
教育資源としての民間教育 第100回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
学びの“居場所”を守るということ
6月を迎え、新年度の慌ただしさも少しずつ落ち着き、各教室ではそれぞれの日常が形づくられている頃かと思います。春先には緊張した表情を見せていた新入生たちも、少しずつ教室に慣れ、自分の居場所として塾に通ってくれるようになってきました。こうした何気ない日常の積み重ねこそ、教育の現場にとって最も大切なものではないでしょうか。
最近の教育関連ニュースを見ても、「子どもの居場所」という言葉を目にする機会が非常に増えてきました。文部科学省やこども家庭庁では、不登校児童生徒への支援体制強化や、“学びの多様化学校”の設置促進など、多様な学びの場を整備する方向性が示されています。2025年度時点で、不登校児童生徒数は全国で約35 万人に達し、過去最多を更新したとも報じられています。
こうした状況を見ると、もはや「学校だけですべてを支える」という時代ではなくなっていることを感じます。もちろん学校教育は社会の基盤ですが、一方で、子どもたちの状況や特性、家庭環境は年々多様化しています。その中で、学習塾が果たす役割も大きく変わってきました。
以前であれば、塾は「成績を上げる場所」「受験対策をする場所」という認識が中心だったかもしれません。しかし現在は、「学校には行けないが塾には来られる」「塾の先生には相談できる」という子どもたちも少なくありません。つまり塾は、学力向上だけでなく、“安心して通える場所”としての役割も担い始めているのです。
また、高校授業料無償化などが進む中で、「教育の機会均等」という考え方も一層重要になっています。教育バウチャーや放課後支援など、民間教育を社会資源として活用しようという流れも、以前に比べ確実に広がっています。これは、長年にわたり全国の学習塾が地域の中で子どもたちを支えてきた積み重ねが、少しずつ社会に認識され始めている証でもあると感じています。
一方で、AIや教育DXが急速に進み、知識だけであれば、以前より容易に得られる時代になりました。しかし、どれほど技術が進歩しても、最後に子どもたちを支えるのは「人」だと思います。悩みを聞き、励まし、時には厳しく背中を押す。そうした日々の対話や信頼関係こそが、教育の本質ではないでしょうか。
公益社団法人全国学習塾協会では、こうした民間教育の社会的役割を広く発信するとともに、安心・安全な学習環境づくりに向けた活動を進めています。子どもたちが安心して学び、自分らしく成長できる環境を守るために、これからも業界全体で力を合わせていきたいと思います。

































