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    未来を切り拓くための抜本的改革を

私教育を1つの力に「日本」と「教育」
未来を切り拓くための抜本的改革を

2025-04-01

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」からの転落

作家 髙嶋哲夫 氏

作家 髙嶋哲夫 氏

日本が歴史的に大きな変革を遂げたのは、「明治維新」と「敗戦後の復興」の二度でした。明治維新では開国を果たし、西洋文明を積極的に取り入れることで、日本は近代化を成し遂げました。戦後の復興では、民主主義と高度経済成長によって「工業立国」としての日本が確立され、バブル期には世界第二位の経済大国となりました。しかし、それ以降、日本は急速に下降し、「空白の30年」と呼ばれる停滞期に突入しました。
1980年代、ロサンゼルスに住んでいた僕の目には、日本の成功は揺るぎないものに映りました。「技術大国」として、日本製の自動車、家電、カメラが世界を席巻し、アメリカ市場においてもその品質が称賛されていました。日本の教育もまた、規律正しく、高い識字率と進学率を誇るものとして、一部の国ではモデルケースとして研究、模倣されるほどでした。
しかし、40年後の現在、日本は完全に逆転されています。もはや日本は「技術大国」としての優位性を維持できず、世界を変えるようなイノベーションはほとんど生まれていません。その最大の原因の一つが教育の停滞にあると考えています。

知識偏重型教育が生み出した「発想力の欠如」

日本の教育は、かつての産業構造に適したものでした。高度経済成長期においては、国民全体の学力を底上げし、一定の水準を維持することが重要でした。そのために、暗記中心の「知識偏重型教育」が採用されました。このシステムは、戦後の日本が急速に工業立国として発展する上では有効に機能しました。しかし、21世紀に入り、デジタルトランスフォーメーション、情報技術が進化し、人工知能(AI)が台頭する中、知識を詰め込むだけの教育ではもはや時代に適応できなくなっています。
知識をいくら詰め込んでも、新しいアイデアや発想は生まれません。例えば、かつてソニーのウォークマンは、「音楽を持ち運ぶ」という画期的な発想から生まれました。しかし、その後アップルがiPodを発表し、音楽配信という概念を市場に浸透させると、日本はデジタル変革の波に乗り遅れました。同様に、ガラケー時代には日本の携帯電話技術は世界の最先端でしたが、スマートフォンの時代になると、日本のメーカーはことごとく敗れました。
これは、日本の教育が「過去の知識を正確に再生する」ことに特化しており、「新しい価値を創造する」能力を育成する仕組みになっていないことが大きな要因です。知識と発想力は全くの別物です。知識を持つことは大切ですが、それをどう活かし、どのように新たな価値を生み出すかを考える教育が、日本では決定的に不足していたのです。

世界とズレる日本

2021年、僕は『EV』という本を書きました。そこでは、エンジン車から電気自動車(EV)へと移行する世界の潮流について述べました。日本のハイブリッド車は、内燃機関の技術としては最高レベルですが、EVのシンプルな構造に比べると、その技術の優位性は大きく揺らいでいます。
世界はすでに「地球温暖化防止」「持続可能社会」を最優先する方向へと舵を切っています。例えば、ヨーロッパでは2035年までにガソリン車の販売を禁止する方針が示されています。世界の視点で見れば、日本の技術的優位性はすでに失われつつあるのです。これは理屈ではなく流れです。
問題は、このような変化を「日本人が実感できていない」ことです。気候変動の影響は日本国内ではまだそれほど深刻に感じられませんが、世界ではすでに「緊急の課題」として捉えられています。つまり、日本の教育は、世界の変化を的確に捉える国際感覚を養うことにも失敗しているのです。

アップル、グーグル、メタは、日本で生まれない

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現在、僕は『日本でアップルが生まれないわけ』という本を書いています。結論から言えば、日本の教育システムのままでは、アップルのような企業は決して生まれません。
「ゆとりの時間」などを設けることで教育改革を試みる動きはありますが、依然として知識偏重教育が維持されており、大きな変革には至っていません。アメリカの教育が完璧とは言えませんが、欧米からは次々とイノベーティブな企業が生まれ、日本のスタートアップはその下請けにとどまっています。その違いは、やはり教育にあります。
日本の教育では、リーダーとなる人材が育たない。リーダーとは、政治家や企業経営者だけでなく、「新しい価値を生み出す人材」も含まれます。現在、革新的なアイデアを持つ若者は海外に流出し、日本国内ではその才能が開発、発揮されにくい環境になっています。

教育改革こそ日本の未来を決める

現在、日本では少子高齢化が進み、学校の統廃合が進んでいます。しかし、それにも関わらず、不登校やいじめは増加の一途をたどっています。文部科学省の調査によると、いじめの認知件数は68万件を超え、不登校の児童生徒数は30万人以上に達しました。自殺に追い込まれる子どもも過去最多を記録しています。
こうした状況を変えるために、「一般社団法人 未来を創る新教育推進会」を設立しました。これは、いじめや不登校をなくすだけでなく、日本の未来を担うリーダーを育てることも目的としています。リーダーという意味は、政治や企業を引っ張るリーダーとともに、新しい革新的な発想を生み出す若い世代のことです。真の教育とは、子どもの中の才能を共に見つけ出し、育てることだと信じています。忘れてはならないことは才能とは数学や物理ができるとか、記憶力が優れているということだけではなく、優しさや忍耐強さ、人の話を聞き共感できることも優れた才能だということです。
その最初の取り組みとして、「いじめを考える日」を全国の学校に設け、子どもたちが同じ時間と場を共有する日を作ろうとしています。
その核となるのが、映画『ダーティー・ユー』です。全国の小中高校生がこの映画を観ることで、いじめについて考え、学校教育のあり方を変えていくきっかけを作るのです。
日本の教育は、もはや「高校無償化」のような、お金の問題ではありません。教育の内容そのものを根本から改革しなければ、日本の未来はありません。知識を詰め込むだけの教育ではなく、発想力を育む教育が求められる時代です。
今こそ、日本は教育のあり方を根本から見直し、「知識偏重教育」から「発想と創造の教育」へとシフトすべきです。その変革こそが、日本の未来を切り拓く鍵となるのです。

作家 高嶋哲夫 氏
■教育関係の著作
「いじめへの反旗」(集英社文庫)「アメリカの学校生活」「カリフォルニアのあかねちゃん」「風をつかまえて」「神童」「塾を学校に」「公立学校がなくなる」など多数。
https://takashimatetsuo.jimdofree.com/


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