グローバル教育研究所プログラムによる「地球村への10のステップ」公開授業
グローバル教育研究所 渥美育子 理事長
渥美理事長はなぜこのプログラムを考案したのか。
昨年12月1日、東京都江東区にある中村中学校・高等学校において、一般社団法人グローバル教育研究所(渥美育子理事長)主催、「地球村への10のステップ」の公開授業が行われた。授業を受けた生徒は同校の中学生、他校から集まった公立・私立の中学生、高校生の30名、また参観者は塾関係者も含めて50名ほど。生徒は終日このプログラムに真剣に取り組んだ。
同研究所の渥美理事長がなぜこのプログラムを考案したのか。それは長年海外の企業で社員研修を行ってきた渥美氏が、これまでの自国のメガネをかけたまま外の国々を理解しようとする学習方法は役に立たなくなったと悟り、反対に自分が生まれ育った文化のDNAを磨き、独創性とスピードで世界に貢献する総合能力を身につけることが急務であると理解したことによる。
つまり海外の異文化を異文化として認識し、違いを認め、日本人の魂を核とした自分づくりが結果的に信頼される条件になると信じたところからこのプログラムが考案された(以上、氏の新聞寄稿の抜粋)。
プレゼンテーションをする生徒たち
生徒の学習は、まず92年にブラジルで開催された環境サミットの会場で、居並ぶ世界の指導者に向かって演説した12歳のセヴァン・スズキの映像から始まる。彼女は最後に大人たちに言う。「どうやって直すのかわからないものを、壊し続けるのはもうやめてください」と。そしてプログラムは時間・空間を超越して地球を俯瞰できる自分だけの「グローバルコースター」をデザインすることから始まる。その乗り物に乗り、イメージへの旅に出るのだ。宇宙のかなたから地球を見、また時間軸、空間軸を越え、歴史上の人物・事象・事件などについて学習する。そうして10のステップをクリアして、最終ステップの地球はひとつの家族だという認識のもと、「地球村」のルール作りにチャレンジする。
このプログラムはきわめて精巧に作られた総合学習である。発問も多く、グループで解決し、模造紙に書き連ね、発表するプレゼンテーション能力も問われる。
真の意味のグローバル教育を探求する上で、大変有効な総合学習プログラムといえよう。