
「半歩先の学力を自分の力で」がコンセプト
いずみ塾の「サキドリ算国コース」
長野県と山梨県を中心に展開するいずみ塾は、株式会社アイキューブ(盛秀晃代表取締役社長、長野県茅野市)が運営する学習塾だ。40年以上にわたり、小学生から高校生までを対象に地域密着型の指導を手掛けている。
そこで、松本市に教室を構える信大前校を訪問。小学部の「サキドリ算国コース」の授業を見学させていただき、小学部担当の葛下かおり氏と運営統括本部小学部課長の雁木周平氏に話をうかがった。その模様をレポートする。
算数用にオリジナルテキストを開発
真剣な眼差しでテキストに記載された算数の問題を解く小学生たち。講師が一人ひとりの机をまわり、声かけをしている。生徒は問題を解き終わると、テキストを手に、着席した講師のもとに歩み寄って答えを見せた。「よくできたね」「頑張ったね」。講師は笑顔でそう語りかけながら、その解答に赤鉛筆で丸を付けていく。生徒は嬉しそうに自分の机に戻って再び問題に向き合い始めた。
これは、信大前校の「サキドリ算国コース」の様子だ。この日、授業を受けていた生徒は、小1から小5までの5名。一人ひとりが自分のペースでテキストの内容を理解し、問題を解いていく。このコースでは学年や習熟度が異なる生徒が同じ教室で学ぶ「集団個別」を導入しているのだ。
同コースの対象は、小1から小6まで。「小学校の内容を先取りしたい」という保護者の希望から入塾する年長の幼稚園児もいるという。教える教科は、算数と国語。授業時間は夕方4時20分から5時20分までの60分間だ。
現在、同コースは長野県と山梨県の校舎を合わせて42校舎で展開されていて、生徒数は330名だ。
同コースの特色の一つは、算数にオリジナルテキストを使用していることだ。小学部担当の葛下かおり氏は次のように語る。
「少子化対策の一環として、小学生以下の生徒数を伸ばすために、このコースを立ち上げました。2021年には小1と小2を対象に2校舎で、翌年には6学年を対象にトライアルを行いました。2024年に低学年の募集にこれまで以上に力を入れた結果、生徒数は飛躍的に増えました。
このコースの狙いは、小学生に勉強を好きになってもらい、楽しみながら学んでいく学習習慣を定着させることです。そこで、国語は市販のテキストを用いていますが、算数に関してはこれまでの弊社の実績をもとに、3年がかりでオリジナルテキストを作成しました」
オリジナルテキストには、基本問題の「BASIC」と発展問題の「ADVANCED」がある。「BASIC」は6学年を合わせて全36冊。内容は「数と式」「数量」「図形」「データ解析」の4分野に分かれている。小学校における算数の学習範囲を無学年方式で体系的に学べるように開発されているのだ。
成功体験の積み重ねを大切に
「生徒はテキストに記載された例題を声に出して読み、解き方を自分で学んだあと、練習問題に挑戦します。分からなければテキストにある『解き方』を参考にして解き、講師に見せます。正解なら講師は丸を付け、褒めて自信を持たせたり、勇気づけたりして、生徒の学習意欲を向上させていきます。講師は必要に応じて生徒にヒントやアドバイスを与えますが、教え過ぎずに自分で考えさせるサポート役に徹します。
また、このテキストは進級式で、1冊を終わらせて進級テストに合格すると、修了証が与えられます。講師は修了証を生徒に手渡し、みんなで『おめでとう』と祝福して拍手をします。進級するごとに達成感を得られるようにしているのです。
さらに、今日頑張ったことを振り返ることができるようにポイントカードも用意しています。進級したり、難しい問題が解けたりしたら、授業が終わる前に講師がシールをカードに貼らせます。シールが貯まるとその数に応じて、消しゴムやペンやタオルなどと交換できます。楽しんで勉強に取り組んでもらうためです」(葛下氏)
同コースでは生徒の「できた!」という成功体験の積み重ねを、どこまでも大切にしている。こうして生徒は自分の力で問題を解く喜びを実感しながら、自立自習の習慣を定着させていく。
また、コース名の「サキドリ」が示すように、このテキストで先取りをすることで学校の授業での予習になり、学校で再度、理解を深めることができるのだ。
一方、「ADVANCED」は、図形問題や文章問題をはじめとするハイレベルな内容が学べるテキストだ。生徒用に詳しい解説も付いている。そのため、中学入試をする生徒が多い校舎では、このテキストの全範囲を小4や小5で終わらせ、「信大附属中/私立中学受験対策コース」などに移る小学生もいるという。
講師の負担を軽減して人材を確保
葛下氏は学年の枠を越えた同コースの「集団個別」がもたらすメリットに関しては次のように述べた。
「上級生が下級生の面倒を見たり、下級生が、上級生が真剣に問題を解いている姿を目にして自分も頑張ろうと奮起したりするなど相乗効果が生まれています。また、違う学年の生徒同士が勉強を教え合うなど切磋琢磨する姿も見受けられます。このように集団授業と個別授業を合わせ持った環境の中で、お互いを高め合っていくことができるのです」
同コースの生徒からは「学校より少し早く勉強に取り組んだおかげで、テストで100点を取れた」「他の子よりも先に進級したいと思えるようになった」「勉強に取り組む姿勢が変わった」という声が寄せられているという。
また、同コースの授業形態は、人材確保の面からも大きな成果を上げている。小学部課長の雁木氏は次のように語った。「講師の採用は、どの塾でも大きな課題となっていると思います。私どもの塾も同様でした。生徒の指導には、経験やスキルが要求されますが、採用側が高いハードルを設定してしまうと、募集がうまくいかなくなってしまいます。『低学年は教えられても、高学年を教えられるかどうか不安だ』という方もいるのです。
そこで、このコースを立ち上げる際、講師の指導力や経験にすべて頼らずに生徒をサポートできるテキストをつくり、講師の負担を軽減しました。テキストには『解き方』のナンバーが記載されています。そのため、生徒が問題を解けずに悩んでいたら、そのナンバーの箇所を生徒に伝えればいいのです。葛下が述べたように『教え過ぎないこと』が生徒を伸ばします。授業の前に時間をかけて予習する必要はありません。この方法で多くの講師を集めることができました」
指導力やスキル以上に同コースが求めるのは、どれだけ生徒に愛情を注ぎ、温かな言葉をかけて、生徒の学習意欲を高められるかといった人間性である。
取材した日、授業を終え、満足げな表情で元気よく教室をあとにしていった小学生たちの姿が強く心に残った。
お問い合わせ
株式会社 アイキューブ TEL.0266-75-1150
i-cube:https://i-cube-education.jp/icube2/
いずみ塾:https://izumijuku.co.jp/sakidori-sankoku_tob










![[左] 小学部担当 葛下かおり氏 [右] 運営統括本部 小学部 課長 雁木周平氏](http://www.juku-kyoiku.com/wp-content/uploads/2025/09/2025_09_p64_kaoshu.jpg)



























