
教育資源としての民間教育 第12 回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
教育の自由を守るための努力を
これまで塾は、画一的な制度の中での落ちこぼれや吹きこぼれなど、多様に対応してきた歴史があります。つまり制度の中だけには生きず、本質を見つめながら自らの信念に基づいて発展してきた歴史があります。それは今も変わらず、一つひとつの塾が理念信念を持ってそれぞれのアイデンティティを確立してきています。それぞれの塾が、学校教育の制度の中に住んでも外に住んでも、それも自由です。自由といっても社会の一員、産業界の一員としての責任もあります。それは多くの法令遵守であります。責任なき自由はありません。
公益社団法人は一つの責任の形として捉えていただければと思っております。
塾という産業が社会の中で息づいていけるように、立法府や行政とやりとりをし続けています。子どもたちの現場からは遠いようでも、決して子どもたちとの現場と無関係な団体ではありません。空気中の酸素のように目には見えずとも、大切な役割を担っていると思っています。
全国学習塾協会のことを、中小塾が大手塾に対抗するための団体だと、いまだに言われる方もおられます。しかしど確認ください。現在の取り組みはまったくそれとは違います。むしろ公益社団法人となった今、業界内の自浄努力を国から提案された場合、ガイドライン一つでも一部だけで作成していてはそれこそ意味を成しません。大手も個人もなく業界全体で作成してこそ、一定の意義を持ちます。それが出来なければ、学習塾は法の規制対象になっていくかもしれません。つまりある意味で私たちは、教育の自由を守るための努力をいつも続けていかなくてはなりません。永遠に自由が約束されているわけではまったくありません。自由であるための努力を続けているからこそ、自由でいられると思っています。
それぞれの塾のアイデンティティで教育表現を展開されている皆さん、皆さんの塾に通われて、教育の自由を享受している子どもたちのためにも、どうか公益社団法人の全国学習塾協会をお支えいただけませんでしょうか。
教育の自由のために、そこで育っていく子どもたちのために、これからも教育の自由表現がこの国の中で続いていくためにも、自由な教育の体現者であられる皆様には公益社団法人を支えていただけますよう心からお願い申し上げます。