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“保護者対応” から “保護者との関係構築” へ
いま、塾に求められる変化とは?

2019-09-02

塾の指導に過度な干渉や要求をする保護者がいる一方、近年は「全部塾任せ」という放任タイプの保護者も少なくない。塾としては、こうした保護者に対してどう〝対応〟をするかということが、課題となってきた。塾・塾講師と保護者との望ましい関係とはどのようなものなのか? 良好な関係を構築するためにはどうすればいいのか? 教師と保護者との関係構築を専門とし、教育現場の実態にも明るい、サイタコーディネーション代表の江藤真規氏に伺った。

江藤 真規 氏
株式会社サイタコーディネーション 代表取締役
東京大学大学院教育学研究科 教育学研究員
博士(教育学)

塾と家庭は、子どもの未来を支えるパートナー

江藤 真規 氏 株式会社サイタコーディネーション 代表取締役 母親のための学びの場 マザーカレッジ主宰 東京大学大学院教育学研究科 博士課程修了 博士(教育学) 東京大学大学院教育学研究科 教育学研究員 文部科学省 男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議委員

江藤 真規 氏
株式会社サイタコーディネーション 代表取締役
母親のための学びの場 マザーカレッジ主宰
東京大学大学院教育学研究科 博士課程修了 博士(教育学)
東京大学大学院教育学研究科 教育学研究員
文部科学省 男女共同参画推進のための学び・キャリア形成に関する有識者会議委員

「これからの時代、学校や塾にとって、保護者との関係構築が非常に重要なテーマになる」。江藤氏は開口一番こう語り、塾業界でこれまで広く使われてきた「保護者対応」という言葉やそれが意味するスタンスを変えていくべきだと主張する。

「こうすれば保護者との関係は良好になる、という一元的なアプローチは、保護者が同じ方向を向いていた時代には適していたかもしれませんが、保護者のニーズが多様化した時代には適しません。昨今は、働く母親が増えたという背景もあり、情報レベルも思考レベルも高い、いわゆる〝感度の高い〟保護者が増えています。従来のような、塾講師が保護者にやってあげる・教えてあげる、保護者は塾講師からやってもらう・教えてもらうという、塾講師が主体で保護者が客体という関係性は、もはや成り立ちません。個別性が高い保護者のニーズに〝対応〟するという考え方では、行き詰まってしまうのです」

「保護者対応」に代わって江藤氏が主張するのが、「保護者とのパートナーシップ(関係構築)」というあり方だ。「塾講師と保護者は、子どもにとっての最善の環境をつくっていくためのパートナーであると考え、相互理解に基づく関係を構築し、連携をとっていくことが重要」と述べる。江藤氏は2013年より東京大学大学院に在籍し、2019年3月には博士課程を修了、現在も研究員として学術研究を続けている。保護者との関係構築には難しさが伴うものの、以下の3点は関係構築を促す要因になっているという。

①保護者の思いに共感することは重要だが、それだけでは十分ではない。その後の保護者の変化や成長にまで関与していくことが、持続的な関係構築につながる。
②保護者との間の困難感への対処は、指導者の保護者に対する価値観を変え、のちの保護者との関係構築につながる。
③指導者自身の専門的成長を促すために、組織内での勉強会は有効である。

保護者との関係構築ができている塾には、ファンができる

保護者に対する認識を変えなければならない背景には、保護者自身の変化、多様化に加え、「家庭教育を取り巻く環境の劇的な変化」もあると江藤氏は指摘する。
「変化の主要因の一つは教育改革、そしてもう一つは、女性の生き方の多様化です。家事と仕事というダブルバインドの状況にある母親は、時間はないのに情報ばかりが膨らむ中で子育てをし、不安がいっぱいです。塾の先生に頼りたい気持ちはあるものの、小手先の〝保護者対応〟が見え隠れするような受け答えをされると信頼できない、となる。我が子の個性を理解し、最善の道筋を考えてくれている講師か否か、今という時代に明るい講師か否かはすぐに見抜いてしまいます」

また、江藤氏は、家庭教育支援(教育基本法第10条)では、国及び地方公共団体が保護者に対して学習の機会及び情報の提供等を行うと明記されていることを挙げ、保護者が学ぶことの重要性を強調する。

「塾にとって保護者は〝お客様〟ではなく、共に成果を出していく大切な〝パートナー〟と考えてみてはどうでしょう。『うちで全部やりますよ』というお任せ型では行き詰まってしまいます。また、保護者に全てを任せていても子どもは伸びません。塾がどれだけ努力をしても、親がクローズドな考え方や子どもへのネガティブな接し方をしていると、子どもは挑戦ができないからです。来たる新しい時代に向けて、塾と家庭とが連携して求められる資質・能力を身につけさせていくのだという体制ができていれば、子どももイキイキと楽しく学ぶことができるのです。そして、講師と保護者が同じ方向を向いている塾には、間違いなくファンができます。結果的に、ビジネスとしても、プラスに働きます」

これから求められるのは、自ら学び続ける講師

では、具体的に塾はどのようにして保護者と関係を構築していけばいいのだろうか。江藤氏は、「情報を伝達する・伝え方を工夫する・講師として学び続ける」という3つのポイントを挙げる。

「まずは、保護者に情報を伝達すること、つまり、保護者にこれからの教育のこと、そのために自分たちがやっていることを知ってもらうことが重要です。その際に注意していただきたいのが、〝伝えていること〟と〝伝わっていること〟は違うということ。保護者に伝わるように、伝え方を工夫することが大切です。そして、最も重要なのが、講師自身が主体的に学び続けることです。視野を広げ、客観的視点を持ち、未来実現型思考になる。つまり、知識やノウハウの習得ではなく、講師自身が人としてのレベルを上げていくことが求められます。保護者は、子どもの学習にとって最大の環境要因である講師の人となりを見ています。そして、講師が学び追究し続ける姿勢が、保護者の気づきや成長を促し、結果として良好な関係性をつくるのです」

そして、講師自身の学びの機会として、江藤氏は「異なる領域の人々とのディスカッション」を推奨し、「たとえ面倒でも、出向いていきアウトプットの機会を持つことが重要」と述べる。

「同じ業界ではなく、あえて領域を超えたつながりを持つことで世界が広がります。使える言語に広がりができ、保護者への伝達力も圧倒的に高くなるはずです。講師自身が、もう一度、学ぶ楽しさを感じ、そのワクワク感を子どもたちに伝えていければ素敵なんじゃないかと思います。自らが学んでいない先生が子どもに勉強しろと言っても伝わりませんし、やはり楽しそうに学んでいる人は子どもにとっても魅力的なんですよね。良い教え手は、良い学び手であることは間違いありません」

最後に江藤氏は、改めて「これからの時代は、塾における教育と家庭教育の連続性が求められる時代となっていくだろう」と強調し、塾関係者に次のようにエールを贈った。

「保護者が塾任せだから、動かないからとあきらめるのではなく、保護者を啓発していただきたいと思います。そのためにも、講師は自ら学び続け、学びの楽しさを語れる存在であってほしいし、保護者にも学びの機会を与えてほしい。これからはリカレント教育の時代が来ます。私は、塾は子どもの学びだけでなく、リカレント教育の場、つまり保護者の学びのプラットフォームにもなり得ると考えています。保護者にも学びの機会を提供する塾は、地域からも信頼を得られるのではないでしょうか。塾にとっても、これはチャンスだと思います」


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