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第14回 オレコサミット
特別講演「田中先生と考えるこれからの英語教育」

2025-08-01

6月8日(日)、株式会社スタディラボ(地福武史代表取締役社長、東京都文京区)が主催する「第14回 オレコサミット」が、AP日本橋(東京都中央区)で開催された。今回は慶應義塾大学名誉教授で、PEN言語教育サービス代表の田中茂範氏による特別講演「田中先生と考えるこれからの英語教育」を開催。田中氏は、NHK教育テレビ「新感覚☆キーワードで英会話」の講師も務めた言語学者。
このほか、株式会社市進ホールディングス(千葉県市川市)代表取締役会長の下屋俊裕氏が「次代に向けて」をテーマに講演するなど、多くの教育関係者があらゆる角度から英語教育について言及した。

オンライン英会話の未来 2035年に向けて
株式会社スタディラボ 代表取締役 地福 武史 氏

(株)スタディラボ 代表取締役 地福 武史 氏

(株)スタディラボ 代表取締役 地福 武史 氏

弊社がオンライン英会話というプロダクトを世に送り出してから10年を迎えることができました。10年前は、学習塾を中心とした民間教育業界には、オンライン英会話がそこまで浸透していませんでした。しかし、現在、弊社のプロダクトは、多くの塾の皆さまに導入していただき、ようやく市民権を得られたといっていい状況になってきました。
その一方で少子化がさらに進み、生成AIの登場をはじめとする大きな技術革新が起きています。今後10年のオンライン英会話市場を考えますと、英会話は〝練習〟でなく、〝環境〟の中で身につけるスタイルへ移行する可能性が高いといえます。
弊社のオンライン英会話は半分を人が、半分をデジタルが担っています。エプソン様と業務提携させていただいている「Study One」は紙で学習し、デジタルで管理します。今後はデバイスの進化をしっかりと受け入れつつも、デバイスだけに頼らない英会話学習が非常に重要になってくるでしょう。そして、言語が持っている力は、今の混迷の時代において極めて重要な立ち位置にあるのではないかと思います。
こうした予測を鑑み、弊社は教育現場の実践知と先進技術を掛け合わせることで、学習塾の進化支援と英語教育の個別最適化を同時に実現していきたいと考えています。現在、全国の学習塾が様々な課題を抱えています。中でも家庭学習をどのように塾に取り入れていくのかに頭を悩まされている塾の方々も多いでしょう。
そこで弊社では、子ども部屋をDX化することを提案し続けています。労働人口が減少する中、複雑な操作を必要とせず、随時実行可能なオンライン英会話が求められているのではないかと考えているからです。弊社はこうしたプロダクトの開発を続け、労働生産性の向上に寄与していきたいと考えております。

【特別講演】
田中先生と考えるこれからの英語教育
コロンビア大学院博士課程(1983年教育学博士)・慶應義塾大学名誉教授・PEN言語教育サービス代表
田中 茂範 氏

世界では均衡が崩れると、対立が起きます。この解消手段に、お金と力がありました。つまり経済支援をする、あるいは、関税をかけて制裁をすることです。もうひとつあります。これは英語教育と関係があります。対話です。元国連事務総長のアナン氏は「21世紀は対話の世紀である」と述べています。「VUCA」と呼ばれる不確実な世界で、必要なのは言葉の力なのです。それはグローバル言語としての力です。
今は、世界人口約82億人のうち、15億人以上が英語を当たり前に使える時代です。そして、英語は誰でも身につけることができる言語となりつつあります。にもかかわらず、日本人は英語が苦手とされているのです。最大の理由は、多くの生徒が「文法がわからない」と感じていることです。
では、そもそも英語力とは何でしょうか? 英語力とは、「Can say」としての言語資産と「Can do」としてのタスク処理です。言語資産とは「語彙」「文法」「慣用表現」であり、タスクとは5領域におけるタスクです。

