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    自立した子どもを育てるためには?

対談 柳沢幸雄 氏(開成中学校・高等学校 校長)×江藤真規 氏(サイタコーディネーション 代表)
自立した子どもを育てるためには?

2019-04-26
[左]江藤真規 氏 (株)サイタコーディネーション 代表取締役 東京大学大学院博士課程修了 教育学博士 [右]柳沢幸雄 氏 開成中学校・高等学校 校長 東京大学名誉教授 工学博士

[左]江藤真規 氏 (株)サイタコーディネーション 代表取締役 東京大学大学院博士課程修了 教育学博士
[右]柳沢幸雄 氏 開成中学校・高等学校 校長 東京大学名誉教授 工学博士

塾でもよく見受けられるのが、親離れできない子、子離れできない親…。『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』がベストセラー中の開成中学・高等学校の柳沢幸雄校長と、『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』を出版されたマザーカレッジ主宰の江藤真規氏に、子どもの自立や思春期の子育てについて、語り合っていただきました。

中学入学は、子育て卒業!親は見守り役に徹するべし

江藤 開成は生徒の自立や自主性を重視した学校という印象がありますが、自立した生徒を育てるために、柳沢先生はどのようなことを意識されていますか?
柳沢 まずは、親の意識を変えることですね。簡単にいうと、子離れです。入学が決まったお子さんの親御さんには、「子育てご卒業おめでとうございます。これからはお子さんと密着しないで、ご自身のために時間を過ごすようにしてください」とお伝えしています。
江藤 素敵ですね。子どもが思春期になるタイミングで、親は子育てに関しては見守りに徹し、自分自身の人生に再び目を向けるべきだと思います。
柳沢 そうですね。中等教育段階以降は、家庭教育も学校教育も見守ることが大切です。中高時代に一番大きいのが、同世代の仲間、特に先輩からの影響です。ですから、本校では学校行事や部活など、先輩との出会いのチャンスをたくさんつくっています。先輩や仲間との関わり合いから、子どもたちは多くを学び、自立していくのです。重要なのは、学校が楽しいかどうか。つまり、〝居場所〟を作れるかどうかです。居場所を見つけてハマった生徒は心配ありません。実際、学校が楽しいという子は、長い目で見ると伸びますから、彼らの自主的な活動を見守るだけにしています。一方、学校が楽しくないと言っている生徒は、多方面から丁寧に世話を焼いています。
江藤 家庭と連携してサポートされるのですか?
柳沢 実は、学校が楽しくないと言っている生徒の話をよくよく聞くと、根本的な要因が親子関係、特に母親との関係にあることが多いんです。
江藤 異性の子どもだからこそべったり…となってしまうのでしょうか。
柳沢 そうですね。母親にとって男の子はわからないことが多いんです。同様に、父親には女の子のことがわかりません。思春期になると体の変化もあり、異性の子に対してはアンタッチャブルな部分が出てきます。すると、同性の子どもには言えたりできたりすることが異性の子どもにはできなくなり、親も戸惑います。まずは、子どもが異性か同性かで親自身の対応の仕方が変わるのだということを自覚することが大切です。

転んで起き上がる経験が、生きる力や自信になる

柳沢 江藤さんは『母親が知らないとツライ「女の子」の育て方』を出されましたよね。私の著書『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』もよく売れているんですよ。男女の育て方の違いが注目されているということだと思います。男女は社会的には均等・平等であるべきですが、生物学的には均等じゃないですからね。
江藤 男女の違いや資質をきちんと考えたうえで子育てや教育をすることは、非常に大事なことだと思います。
柳沢 その通りです。まず、この時期は成長速度が男女で違い、女子の方が2年分くらい進んでいます。すると共学校では、男子が女子に圧倒されてしまうんです。人間形成の大事な時期を男子校・女子校という環境で育つことには、大きな意味があると思います。
江藤 私には娘が二人いるのですが、母と娘の関係性と母と息子の関係性とは決定的に違うと思います。自分自身が通ってきた道だからこそ、母親は娘につい口うるさくなってしまうんですよね。
柳沢 私はいつも保護者にこう伝えているんです。「転ばぬ先の杖は、年寄り向けですよ。子どもには杖を持たせないでください」と。男女問わず、いろいろな場面で転んだほうがいい。どう起き上がるかを模索し、なんとか起き上がる。その経験が、生きる力や自分を信じる力になるのです。うちは全部手取り足取り教えますよ、という学校には要注意です。大学に入って、燃え尽きてしまいかねませんから。
江藤 危険や失敗を避けるという考えが子どもに根付いてしまうと、面白くない人生になってしまいます。親のひと言によって、子どもの人生が限定されてしまうことも多いと思います。
柳沢 多少転んででも、興味があるものにどんどん向かうことが大事です。最低限やらなきゃいけないことは短時間で済ませて、あとはやりたいことにどっぷり浸かってほしい。一生懸命にノートを清書して、毎日2時間勉強…という生徒は伸びません。
江藤 特に女の子はコツコツ机に向かっているのが勉強だと捉えがちで、時間をかけている割に伸びない子は少なくありません。
柳沢 それは性差ですね。女の子はコツコツできるけど、男はドカンとしかできない。それがまた、お母さんのストレスになるんですが…。
江藤 女性の生き方が変わってきたのも、今の子育ての難しさに直結していると感じます。自宅にいつも母親がいた環境で育ったワーキングマザーが、自分自身は子どもと関わる時間が少なく、ジレンマや葛藤を抱えているケースが多々あります。
柳沢 今の時代は、母親が孤立しているんですよね。子育てのロールモデルが身近にいなくて、この子を一人前にしなきゃ、と全部一人で背負いこんでいるお母さんが多いように感じます。江藤さんは、母親として意識してきたことはありますか?
江藤 長期的なゴールと短期的なゴールの2軸で考えて子どもと接することです。娘の学校選びの際なども、常にその視点を心がけました。長期的なゴールがあれば、「まあ、いいか」と子どもに任せることができるようになります。
柳沢 素晴らしいですね。つい目先のことにとらわれがちですが、子育ての究極の目的は、子どもを自立させることですからね。

水平認識、水平評価
学校は横軸評価だからこそ、親は縦軸で成長を評価する

江藤 子どもを見守る以外に、思春期の子を持つ親ができること、すべきことは何だとお考えですか?
柳沢 子ども同士は、あいつは数学がすごくできるとか、サッカーがめちゃくちゃ上手いとか、集団の中で常に横軸で評価しています。一方、生まれたときからその子を見ている親ができるのは、縦軸で比較すること。ぜひ、半年前、3カ月前と比較してどう成長したのかに注目して、評価してあげてほしいと思います。
江藤 一人ひとり成長のスピードは違うわけですから、その視点は非常に大事ですよね。ただ、縦軸での比較が難しくなるのが、成績が出てきたときです。
柳沢 そうなんですよ。でも、成績の良し悪しは本人が一番わかっているので、親は「そうなんだ」と横軸は水平認識だけしていればいい。大事なのは、その子の時間軸で垂直比較して評価して、学校とは違う視点を見せてあげること。成長を感じさせてあげることです。江藤さんは、親ができることは何だとお考えですか?
江藤 親自身が自分の人生楽しむことですね。親が自分のやりたいことをやってイキイキしているのが、子どもは一番幸せだと思うんです。子どもに手がかからなくなってからは、ぜひ、この先の自分の人生をどう生きるかに意識をシフトしていただきたいと思います。私自身、子どもに母としてのどういう背中を見せるかが、新しいことに挑戦する際の動機付けになっています。子どもとともに、自分も成長・進化していきたいですね。


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