード」にあてはめてみるとぴったりと重なることがわかる。
「これまでのセンター試験では、A1とA2の領域から出題されていました。センター試験に代わる大学入学共通テストではA1からB3の領域から出題されます。
一方、国公立大学やスーパーグローバル大学に指定された早慶などでは、それぞれの学校ごとの評価軸によって「個別学力検査」が行われ、小論文・プレゼンテーション・集団討論・面接等により主体性・多様性・協働性やCの『創造的思考』までが問われるようになります。
これからAI(人工知能)が急速に進化する第4次産業革命の時代には『創造的思考』が必須です。企業では自分で課題を見つけて、他の人たちと協働しながら、解決していく力が求められるからです。
この『創造的思考』を身につけさせるために、中高一貫校は様々なプログラムを導入し始めています。こうした教育が大学入試やこれからの社会にもつながるからです。国公立大やスーパーグローバル大学で出題されるような記述式の問題は正解がひとつではありません。無限です。そして課題に対して、どのように解決するか自分の考えを具体的に文章にして表現する力も測られるのです。
一方、これまでの私立中学入試はAの『知識・理解思考』を問う問題が中心でした。ところが公立校の適性検査型入試では知識を問いません。この影響もあって、Aを減らしてBの『論理的思考』を問う難関私立校が増えて、さらにはCの『創造的思考』を問う学校も数多く現れ始めています。
なお、適性検査型入試では知識を問わない代わりに、知識が情報として問題の中にすべて入っているという。その情報を読み取って知識として獲得し、それを活用しながら論理的に表現したり、自分の考えを創造的思考で書いたりする問題構造になっているのだ。

「思考コード」を知れば的確な受験指導が可能に

同社では、統一合判を始めとするすべての模試の一つひとつの問題に思考コードを記している。どの問題にどのような力が求められているか、ひと目でわかるようにしたのだ。
また、各校の入試問題を分析して導き出した「思考コード」を晶文社の「中学受験案内」に掲載している。たとえば、開成を見ると国語ではB2とB3から77%、算数ではBの領域から100%、社会ではA1とA2とA3から84%、理科ではB1とB2で87%とそれぞれの教科ごとに違いがあることがわかる。一方、麻布では国語ではB1とB2から70%、算数では開成と同じくBの領域から100%、社会ではA2から15%とB2・B3から71%、理科ではB1とB2で70%と両校を比較すると求められる力が大きく違うことがわかる。
「難関中高一貫校が出題している高度な思考力を問う問題を解くには、数多くの問題をこなしそれぞれの学校の問題のパターンを覚える必要がありました。しかし、学校ごとに求められるそれぞれの力があらかじめわかっていれば、膨大な勉強量を必要とせずに解くことができるのです。しかも、この力は問題解決能力でもあるため、社会に出てから大いに活用できます。この考え方に従って、当社では最小限の勉強量で問題が解けるような教材やテストを開発しようとしています」
適性検査型入試の私立中高一貫校への拡大について同社の取締役・教育研究所長の北一成氏は次のように述べる。
「光塩女子学院は、総合型入試という適性検査型に近い入試を行っています。この入試で入学した生徒は知識が十分でなくても伸びしろが大きいそうです。授業では積極的に手を挙げるため、教室に化学変化が起きているといいます。共立女子には英語のグループワークによる英語入試があり、人気を集めています。また、大阪市にある追手門学院大手前では、2020年度からロボットプログラミングワークによる入試を導入しました。塾の先生方もこうした情報をキャッチしていれば、生徒の個性や強みを活かした受験方法を提案できるはずです」
偏差値が40の子も受験する学校の評価軸の違いによって偏差値が70に値する評価を受けるケースもあり得るのだ。そこで、同センターでは塾がこの変化に対応できるように塾と学校をつなぐ情報サービスも今後展開していくという。最後に山下氏はこう語った。
「各校の『思考コード』は〝こういう生徒がほしい〟という目的に準じた評価軸でもあります。また、その学校の授業のあり方も示しています。Cの『創造的思考』が中心の問題を出題する学校なら、創造的思考を養うための授業が行われているのです。現在、新しい時代に求められる力として『21世紀型スキル』『コンピテンシー』を始め、様々な言葉があふれて複雑化しています。こうした力をわかりやすく示したのが『思考コード』です。
『思考コード』を見れば、学校が何を求めているのかが分かり、塾の先生方はより的確な指導ができるはずです」


ベネッセコーポレーション


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