
ひとり親家庭への塾代助成事業 寄付金に税制優遇適用
NPO法人子ども未来が「認定NPO法人」へ
寄付金に税制優遇適用
本誌2020年3月号でお伝えしたひとり親家庭への塾代助成事業を行うNPO法人子ども未来(辻本加平代表理事、大阪府堺市)が昨年、高い公益性や会計・情報公開体制が適正だと認められ「認定NPO法人」となった。これにより寄付した者は税制優遇を受けられることになった。
「貧困の連鎖を断ち切るのは教育しかない!」と私財を投げ打って始めたひとり親家庭への塾代助成事業。事業継続には引き続き皆さまからの支援が必要だとして、協力をお願いしたいとのこと。前回掲載時と重複する内容もあるが、同事業についての詳細、続報をお届けする。
ひとり親家庭の貧困率は50%超
辻本氏は関西を中心に広く展開する学習塾イングを23歳の時に設立。47歳で経営から退いたが、次に起こした事業での失敗が原因でうつ病を患った。2年間自宅に引きこもり、回復後は自らの経験を活かすためカウンセラーの資格を取得。コーチングの手法も学んだ。企業向けのメンタルヘルス講習や保護者・子ども向けのコーチングセミナーなどで活躍し、2008年にコーチングを取り入れた学習塾、未来アカデミーを設立する。
子どもの貧困を考えるきっかけとなったのは未来アカデミーで「勉強がわからず入塾したいが経済的事情で叶わない」という子どもに出会ったことだ。「成績が振るわないため親にむりやり行かされる」ことはあっても「子どもが望んでいるのに行けない」ことがあるとは想像もしていなかったという。
少し前のデータになるが平成28年国民生活基礎調査(厚生労働省が実施)によると子どもの貧困率は13.9%(7人に1人)で、ひとり親家庭に限った場合の貧困率は実に50%を超え、先進国ワースト1位だった。
割引きしても提携塾にメリットあり!大手塾を6割引で利用できる仕組み
2017年に始めた子ども食堂には多くの方から支援の申し出があり、何かしたいけれどどうしたらいいかわからず動けない人がかなりいることに気づいたという。そこで社会から寄付を募り子どもたちの塾通いを支える仕組みを作ろうと設立したのがNPO法人子ども未来だ。
利用者は提携塾を4割の負担で利用できるというもので、6割を提携塾と子ども未来が負担する。月謝が割高な個別指導は対象外で集団指導のみが対象。この仕組みについては「集団指導の場合、クラスに生徒が1人や2人増えたところで固定費はあまり変わりません。割引分を考慮してもプラスになるケースがほとんどでしょうから提携する塾側にも大いにメリットがあります」とのこと。塾人ならではの発想といえる。
支援の範囲を高校生まで拡大、奨学金として支給へ
塾代の助成を行っている自治体や無料塾を開設する他のNPOではそのほとんどは中学生を対象としているが、子ども未来では勉強でのつまずきが増える小学4年生からが対象。塾代を助成して終わりにするのではなく、保護者と子どもに年3回面談を行い、悩み相談やサポート、フォローを行っている。
当初、中学校卒業までを対象としていた支援の範囲を現在は高校生まで拡大している。高校生は希望する進路により学習内容が大きく異なるため、塾代の助成ではなく使途自由な奨学金として月額8000円を支給しているとのこと。大学受験に向け貯蓄する子、塾代に充てる子、お小遣いに充てる子と様々だ。もちろん、年3回の面談とフォローは高校生にも実施している。
■スポット支援、継続支援、遺産(遺贈)寄付など、様々な形での支援のお願い■
先述の通り、認定NPO法人となったことにより支援者には税制優遇が受けられるようになった。個人の場合は寄付金から2000円を引いた額の最大50%(所得税40%+住民税10%)が還付され、法人の場合には期末資本金額と所得額に応じた損金算入限度額の範囲内であれば損金算入が認められる。このほか、遺言書による遺贈や相続財産からの寄付も相続税がかからなくなる。子どもに恵まれなかったという辻本氏は、「すべての子どもたちの父と母になる」との思いから、すでに遺贈寄付のための遺言書作成を済ませている。今年5月に上梓した『「自分大好き」から「未来大好き」に! 自己肯定感を高めれば人生は輝きだす』(幻冬舎)の印税も全額貧困家庭の支援に使うとのこと。辻本氏の私費を投じて始まった活動だが、継続するには多くの方からの支援が必要だ。皆さまには少額でも継続でなくても書籍の購入でも、できる範囲でいいのでぜひとも支援をお願いしたい。
●個人の場合
①所得控除
課税所得×所得税率-(課税所得 -(寄附金-2千円))×所得税率
②税額控除
(寄附金額-2千円)× 40%
上記①または②に加え( 寄附金の額の合計額-2千円) ×10%=税額控除額(住民税)
●法人の場合
①資本がある法人( 期末資本金の額× 0.375%+所得金額※×6.25%) ×1/2
②資本がない法人 所得金額※× 6.25%
NPO法人子ども未来への寄付・支援・問い合わせは次の通り。
クレジットカードによる寄付は継続支援、スポット支援共にスマホ一つで気軽に可能。銀行振込によるスポット支援は次の口座までお願いします。銀行口座振替による継続支援をご利用の場合は必要書類をご請求ください。領収書は原則として年1回、毎年12月31日締めで発行し、全てのご寄付をまとめた領収書を、翌年1月下旬~2月上旬頃にご登録住所宛に郵送にてお送りします。
支援いただいた方にはご希望によりメールによる活動報告や生徒らの写真・メッセージ付き活動報告書の送付、活動報告化へのご招待を行っております。
■寄付・支援・お問い合わせ■
認定NPO 法人子ども未来
https://kodomo-mirai.ne.jp/
大阪府堺市堺区甲斐町東2-1-6
090-8467-4383(辻本加平携帯)
代表理事:辻本加平