著者の撹上雅彦氏と撹上理恵氏は名古屋市を拠点に「特性ある子」の発達支援を行う学習塾「フォレストキッズ」を運営する発達障害児教育の専門家。また重度に近い広汎性発達障害と診断された息子さんをもつ「特性ある子」の親御さんでもある。
著者は本書で「一般的な育児書を捨てよ！」と述べ、「誰にでも効果がある育児法など存在しない！」と説く。重要なのは「観察とテクニック」として、子どもの状態を徹底的に観察し、その子に合ったテクニックを用いることで「特性ある子」の子育ての悩みは解消できると語っている。
著者自身の子育てで培った多岐にわたる知見に加え、学習塾での豊富な指導経験に裏付けられた「具体的かつ実効性のあるテクニック」をやさしく解説した1冊。
抱っこをしなければぐずるし、何も興味を示さない。子どもが喜びそうなごはんをつくっても全然食べてくれないなど、「子育てはこんなにも大変なの？」と何度も思っていたと本書の「はじめに」で語る撹上理恵氏。小学校低学年で「重度に近い中度の発達障害」と息子さんが診断され、夫婦はショックを受けると同時に「私たちの育てかたの問題ではない。自分が悪いのではない」とわかり、正直ホッとしたとも語っている。「息子の発達障害の判明後、夫は息子のために『放課後等デイサービス』を立ち上げ、私が代表者となり一緒に活動を始めました。それからは、私だけでなく、夫やスタッフと一緒に子育てする感覚もあり、精神的にもかなり楽になりました」とある。
発達障害のお子さんをもつ親御さんたちにも勇気を与えてくれる本だ。