「新型コロナウィルスという見えない敵との戦いは長期化しそうである。このような危機に直面したときの対応のしかたで、リスクを大幅に低減できる可能性が高くなることは明らかであろう。今回の何回かにわたるコロナ禍の非常事態では「分断化した社会」ということが、改めて浮き上がってきたような気がしてならない。」とはしがきの最初の部分で述べている。
現在の閉塞感漂う平成から令和にかけての、教育と経済をめぐる社会的背景から論を進め、危機に対応できる社会システムの提言で、最後を締め括っている内容となっている。
格差拡大と分断化に対応するには「学びの動機づけ」が重要であることがこの本を読むと再認識できるに違いない。日本の農村共同体から生まれた家族形態や文化資本、ハビトゥス、さらに内発的動機づけの学びによる学力をキーワードに具体的な例を示しながら社会を読み解いている。
連帯意識を育むメタ認知や非認知能力の役割にも焦点を当てて、危機に対応できる持続可能な社会システムのあり方を探求している。教育関係者及び保護者必読の書の1つと言えるだろう。内容構成は以下のようになっている。

第1章　教育と経済をめぐる社会的背景
第2章　危機で求められる能力とは
第3章　内発的動機づけの学びと連帯感
第4章　格差ある分断化した社会
第5章　メタ認知と連帯感
第6章　危機に対応できる社会システム

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