
(株)CLEAR コクヨグループに参加し子会社に 独立した経営は維持
ノートを共有して学習の疑問を解決できる勉強ノートまとめアプリ「Clear」を提供する株式会社CLEAR(新井豪一郎代表取締役、東京都湊区)は、コクヨグループに参加し、子会社になることを2月12 日に発表した。株式譲渡後も、CLEAR の創業メンバーと社員が継続して事業を運営し、独立した経営を維持するという。
コクヨグループに参加するに至った経緯や背景、今後の「Clear」の展開などについて新井豪一郎代表取締役に話を伺った。
CLEARが提供する「Clear」と「MEETS」
CLEARが提供する「Clear」は、ノートを共有して学習の疑問を解決できる学習サービスで、2021年1月時点で、月間約250万人が利用している。自分がわかりやすくまとめられたノートを自分の意思で探しに来たり、ユーザー同士で教え合うQ&A機能で質問するなど、主体的に学びを得ていく体験ができるというもの。
さらに、「Clear」のユーザーである中高生と塾・予備校がとの出会いを生み出すサービスが「MEETS」。塾や予備校は「Clear」に学習に役立つノートや動画をアップロードすることで講師の指導力を中高生にアピールでき、資料請求や体験入塾を促すことができるという。
2013年に「Clear」をリリースして以来、Campusノートを提供するコクヨ(株)と共同イベント等を開催してきたと新井社長は言う。
「2014年にはClearユーザー向けのイベントを共同で開催し、15年3月にはコクヨさんが毎年行う大型イベント〝コクヨ博〟にClearのユーザーが呼ばれ、2年連続で講演しています。
今回の話は、昨年(2020年)始めからコクヨさんの経営推進室と私たちが一緒になって共同事業をやろうではないかと検討していく中で持ち上がったものなんです。コクヨさんはアナログのノート、私たちはデジタルノートのサービスを提供していますから、お互いの強みを活かして一緒に成長できる事業を展開するのが目的です」
まずはコクヨと「Clear」の顧客を増やす
具体的には、まずはお互いの顧客を増やしていくこと。
「文具では圧倒的なシェアを持っているコクヨさんの力をお借りして、Clearのユーザーを増やしていきます。Clearのユーザーが増えれば〝MEETS〟の基盤も大きくなりますから、塾や予備校のメリットにもなります。また、Clearはいいノートがたくさんあることに価値があるので、ノートをつくる人がノートを編集しやすい機能をコクヨさんと一緒につくっていくこともとても重要だと考えています」
「Clear」のユーザー数は、どんどん増えてはいるが、それでもまだ中高生の3分の1程度だと新井代表は言う。
「コクヨさんのCampusノートにClearのQRコードを入れる予定ですが、そうすればClearのダウンロード数を大きく増やすことができます。まずはこうして新規のユーザー数を増やし、さらにClear自体をもっと活性化させていきたいと思います。様々な企業や団体が○○アワードなどを開催していますが、私たちも同じようなことを検討しています。ノートを投稿する人だけでなく、ノートを見て勉強する人たちも表彰の対象にいたします」
しかも、勉強の結果であるテストの点数などが評価されるのではなく、そのプロセスを評価し、表彰するのが大きな特色だ。
「勉強というのは結果でしか褒められないことが大半で、そのプロセスにおいて承認欲求を満たすことは非常に少なかったと思います。ですが、Clearの中でノートを提出したり、誰かの質問に答えるなど、結果を出す手前のプロセスで承認欲求が満たされるようになっているのは、実は画期的なことなのです。だからみなさん、ノートも投稿しますし、質問にも回答します。ノートを見るだけの人たちにも、定期的に見ていることを褒めてあげるのです。
そしてコクヨさんにスポンサーになっていただくことにより、コクヨさんのさらなるブランディングにも貢献できると考えています。このようなことはコクヨさんの子会社にならなければできないことだと思います」
まだまだ新型コロナの感染再拡大が心配される中、自宅での学習時間が増える傾向にある今こそ、Clearのようなサービスが求められていると新井社長は考えている。
「家庭学習の時間が増えてはいるものの、ひとりぼっちではやる気がしないのが大半の子どもたちです。そこをITの力を活用して、他の子どもたちと一緒に勉強できる環境をつくることも、私たちの仕事なのではないかと思います」
ユーザーニーズを捉えた新たな価値創造とビジネスモデルの拡充
「Clear」は国内だけでなく、タイと台湾、インドネシアにも展開されている。一方コクヨは、中国や他のアジア諸国にも事業を展開しているという。
「中国とインドはぜひとも私たちも展開したい国でもありますが、CLEAR単体ではやはり難しいと思います。コクヨさんと一緒にやっていけば、ビジネスはつくりやすいと思いますので、海外展開にも力をいれたいと考えています」
ノートのデジタル化は当初から大きな課題となっていたが、これも様子を見ながら着実に進めていく所存だ。
「私たちが展開している国と比較すると、日本はノートのデジタル化が遅れていて、タイ、インドネシアの方が進んでいます。ちょうど今大学生が紙のノートからタブレットに移行し始めているところですが、日本はもう少し時間がかかりそうですね。しかしそれも様子を見ながら着実に進めていこうと考えています」と、新井代表は語る。
CLEARは、コクヨグループへの参加によってユーザーニーズを捉えた新たな価値創出とビジネスモデルの拡充を目指していく。国内文具トップシェアメーカーのコクヨと、展開国において最大級の学生アクティブユーザー数を持つCLEARがお互いのユーザー基盤を共有し、学習塾・予備校向けの「Meets」、大学・専門学校向けの「進路選び」事業の成長を加速させる所存だ。
お問い合わせ先
株式会社 CLEAR
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