
参議院議員 大島九州男氏 インタビュー
教育は「人づくり」民間教育と公教育の融合で未来を拓く
学習塾の現場から政治の世界へ飛び込み、長年にわたり教育と向き合ってきた参議院議員の大島九州男氏。私学への就学支援金の支給を実現させるなど、私学や学習塾の現場からの声を国政に届けてきた。「民間教育と公教育の融合こそが日本の未来を拓く」と語る大島氏に、日本の教育の今について、大いに語ってもらった。

参議院議員 大島九州男氏
昭和36年6月11日、福岡県直方市に生まれ。昭和59年、日本大学法学部政治経済学科を卒業。
平成3年より連続三期、直方市市議会議員を務める。平成5年、全国若手市議会議員の会、2代目会長就任。平成11年、(社)全国学習塾協会常任理事就任。平成18年、福岡県中小企業団体中央会青年部連絡協議会会長就任。平成19年7月、参議院議員初当選。平成19年11月、福岡県直方商工会議所顧問就任。平成25年7月、参議院議員当選(二期目)。平成26年9月、内閣委員長就任。
令和5年1月参議院議員当選(三期目)所属会派:れいわ新選組
私学こそが「教育の原点」
公教育と塾の連携強化を
私は福岡県の直方市出身で、同市で「寺子屋 QSEI」という学習塾を運営していました。
学習塾を始めた理由は「人材を育てることが地域の発展につながる」という思いがあったからです。当時はテニススクールも運営していました。平成3年から直方市市議会議員を3期連続で務めながら、朝はテニスを教え、昼は議会に出席。夕方からは塾での授業と、朝から晩まで働いていましたね。
また(公社)全国学習塾協会の設立にも参画。平成11年には同協会の理事にも就任しました。
その後、民主党の菅直人氏にお声がけいただき、2005年の第44回衆議院議員総選挙に福岡8区から候補するも落選。2007年の第21回参議院議員通常選挙では比例代表で立候補し、初当選しました。2009年には自民党から民主党へと政権が交代し、私は教育業界出身者として様々な発信・活動をしてきました。
公立高校の無償化(2010年4月施行)については、当時、公立高校だけの無償化が議論されていました。一部の議員の方々は「私学は希望する生徒がいくところ」と思っていたようです。私が「第一志望の県立高校が不合格になり、学費の高い私学に進学するしかない生徒もいるのです」と進言し、私学には就学支援金を支給することになりました。
そのタイミングで民主党として私が携わってなければ、私学の就学支援金はなく、公立高校だけの無償化だったということは間違いないと思います。
なぜ私学に就学支援金が必要なのか。それは、私学こそが「教育の原点」だからです。私学にはそれぞれ建学の精神、独自の教育理念があります。施設整備費などの「学ぶ環境作り」をするのが国の仕事で、教育の中身についてはそれぞれの学校に任せればいいと、私は考えています。「国が私学にお金を出してはいけない」と言われますが、そんな法律はありません。国が私学や学習塾に対して、学ぶ場所を整備することはとても大切なことだと思います。
他にも部活動の外部委託(民間活用)も推進してきました。また、私たちの働きかけで、通信制高校の生徒が学習等支援施設(サポート校)に通学するための定期券の発売が継続されるなど、成果を挙げています。
私が常に掲げている持論は「公教育と塾の連携」です。公教育の中に民間教育の仕組みを入れたいとずっと考えてきました。金太郎飴のようなどの学校も同じスタイルの教育は、今の時代には即していません。学習塾は勉強だけでなく、生活習慣や社会のルールも教える場所になっています。そうした面でも公教育と塾のさらなる連携が必要不可欠です。
就学支援金が支給されたことで、私学に進学する生徒が増えた一方、競争に負けた公立高校の統廃合は進んでいます。そんな今だからこそ、民間の知識や知恵を公教育に取り入れていくべきだと考えています。
日本版DBSの課題
教育現場のAI活用は慎重に
今、教育現場では様々な課題があります。日本版DBS(性犯罪を防止する措置の一つ。対象の事業者に対し、子どもに接する仕事に就く人について、性犯罪歴の確認を義務付ける制度)もその一つです。大切な子どもたちが性被害に遭い、心や体に大きな傷を残すようなことは教育現場ではあってはなりません。一方、犯罪を犯した人を排除するだけでなく、更生させていくことも必要です。
私は日本版DBSの認定を受けるための費用が、学習塾事業者にとって過度な負担にならないようにしたいと考えています。大手塾だけでなく個人塾でも認定を受けられるような、利権にとらわれない仕組み作りを訴えています。
もうひとつ、最近とても気になっているのは、AIについてです。子どもたちに「チャッピーって誰?」って聞いたら、「AI(ChatGPT)だよ」と教えてくれました。今では「人と話すのは嫌だけれど、AIなら話せる」といった、AI依存症も顕在化しているようです。
人間という字は「人の間」と書くように、人と触れ合うことで成長していきます。先生や友人たちとの触れ合いの中から学ぶことが多いはずです。
私が塾で教えていた時には「何度も自分の手で書いて、体で覚えなさい」と生徒に伝えていました。ある程度大人になってから、AIを活用することは否定しませんが、あくまでも教育現場においては、AIは付属のもので、主体になってはならないと思います。
諸外国では規制をしている国もあるようですが、日本で子どもによるAI使用を法律で規制することについては賛否両論あるでしょう。教育者として何が大事なのかということはしっかり示していきたいと思います。
公教育と民間教育が手を取り合って
ぜひ、皆さんにお伝えしたいことがあります。政党の「中道改革連合(路称:中道)」が誕生し、「中道」という言葉に注目が集まりました。「中道」というと、右と左の真ん中でバランスがいいと思っている方がたくさんいらっしゃると思います。
しかし、本来の「中道」は偏りのない心の境地のことです。八つの道(行い)の「八正道(正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)」を実践すれば、その境地を得られると言われています。物事をありのままに見つめ、正しく考え、嘘や悪口を言わない。正しい行いを心がけ、規則正しい生活をし、日々努力をする。そして、自分の私利私欲で行動しない。
そうした行いを実践した結果、すべての人が安寧に暮らせるようになるのが、本来の中道の意味です。
政治家もそうですが、私も教育者の端くれとして、正しい道を伝えていくことはとても大事だと思っています。学校や学習塾の先生たちに求められるものこそ、まさに「八正道」。子どもたちに正しい道を伝えて続けていただきたいです。
そのためには、民間教育と公教育が垣根なく融合し、子どもたちの未来、この国の未来のために手を取り合っていくことが欠かせません。そうすることで、必ずいい未来が訪れると信じています。
