慶應義塾大学名誉教授 PEN言語教育サービス 代表 田中 茂範 氏

慶應義塾大学名誉教授
PEN言語教育サービス 代表 田中 茂範 氏

英語を学ぶことは、言語資源を豊かにすると同時に、様々なタスクをハンドリングする力を身につけることです。どんなタスクを、どれだけ機能的に、どういった言語リソースでハンドリングできるのか。これが目指すべき確かな英語力です。言語リソースとは「語彙力」「文法力」「慣用表現力」です。単語を知っていても、文法を学んでいても、実際に使えなければ知識がリソース化できていないといえます。
では、どうすれば、英語教育は成功するのでしょうか?私は定義が非常に重要であると考えています。定義がないと、教育目標が明確化できないからです。
そこで、良質な英語教育の条件を考えてみたいと思います。質を決める条件は生徒が「Meaningful(意味がある」「Authentic(本物である)」「Personal(個人的である)」だと感じられるような教材と活動を提示することです。
例えば「Meaningful」なら、生徒が英語の意味を理解できるだけでなく、英語を学ぶこと、単語や文法を覚えることに価値を見出せることです。

会場の様子

会場の様子

この中でも私は「Personal」が最も重要な要素だと捉えています。これは英語を自分事にすることです。つまり、教科としての英語を越えて「myEnglish」を自分の中に創り上げていくことです。そのためには英語に触れること、使うことの日常化が重要になってきます。例えば、朝に英語でニュースを聴き、昼には英語で日記を書き、夕方には英語の書籍を読み、夜には洋画を吹き替えなしで観るなど、インプットとアウトプットを日常的に組み込むことで、継続的な言語能力向上が実現できます。日常化にはオンライン英会話の「OLECO」が非常に有効だと思います。
次に英語教育者の役割について考えてみたいと思います。語彙力なくして英語力はあり得ません。英文法は表現のためのものでなければなりません。言語は自由表現と慣用表現の両輪で成り立っています。このように「語彙」「文法」「慣用表現力」の明示的な定義がなければ、説明責任を負う教育はできないのです。
続いてデジタルツールと教師の役割を考えてみたいと思います。デジタルの教育利用は重要です。私は「オンライン英会話」を「Online Connective Space」と言い換えたいと思っています。オンラインによって教室の壁が取り払われ、教師と生徒が自由につながるスペースが生まれるからです。このようにオンラインや生成AIがもたらすメリットを踏まえた上で、教室や教師の役割を考える必要があると思います。
最後に「英語はできて当たり前」を実現するためには、英語力を明示的に定義すること、この定義に即した教材、指導法、評価法を開発すること、ICTを効果的に取り入れて新しい教育の姿を描くこと、教師や生徒の意識改革を行うことが必要です。
塾の先生方をはじめとする英語教育者の方々には「昨日より今日の自分の方が良い教師であり、いつか最高の教師になる」ことを目指していただきたいと思います。

地域で支持される英語に強い塾のつくり方
自立型個人指導塾PLATZ塾長 藤田 文枝 氏
株式会社スタディラボ 執行役員  前川 真慶 氏

前川 藤田先生は大学を卒業後、大手百貨店や広告代理店に勤務したあと、群馬県太田市に移り住み、大手集団塾や個別指導塾、公務員養成専門学校での勤務を経て、現在、自立型個人指導塾PLATZを運営されています。
藤田 私は2014年に大田市で子育てをしながら六畳一間で「藤田塾」という塾をスタートさせました。生徒はわずか2名ほどでしたが、次第に口コミが広がり、2017年に「自立型個人指導塾PLATZ」としてリニューアルオープンしました。「PLATZ」はドイツ語で「広場」という意味です。私は様々な職業体験を通して、人間は一生学び続けるものだと確信し、「自ら進んで学ぶ場所」であってほしいという願いから、この名をつけました。
現在、小2から高3生までを対象に、基礎学力の養成から大学受験まで一貫指導をしています。
また、英検対策をはじめとする英会話の習得に力を注ぎ、スタディラボ様のオンライン英会話「GeT (GLOBALENGLISH TRAINNG)」を活用させていただいています。「GeT」導入の決め手は、群馬県の公立高校の入試で、リスニング力の重要性が高まったこと、レッスンが学校で使用されている教科書と連動しているため、一貫制の指導ができること、体験レッスンで生徒から好意的な評価を得たことです。
現在、月2回、1回につき10分間の「GeT」受講をレギュラー授業に取り入れています。その結果、生徒からは次のような声が寄せられています。

