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    「ないものはない」離島で、全国から集まる多様な生徒や大人と共に学び合う 島根県立隠岐島前高等学校

グローカル教育最前線
「ないものはない」離島で、全国から集まる多様な生徒や大人と共に学び合う 島根県立隠岐島前高等学校

2019-04-26

今、離島・中山間地域の公教育が熱い。都道府県の枠を超えて地域の公立高校で3年間を過ごす「地域みらい留学」は、島根県を中心に全国で33の学校に広がり、高校進学の新たな選択肢として注目を浴びている。その先駆者として、約10年前から地域を挙げて高校の魅力化に取り組んできたのが、島根県立隠岐島前高等学校だ。そこではどのような教育が行われているのだろうか。

廃校の危機を乗り越え、魅力的な高校に生まれ変わる

島外からの島留学生を支える島親さんとの交流

島外からの島留学生を支える島親さんとの交流

約10年前、隠岐島前高校(以下、島前高校)は、生徒数の減少により廃校の危機にさらされていた。高校が廃校になると、高校生やその家族が島を出てしまい、人口が減少して少子高齢化が加速。伝統行事や産業は衰退し、地域の活気は失われ、やがて島に住む人がいなくなる…。そんな先細りの未来に危機感を持った島前地域の3町村(海士町・西ノ島町・知夫村)が協議し、見出した活路が、地域で唯一の高校である島前高校を魅力的な学校にする、というものだった。そして、行政、地域、学校とが協力して「島前高校魅力化プロジェクト」を立ち上げ、チームとなって学校づくりを進めていった。
「魅力的で持続可能な学校と地域をつくる」というビジョンのもと、様々な取り組みに着手した。地域と学校とをつなぎ、教員に伴走して授業を組み立てる「コーディネーター」職の設置、都道府県の枠を超えて生徒を募集する「島留学」制度、島留学生を支える教育寮や「島親」制度の整備、公立塾「隠岐國学習センター」の設立、地域課題の解決に取り組む探究学習の構築…。こうした施策が功を奏し、全国から生徒が集まり生徒数は順調に増加。平成20年度には89人だった全校生徒数が、平成28年度には180人までになった。さらに、教育に携わりたいという若い世代のIターン者が増え、地域全体に活気が生まれた。

地域と関わり合いながら、主体的・協働的に学ぶ

日本科学未来館との遠隔交流の様子

日本科学未来館との遠隔交流の様子

島前高校の学びのコンセプトは、「島まるごと教室に」。これを体現したのが、プロジェクト型学習「夢探究」だ。
地域の人との関わり合いを通して、地域を知り、地域の課題解決策を模索し、最終的には自分の生き方、進路へとつなげていく。また、島前高校と連携した公立塾・隠岐國学習センターでも、「夢探究」と同様のプロジェクト学習「夢ゼミ」が行われている。同センターは、民間の塾がないこの地域で学ぶ子どもたちの自立学習と自己実現を支援する学びの場として設立され、島前高生の7割近くが通う。島前高校はいわゆる進路多様校のため、教科面の学力強化だけでなく、「夢ゼミ」などを通して生きるために必要な力を育てることを重視しているのが特長だ。
1年次の「夢ゼミ」では、すべてを生徒たち自身で決めて実行していく。
島前の人やものを紹介する冊子を制作したり、動画を作ったりと、学年によって内容は様々だ。また、2年次には地域住民を講師に迎えて共にプロジェクトを進め、地域とつながりながら学びを深めていく。いずれも軸となるのが、人と関わり合いながら進める、主体的・協働的な学びだ。全校生徒の約半数を占める島外出身者の中には、「夢探究」や「夢ゼミ」に惹かれて入学した生徒も多い。彼らの意欲的な姿に触発され、島内出身の生徒の意識も次第に変わっていくという。
3年次の「夢探究」や「夢ゼミ(じぶん夢ゼミ)」では、スタッフらと対話を重ねながら自己を掘り下げ、自分の進む道を見出していく。高校の教員やコーディネーター、学習センターのスタッフといった島前高生を取り巻く大人たちが共通認識を持って重視しているのが、「問いかけ」だ。問いによって生徒の真意を引き出すことで、生徒は次第に、自ら問いを立てられるようになっていく。「夢探究」や「夢ゼミ」を通して、生徒は地域という社会とつながり、多くの人と関わり合いながら、自ら問いを立て学びを深めていくという「学びの型」を習得していくのだ。

地域に根ざし世界とつながるグローカルな学び

地域に深く入り込んで学ぶ一方、世界とつながるグローバルな学びも島前高校の特長だ。2年次には全員がシンガポールに海外研修に行き、「夢探究」で取り組んだ地域課題とその解決策について英語で発表する。さらに、平成28年度からは「グローバル探究」としてブータン、ロシア、エストニアに生徒を派遣(選抜制)。また、コスタリカやロシア、ブータンなど、世界中から留学生を受け入れている。〝グローカル人材〟の育成を目指した教育が評価され、文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業にも指定された。
海外や島外に直接足を運ぶだけではない。隠岐國学習センターや島留学生が暮らす教育寮「三燈」ではICT環境が整っており、遠隔交流なども頻繁に開催されている。日本科学未来館の科学コミュニケーター、サモアに派遣中の青年海外協力隊員、沖縄や埼玉の高校生…と、つながる先も〝グローカル〟だ。
ICT技術の進展により、今や離島という物理的な制約は、人や情報へのアクセスを阻害するものではなくなっている。島前高校の取り組みは、まさにそれを象徴していると言えるだろう。

新たな挑戦を続け、「意志ある未来」を創造する

隠岐國学習センターで行われる「じぶん夢ゼミ」の一幕

隠岐國学習センターで行われる「じぶん夢ゼミ」の一幕

島前高校の魅力化の取り組みは、10年間を通して進化を続け、現在は「隠岐島前教育魅力化プロジェクト」という名称で小中学校まで見据えたプロジェクトとなっている。今年3月には、「第3期隠岐島前教育魅力化構想意志ある未来のつくりかた」を策定。今後は、課題である基礎学力の補完、小中高の連携、高校と社会との接続などにより力を入れつつ、常に新たな挑戦を続ける考えだ。
その第一弾として、島前高校では、今年度より「学校経営補佐官」の職位を設置した。学校長への学校経営における助言・補佐、地域・社会との連携推進などが主な職務で、国内の公教育機関では初の設置となる。学校経営補佐官は民間組織の経営経験者が務め、組織づくりや経営についての民間の知見や感覚を学校現場や地域に導入・活用し、学校教育のさらなる拡充につなげていく。
島前高校のある海士町のキャッチフレーズは、「ないものはない」。コンビニも映画館もファーストフード店もない。しかし、都会にはないものやこと、そして出会いがたくさんある。全国から集まる多様な生徒や大人と共に学び合う3年間は、子どもたちを大きく成長させることだろう。自分が慣れ親しんだ環境から一歩踏み出してみたい。新しい世界に飛び込んでみたい。そんな生徒には、ぜひ、その存在を知ってほしい学校だ。

2019 年度オープンスクール・学校説明会
◆オープンスクール
日時:2019年7月26日(金)・27日(土)
対象:中学2年生・3年生とその保護者(定員:60組120名)
◆しまね留学合同説明会 日程    
2019年6月22日(土)    
2019年6月23日(日)
2019年6月29日(土)
2019年6月30日(日)
※詳細は隠岐島前高等学校ホームページ
http://www.dozen.ed.jp)でご確認を。


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