[左] (株)スタディラボ  前川 真慶 氏 [右] 自立型個人指導塾PLATZ  塾長 藤田 文枝 氏

[左] (株)スタディラボ 
前川 真慶 氏
[右] 自立型個人指導塾PLATZ 
塾長 藤田 文枝 氏

「最初はその先生が何を言っているのか、聞き取れなくて不安でいっぱいでした。でも、レッスンを受けているうちに先生が話していることが少しずつ理解できて、質問にもすらすらと答えられるようになりました」
「レッスンを受けているうちに、自分から質問する勇気が持てるようになりました。英語で会話する時間がますます増えています」
また、保護者の方々からも高い評価をいただいております。
オンライン英会話の活用によって、英語に強い塾としてのブランディングを確立させ、他塾様との差別化を図り、さらなる集客を目指してまいりたいと思います。

次代に向けて
株式会社市進ホールディングス 代表取締役会長 下屋 俊裕 氏

(株)市進ホールディングス  代表取締役会長 下屋 俊裕 氏

(株)市進ホールディングス 
代表取締役会長 下屋 俊裕 氏

私は英語教育の目標地点と世界の中の〝日本の英語〟についてお話ししたいと思います。
文部科学省の調査によれば、10年前と比較し、生徒や教師の英語力は向上しており、また、教師の英語での「発話」や授業内での「会話」の比率は高まっているとのことです。しかし〝日本の英語〟の国際順位は下降を続けています。昨年は92位でした。
様々な要因が考えられますが、ひとつには、小中高と学年が上がるにつれて、学校の授業内で英語を話す比率が下がっていることが挙げられると思います。また、日本は島国であり、海外の人たちと話す機会がないこともあるでしょう。
一方、シンガポールでは英語が事実上の第一言語であり、小1から生徒が英語で主要教科を学んでいます。国語以外の授業がすべて英語で行われ、「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」教育が標準化されているのです。オランダも同様です。早期英語教育が導入され、生徒は英語を教科ではなく、コミュニケーション手段として使用しています。
また、ヨーロッパではフランス人の40%が、ドイツ人の60%が、イタリア人は30%が英語を話せます。つまりヨーロッパの人々を相手にビジネスをするには、英語で交渉ができるだけでなく、ビジネス文書を正確に書けなければならないのです。
スウェーデンやオランダの事例から導き出されるのは、英語を覚えるのは10歳までが最適だということです。例えば、小1・小2で英語が楽しいと思える授業で音に慣れ、小3・小4で恥ずかしがらずに英語を話せるようにし、小5・6から英検に挑戦していくことが理想的です。
そのため「OLECO」は、英語の言語能力を育てるのに最適といえます。
では、これからグローバル社会で活躍するための英語教育について考えてみたいと思います。求められるのは、「OLECO」をはじめとするEdTechの活用です。これにより、時間や場所にとらわれない学習ができるようになります。EdTechと合わせて、手で書くことによる長期記憶の習得も必要です。
スウェーデンでは、2010年にタブレットやPCを1人につき1台付与する計画を進め、紙の教科書を原則として廃止しました、しかし、2023年からはこの方針を止め、手書きに重点を置く教育に切り替えたのです。理由はデジタルツールにより、子どもたちの読解力が落ちてきたからです。手で書きながら覚えたり問題を解いたりした方が、記憶は定着していきます。
スタディラボの「Study One」なら、プリンターで印刷された問題を手で解くことができます。このように常に鉛筆と紙を手元に置く習慣を徹底していただきたいと思います。

スタディラボ 今後の展望
株式会社スタディラボ 上席執行役員 峰嶋 聡子 氏
株式会社スタディラボ 執行役員 鈴木 祥平 氏
株式会社スタディラボ 英語教務支援部 朝比奈 正人 氏
株式会社スタディラボ 教育ICT営業 第二本部本部長 平田 太一 氏

[左] (株)スタディラボ  執行役員 鈴木 祥平 氏 [右] (株)スタディラボ  上席執行役員 峰嶋 聡子 氏

[左] (株)スタディラボ 
執行役員 鈴木 祥平 氏
[右] (株)スタディラボ 
上席執行役員 峰嶋 聡子 氏

峰嶋 弊社では年に2回、こうした勉強会を開催させていただいており、夏は「オレコサミット」のタイトルで、オンライン英会話を中心とした内容で進めさせていただいております。
そこで、今からオンライン英会話の新しい教材について弊社の社員からご紹介させていただきます。
鈴木 教育開発出版様とともに「英検®二次試験対策コース」を全面改訂し、「新英検R二次試験対策コース」をリリースいたしました。
朝比奈 特に2級の問題は難化しているため、最新の出題形式に合わせた内容に改定しています。また、2次試験の面接で評価対象となる「アティチュード」にもオンライン英会話で練習することができます。「アティチュード」は受検者の「積極的に面接官とコミュニケーションを図ろうとする態度や意思」を測るものです。
また、新たに導入された準2級プラスにも対応したレッスンも設けました。
鈴木 英検3級の練習レッスンを2回新設していますが、どのような目的があるのでしょうか?
朝比奈 初めて二次試験を受検する生徒さんが緊張せずに解答できるようにするためです。講師が適宜サポートやフォローをします。また、二次試験の流れや級ごとの間違えやすいポイントの解説を収めた予習動画も入っています。
私は、英検のメリットは、取得すると生徒の意識が前向きになり、学習意欲も高まることだと考えています。「これだけ勉強したのだから点数も伸び、合格できたのだ」と実感でき、自信につなげてほしいという願いを込めて、この改訂版を制作しました。ぜひ、ご活用していただきたいと思います。

[左] (株)スタディラボ 教育ICT営業 第二本部 本部長 平田 太一 氏 [右] (株)スタディラボ  英語教務支援部 朝比奈 正人 氏

[左] (株)スタディラボ 教育ICT営業
第二本部 本部長 平田 太一 氏
[右] (株)スタディラボ 
英語教務支援部 朝比奈 正人 氏

峰嶋 次はオンライン英会話以外の商品についてご紹介をさせていただきます。
平田 私からは「Feelnote」と「Study One」の2点について説明させていだきます。
成長実感アプリの「Feelnote」は生徒の学びや活動を記録し、振り返ることができるツールです。生徒さんは日々の学習、部活動、課外活動、イベントなど、あらゆる場面を投稿して記録できます。先生は投稿を見てコメントをつけたり、「いいね」をつけたりするなどリアクションができます。日々の投稿はキーワードをつけてまとめることができ、簡単に振り返りも行えます。
先生方からは「日々の活動の成果が可視化され、総合型選抜や推薦入試にチャレンジする生徒が増えています」「生徒同士が投稿を共有することで、お互いに刺激し合い、探求学習の質も向上しています」という声が寄せられています。
一方「Study One」はオンライン接続されたプリンターを通じて教室とご家庭をつなぎ、生徒さんの学びをより深められるツールです。先生から送られてくるプリントは、リビングや子ども部屋に設置された専用プリンターが自動受信します。生徒さんは、そのプリントを手書きで解き、それをスキャンして返信します。スマホやタブレットではなく、紙を使うことで、学習効果が高められるのです。
峰嶋 弊社はこれからも「Study One」のような人のぬくもりが感じられる商品を塾や学校の先生方に使っていただけるように商品開発を続けてまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

閉会の挨拶
教育開発出版株式会社 代表取締役 糸井 幸男 氏

教育開発出版(株) 代表取締役 糸井 幸男 氏

教育開発出版(株)
代表取締役 糸井 幸男 氏

6月4日に厚労省の方から発表された昨年の出生数は68・6万人です。一方、今年の中3生の数は、108万人です。昨年生まれた子たちが中3になった時のことを考えてみてください。現在と比べて36%も減少しているのです。これを1年間に換算するとわずか3%の減少になります。30人の生徒さんがいる教室では、1年間で1人減ることになります。「たった、1人なら大丈夫でしょ?なんとかなりますよ」と楽観的に考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この減少が毎年毎年続くわけです。大変なことになります。
ですから、私から提案があります。勇気を持って、学習塾の改善・成長・発展に向けた新しい挑戦を始めていただきたいと思います。中にはすでに始めておられる先生方もいらっしゃるでしょう。
新しい挑戦の鍵となるのは、今日のお話に数多く登場したDXです。この活用が、これからの学習塾にとって非常に重要なテーマとなります。オンライン英会話などのデジタル教材で新しい生徒さんをどんどん獲得しましょう。
また、減少するのは子どもの数だけではありません。先生の数もこれからますます減っていきます。しかし、DXを活用すれば、労務負担も軽減できるのです。
皆さま、明るく元気に楽しく学習塾業界を盛り上げていきましょう。今日はどうもありがとうございました。


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